ビルトインガレージのメリット・デメリットとは?
注意したいポイントや実例も解説!

2024/9/14 公開

ビルトインガレージのメリット・デメリットとは?注意したいポイントや実例も解説!

ビルトインガレージとは、建物内に設けた駐車スペースを指します。車好きの方や住宅密集地で駐車場を確保しにくい方に選ばれる方法です。しかし導入する際には、さまざまな注意点があります。

そこで本記事では、ビルトインガレージのメリットとデメリット、設置する際の注意点やポイントを詳しく解説します。ビルトインガレージのある暮らしを具体的にイメージできる活用方法の他、タイセーハウジングで施工した実例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ビルトインガレージとは、住宅の1階部分に駐車スペースを設けて車を格納する車庫のことです。通常の住宅では屋外に駐車場を確保しますが、ビルトインガレージでは、シャッターなどの仕切りを設けて建物の一部として車庫を住宅に組み込みます。屋内にガレージを設けることから、「インナーガレージ」とも呼ばれます。

車の出し入れをスムーズに行うために開口部を大きくする必要があり、1台当たりの間口は通常、3〜3.5メートルが目安です。ビルトインガレージを採用することで、暮らす人にも車にも、屋外の駐車場とは異なる多くのメリットが生まれます。

ビルトインガレージのメリット

ビルトインガレージには、車の保護や生活の利便性向上まで、さまざまなメリットがあります。ここでは、ビルトインガレージを設置することで得られる主な利点について解説します。

大切な車を雨風から守れる

車好きの方にとって愛車をいつもきれいに保つことは非常に重要ですが、屋外に車を停めておくと、雨風や砂ぼこりなどに常にさらされるデメリットがあります。車体が汚れたり、強風で飛来物が当たって傷がついたりする恐れもあるでしょう。

ビルトインガレージであれば、屋内に駐車できるので車を清潔に保てる上に、花粉や黄砂が舞う時期でも表面に付着する汚れが減ります。車内に入り込む可能性も減って快適に運転できるでしょう。また紫外線による塗装の劣化も防げるため、車の美しさを長く保つことも可能です。

盗難などのセキュリティ面で安心できる

ビルトインガレージは、車のセキュリティ面でもメリットとなります。通常はシャッターを設置するため、外部からの侵入を防げるためです。そもそも窃盗犯が下見の段階で侵入対象から外す可能性が高まります。特に高級車を所有する方にとっては、車両の盗難や故意の損傷リスクを大幅に減らせる点が魅力になるでしょう。

セキュリティをさらに高めたい場合は、防犯カメラの設置も効果的です。不審者が近づくと点灯するライトも設置することで、さらなる抑止効果を期待できます。

雨の日でも濡れずに乗り降りできる

雨の日でも濡れずに乗り降りできることも、ビルトインガレージの魅力です。屋外の駐車場では、雨の日は傘を差して家と車の間を移動することになるため、傘で車内を濡らしてしまうことがあります。買い物をして帰宅した際も、傘を差して荷物を抱えながら自宅に入るのは大変です。

ビルトインガレージなら、車から室内に直接移動できるため、天候を気にせず乗り降りが可能です。雨が降っているときでも気にせず車に乗り込める上、荷物の出し入れもスムーズに行えます。

狭小地でも駐車スペースを確保できる

都市部の住宅密集地では、十分な広さの土地を確保することが難しく、駐車スペースに悩む方も多いです。ビルトインガレージを採用することで、この問題を解決できます。

建物の一部に車庫を組み込むため、限られた敷地を最大限に活用できるでしょう。広い土地を購入しなくても駐車スペースを確保できることから、都市部の狭小地で住宅購入を考えている場合や予算が限られているケースで、ビルトインガレージは有効な選択肢となります。

室内までの動線が短くなる

室内までの動線が短くなることも、ビルトインガレージの利点です。建物内にガレージが組み込まれているため、室内への扉を設置すれば、車を降りたらすぐに家の中に入れます。

雨や雪の日でも、外に出ることなく車から室内へ、または室内から車へ移動できるため、濡れる心配がありません。買い物帰りで重い荷物がある場合でも、負担を大幅に減らせます。

愛車を眺めながら過ごせる

ビルトインガレージは愛車を眺めながら過ごせるのも魅力です。例えばリビングや書斎の隣にガレージを配置し、間仕切り壁をガラスにすれば、車を近くに感じながらくつろげる特別な空間になります。

朝起きてすぐに愛車の姿を確認したり、リビングで家族団らんの時間を楽しみながら車を眺めたりすることも可能です。車を移動手段だけではなく、大切なコレクションとして扱っている方にとっても、ビルトインガレージは理想的な選択となるでしょう。

明るい2階リビングの間取りになる

ビルトインガレージを採用した住宅では、1階のスペースの多くが車庫として使われるため、自然と2階リビングの間取りになるケースが増えます。

2階リビングには、採光や眺望の良さといった大きなメリットがあります。通行人の視線も気にならないため、プライバシーを確保しやすくなるのも利点です。高い位置にあるリビングで、明るく開放感のあるくつろぎの空間を得られます。

容積率が緩和される

ビルトインガレージを設置する場合は、容積率が緩和されるメリットもあります。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。例えば、面積100平方メートルの土地で容積率が80%の場合、建築できる建物の延床面積は80平方メートルまでとなります。

ビルトインガレージのように屋根や壁で囲まれている部分は、延べ床面積の計算に含めるのが通常ですが、ビルトインガレージの面積は、延床面積の5分の1までは容積率の計算に含めなくてよい特例があります。

例えば、延べ床面積が80平方メートルの場合は、16平方メートル(=80平方メートル ÷ 5)まではガレージを延床面積に含める必要がありません。つまり、その分だけ居住スペースを確保できることになります。

※出典:法令検索.「建築基準法施行令第二条1項四号 イ、3項一号」.(2024-08-02).

ビルトインガレージには多くのメリットがありますが、同時に考慮すべき欠点もあります。ここからは、ビルトインガレージを設置する際の主なデメリットを解説します。

1階の居住スペースを削ることになる

まず、ビルトインガレージを設置する際に挙げられるデメリットは、1階の居住スペースが削られることです。大きな間口のガレージを1階に組み込むため、その分だけ居室スペースが犠牲となります。敷地が狭い場合、居住スペースを確保するため3階建てにするケースが多いですが、3階建て住宅は動線の設計が難しく、使い勝手が悪くなる懸念があります。

ビルトインガレージを組み込んで3階建てにするケースでは、慎重に間取りを検討しましょう。実績豊富なプロに相談すれば、将来的な生活スタイルの変化なども考慮しながら、使いやすい間取りを提案してもらうことができます。

建築費用が高くなる

ビルトインガレージを採用すると、建築費用が高くなります。大きな開口部を設けることで建物の強度が低下するため、強度を高める工法が必要となるためです。ガレージの使い勝手を良くするための電動シャッターや、排気ガスを効果的に室外に排出する換気システムなど、専用設備の導入も必要になります。

ビルトインガレージの採用を検討する際は、そのメリットと費用面のバランスを慎重に考慮することが重要です。ご自身のライフスタイルや予算と照らし合わせ、必要性を入念に検討しましょう。

エンジン音やシャッター音が気になる

ビルトインガレージは便利である一方、音の問題には注意が必要です。ガレージ内は音が響きやすい構造のため、車のエンジン音が家全体に伝わりやすくなります。ガレージの隣に寝室を設けると、深夜の帰宅時に睡眠中の家族を起こしてしまう可能性があります。小さな子どもや高齢者がいる家庭では、より配慮が求められるでしょう。ガレージの隣には寝室やリビングではなく、深夜には使わない個室を配置するなどの対策が考えられます。

またシャッターの開閉音にも気を配る必要があります。時間帯によっては家族だけでなく、近隣への迷惑にもなりかねません。シャッター選びの際は、静音タイプを選ぶなど騒音を軽減する配慮が不可欠です。

換気対策が必要になる

換気対策が必要になることも、ビルトインガレージを設置するデメリットです。屋内にガレージを設けることで、車の排気ガスがたまりやすくなり、ガレージ内に充満してしまう恐れがあります。排気ガスに対処するには、適切な換気システムの導入が不可欠です。換気扇や窓を設けるなど、排気ガスを屋外に排出する仕組みを整える必要があるでしょう。

ガレージと居住空間の境界部分の気密性を高め、排気ガスが家の中に流れ込まないように注意することも大切です。計画段階から住宅の専門家と相談し、適切な対策を取ることをおすすめします。

ガレージの使い勝手が悪くなる可能性がある

ビルトインガレージを設置する際、単に車を収納するスペースとしてだけでなく、日常的な使い勝手を考慮することが重要です。ガレージの広さが不十分だと、トランクを開けにくくなったり、ドアの開閉が難しくなったりする可能性があります。

十分な広さを確保できず、車用品や工具をガレージ以外の場所に保管することになると利便性が落ちます。タイヤを置いたり、交換したりするスペースも必要になるでしょう。

ビルトインガレージを設置する場合は、車を駐車するスペースだけでなく、ドアやトランクを開けた状態のスペースや、物の収納場所なども含めて設計することが大切です。

事前に車検証で車のサイズを確認し、プロの意見を聞きながら、移動や収納の使い勝手も考慮して十分な余裕スペースを設けることをおすすめします。将来の車の買い替えも視野に入れ、より大きな車種になった場合も想定することで、後悔のないマイホームづくりにつながるでしょう。

ビルトインガレージを設置する際の注意点やポイント

ビルトインガレージは車を大切に扱いたい方にとって魅力的なスペースとなりますが、設置する際にはいくつかの注意点があります。快適なガレージを実現するために、設計や施工の段階で考慮すべきポイントを解説します。

床材は水や汚れに強い素材を選ぶ

一つ目は、床材に水や汚れに強い素材を選ぶことです。耐久性と機能性を重視した素材にすることで、水や油などによる汚れを抑えられます。

ビルトインガレージの内部では、大量の水を使う洗車などは行うべきではありません。しかし、雨や雪で濡れた車を停めることがあるため、床材は耐水性のある素材にすることが重要です。一般的には、耐水性が高く、摩擦による傷が付きにくいコンクリート床が選ばれます。

排水口とシンクを備える

ビルトインガレージの中で車やバイクのメンテナンスをすると、床が汚れることがあります。水で汚れを落とす必要性が生じる場合に備え、あらかじめ排水口を設置しておくと便利です。さらにシンクも備えておけば、手洗いや工具の洗浄などをその場で行うことができ、作業効率が向上します。

床に傾斜をつくる

ビルトインガレージを設計する際、床に傾斜を付けておくこともおすすめします。洗車することはないにしても、雨の日に車に水滴がついたり、メンテナンスする際に少量の水を使ったりするケースが考えられます。床に傾斜を設けておけば効果的に排水できるため、水で足を滑らせる危険性も抑えられるでしょう。湿気による床材の劣化も防ぐことができ、ガレージの耐久性向上も期待できます。

シャッター選びは入念に行う

ビルトインガレージを設置する際は、防犯面などで必須の設備となるシャッター選びを入念に行うこともポイントです。電動シャッターは、雨天時でも車内から操作できる便利さがありますが、導入費用が高くなります。手動シャッターは電動より安く設置できますが、開け閉めのたびに乗り降りする手間を負担に感じるでしょう。

音の大きなシャッターだと近所迷惑にもなるため、できるだけ静音性の高いモデルを選ぶことが重要です。

相談する建築会社を慎重に選ぶ

ビルトインガレージの設置を検討する際は、相談する建築会社の選択も重要となります。経験豊富な建築会社なら、ガレージ特有の注意点を踏まえた適切な建築計画や、理想的な間取りを提案してくれるでしょう。土地から探す場合は、ビルトインガレージの設置を前提に土地を選別できる建築会社に相談するのがおすすめです。

数々の注文住宅を手掛けてきたタイセーハウジングでは、土地探しから資金計画、設計、施工、アフターメンテナンスまで一貫してサポートいたします。家づくりに求められるスタッフがそろっており、各分野の専門家がお客さまの事情に応じた家づくりをお手伝いします。お子さまの成長など将来を見据えたご提案ができるタイセーハウジングの利用を、ぜひご検討ください。

ビルトインガレージは、車を駐車するだけの場所ではなく、工夫次第でさまざまな用途に活用できるスペースになります。ここからは、ビルトインガレージの魅力的な活用例をご紹介します。

倉庫として活用する

ビルトインガレージは、倉庫としても活用できます。室内に置くのが難しいガーデニング用品やロードバイク、キャンプ用品などを収納するのにも理想的な場所です。季節性の高い道具や大型の趣味用品は使わない期間も多いことから、天候の影響を受けず劣化を防げるガレージに入れておくのが安心です。

趣味のスペースにする

ビルトインガレージは、趣味を楽しむスペースとしても活用可能です。書斎やカフェスペースとして使える他、DIYや野球の素振りなど一定の広さが必要な趣味にも適しています。

またビルトインガレージは壁やシャッターに囲まれたプライベートな空間のため、プラモデルや雑誌など、コレクションしているグッズの展示場所としても最適です。車を出せば広々とした空間を生み出せることから、多様な使い方が想定できます。

子どもの遊び場にも変わる

ビルトインガレージは、天候に左右されない子どもの遊び場としても活用できます。雨の日や猛暑の日など、外での遊びが難しい日でも、ガレージ内は遊ぶスペースとしてぴったりです。隣にリビングを設けて窓から見えるようにしておけば、走り回ったり、おもちゃで遊んだりする様子を身近で見守れます。手が放せず外で遊ばせるのが心配なときでも、安心して遊ばせておくことができるでしょう。

タイセーハウジングが手がけたビルトインガレージの実例をご紹介します。機能性とデザインの調和を体現したのが特徴で、ツートンカラーの外観を採用し、グレーのアクセントカラーでガレージスペースを視覚的に区別できるようにした事例です。

玄関横にガレージを配置して、雨の日でも快適に家と車の間を移動できるようになっています。シャッターを設置して防犯性を高めた他、ガレージに小窓を付けて自然光をガレージ空間に取り込みやすくしました。ガレージと玄関を隔てる壁を取り除くことで、開放的なデザインとなっています。

こちらから実際のお写真をご覧いただけます。

ビルトインガレージを設置すると、愛車を停めるスペースを確保できるだけでなく、さまざまな活用方法で暮らしを豊かにできます。適切に設計すれば快適な多機能スペースを得られますが、魅力を最大限に引き出すには慎重な計画が必要です。

理想的なガレージを実現するには、暮らし全体とのバランス、土地の特性、希望する間取り、そして予算との兼ね合いも考慮することが重要です。使いづらいガレージや間取りになる失敗を避けるには、メリットだけでなくデメリットにも配慮してください。経験豊富なプロのアドバイスを受けることで、ビルトインガレージを最大限に活用し、快適な暮らしを実現できるでしょう。

タイセーハウジングは神奈川県厚木市や東京都世田谷区を拠点とし、これまでに1,000棟以上の住宅をお引き渡ししてきました。「ビルトインガレージの家にしても広いリビングを確保したい」「ガレージの車を眺めながら暮らしたい」。このようなお客さまの希望や理想を「カタチ」にすることが、タイセーハウジングの強みです。家づくりに関することはどのようなことでもお気軽にご相談ください。