2025/5/15 公開
注文住宅を検討する際、予算が4000万円でどのくらいの広さや設備の家が建てられるのかは、多くの方が気になるポイントです。土地込みか土地代別かによって、建てられる住宅の大きさや内容は大きく変わります。
本記事では、土地の有無による予算の違いをはじめ、建築費・附帯工事費・諸費用といった注文住宅に必要な費用の内訳を解説します。年収別の住宅ローン返済計画の考え方や、資金計画の立て方、工務店・ハウスメーカー選びのポイントまで紹介するので、予算内で希望の住まいを実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
注文住宅の予算が4000万円でも、「土地代を含むかどうか」で建てられる家の大きさや仕様は大きく変わります。土地代を別に考えた場合と、土地込みで考えた場合、それぞれで実現できる注文住宅の内容を詳しく解説します。
土地代を含まない場合、4000万円の予算を全て建物に関する工事に充てられます。全国的に見ても、予算4000万円は注文住宅としては高めの予算です。国土交通省の建築着工統計調査によると、2023年度の一戸建て住宅(平均約34坪)の建築費は全国平均で2836万円でした。東京都でも約35坪で3432万円となっており、4000万円あれば高品質な住宅が建てられる水準です。
例えば、北欧風や和モダンなど、デザインにこだわった住宅も選びやすくなります。自然素材や輸入建材を取り入れた家づくりも可能で、自由度の高い設計ができるのが魅力です。太陽光発電や最新の空調設備なども導入しやすく、快適で自分らしい暮らしを実現できるでしょう。
※参考:e-Stat政府統計の総合窓口.「建築着工統計調査 住宅着工統計」(参照 2025-03-31)
予算4000万円で土地込みの注文住宅を検討する場合、建物に充てられる金額は限られ、家づくりの自由度は土地代別より下がります。住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅の所要資金は次の通りです。
【土地付き注文住宅の所要資金】
土地代の高い大都市ほど予算オーバーになりやすい傾向が見て取れる上、その他地域でも4000万円を超えていることから、全国的に土地込みで注文住宅を建てるには4000万円では厳しいことが分かります。
面積の全国平均は111.2平方メートル(約33坪)ですが、建築資材や人件費の高騰で住宅価格が上昇する中、予算内に収めるには面積縮小が必要になる場合もあるでしょう。水回りの設備や建材のグレードを下げるなどの工夫も求められる可能性があります。
【土地付き注文住宅の住宅面積】
一方、間取りを工夫して空間を有効活用すれば、狭さを感じさせない家を実現できます。土地と建物をセットで考える際は、予算配分を慎重に行い、優先順位を明確にするのが重要です。
※出典:住宅金融支援機構.「2023年度 フラット35利用者調査」“2024年7月26日”(参照 2025-03-31)
注文住宅には本体工事費だけではなく、附帯工事費や諸費用などさまざまなコストが発生します。注文住宅にかかる費用の内訳を項目ごとに解説します。
注文住宅を建てるときに必要な費用には、建築費、附帯工事費、諸費用があります。
注文住宅に必要となる費用
項目 | 内容 |
---|---|
建築費 | 建物本体の建築費用。基礎工事や内外装工事、空調などの設備費が含まれる |
附帯工事費 | 建物以外の工事費用。地盤改良や外構工事、給排水やガスの引き込み工事などがある |
諸費用 | 各種手続きや税金、保険料などの費用。登記費用や住宅ローン手数料、火災保険料などが含まれる |
一般的には、建築費が費用全体の約7割を占め、次いで附帯工事費が約2割、諸費用が1割程度です。
注文住宅の予算を考える際には、建築費だけで判断せず、総額で資金計画を立てることが重要です。見積もりを取る際も、費用の内訳を確認することをおすすめします。特に附帯工事費は土地の状態によって大きく変動するため注意が必要です。
附帯工事費とは、建物本体以外の工事費用です。古家のある土地では解体工事が該当し、地盤が弱ければ地盤改良工事も附帯工事として行います。屋外の給排水や電気の引き込み工事も含まれます。これらは土地の状態によって大きく変動するため、購入前の調査が重要です。
この他、駐車場や庭、フェンスなどの外構工事も附帯工事費に含まれます。内容によっては想定以上に予算が膨らむ可能性があるため、建物の予算と一緒に検討するのがおすすめです。
注文住宅の諸費用とは、建物本体や附帯工事以外に必要となるさまざまな費用を指します。具体的には、次の費用が挙げられます。
注文住宅に必要な主な諸費用
土地を購入する場合には、不動産会社に支払う仲介手数料や、土地に関する登記費用、不動産取得税なども発生します。地鎮祭や上棟式は任意で行うもので、必須ではありません。
さらに、家が完成して生活を始めるには、引っ越し費用や家具・家電の購入費も必要です。予算オーバーにならないためにも、資金計画を立てる際は諸費用を含めた総額を意識して検討してください。
注文住宅を建てる際には、建築費や附帯工事費、諸費用の総額を把握した上で、頭金やローン返済を考慮した資金計画が欠かせません。ここでは、4000万円の予算で建てるケースの資金計画を解説します。
注文住宅を建てる際、多くの人が住宅ローンを利用します。頭金としていくら手持ち資金を用意できるかによって、借入額や月々の返済負担が大きく変わります。
一般的に頭金の目安は、総額の10〜20%です。実際、住宅金融支援機構の「2023年度 フラット35利用者調査」では、注文住宅を購入した人の頭金の平均額は699万円で、費用全体の18.1%でした。土地付き注文住宅では473.8万円で9.7%です。4000万円の住宅であれば、400万~800万円が目安となります。
近年では頭金なしでも住宅を購入できるケースがありますが、頭金を多く用意できれば借入額を抑えられ、返済負担の軽減や金利優遇などのメリットが期待できるでしょう。
※出典:住宅金融支援機構.「2023年度 フラット35利用者調査」“2024年7月26日”(参照 2025-03-31)
住宅ローンをいくら借りられるかの目安となるのが「年収倍率」です。住宅購入価格を年収で割った数値で、計算式にすると次のようになります。
年収倍率 = 住宅購入価格 ÷ 年収
例えば、4000万円の家を年収400万円の方が購入する場合、年収倍率は10倍(=4000万円 ÷ 400万円)となります。金融機関では一般的に、年収の8倍程度まで借り入れが可能です。実際に、2023年度の住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によれば、年収倍率は注文住宅のみが平均7.0倍、土地付き注文住宅が7.6倍です。これは4000万円の注文住宅を建てる場合、年収600万円が一つの基準となることを示します。
ただし、年収倍率に収まっているからといって、限度額いっぱいまで借入をするのはリスクがあります。年収に残業代やボーナスが含まれている場合、それらが減少した途端に返済が苦しくなることもあるからです。転職して年収が下がるケースもあるでしょう。
同じ年収でも生活スタイルや支出内容は家庭によって異なるため、無理のない範囲で借り入れを検討することが大切です。返済計画を立てる判断基準に「返済負担率」という指標もあり、次項で詳しく解説します。
※出典:住宅金融支援機構.「2023年度 フラット35利用者調査」“2024年7月26日”(参照 2025-03-31)
返済負担率とは、住宅ローンの返済が家計に与える影響を把握するための指標です。
計算式は次の通りです。
返済負担率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100
例えば、年間返済額が80万円で年収が500万円だとすると、返済負担率は16%(=80万円 ÷ 500万円 × 100)です。
通常、返済負担率は20〜25%以内に収まれば良いとされています。負担率を軽減するには、頭金を多めに用意したり、計画的に繰り上げ返済を活用したりする方法があります。親から資金援助を受けるのも一つの方法です。
返済負担率を考慮すると、4000万円の注文住宅を購入する場合の適正な返済額が見えてきます。ここでは「頭金なし」「頭金400万円」「頭金800万円」の3パターンに分けて、年収別の返済負担率を比較します。
なお、融資の前提条件の設定は次の通りです。
年収400万円の場合、頭金を20%分用意すれば、返済負担率が25%まで下がります。つまり、予算4000万円の注文住宅なら800万円の頭金を準備できると購入が現実的となります。
年収400万円の場合の返済負担率
頭金 | 返済負担率 |
---|---|
頭金なし | 返済負担率31.25% =年間返済額約125万円 ÷ 年収400万円 × 100 |
頭金400万円(10%) | 返済負担率28% =年間返済額約112万円 ÷ 年収400万円 × 100 |
頭金800万円(20%) | 返済負担率25% =年間返済額約100万円 ÷ 年収400万円 × 100 |
※4000万円の注文住宅を購入する場合の頭金と借入額と返済額
頭金 | 借入額 | 総返済額 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
なし | 4000万円 | 約4361万円 | 約125万円 |
400万円(10%) | 3600万円 | 約3925万円 | 約112万円 |
800万円(20%) | 3200万円 | 約3489万円 | 約100万 |
※参考:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」(参考2025-03-31)
年収500万円の場合は、頭金なしでも返済負担率はちょうど25%に収まります。さらに頭金を用意すると、より安心できる返済プランを立てられるでしょう。
年収500万円の場合の返済負担率
頭金 | 返済負担率 |
---|---|
頭金なし | 返済負担率25% =年間返済額約125万円 ÷ 年収500万円 × 100 |
頭金400万円(10%) | 返済負担率22.4% =年間返済額約112万円 ÷ 年収500万円 × 100 |
頭金800万円(20%) | 返済負担率20% =年間返済額約100万円 ÷ 年収500万円 × 100 |
※4,000万円の注文住宅を購入する場合の借入額と返済額
頭金 | 借入額 | 総返済額 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
なし | 4000万円 | 約4361万円 | 約125万円 |
400万円(10%) | 3600万円 | 約3925万円 | 約112万円 |
800万円(20%) | 3200万円 | 約3489万円 | 約100万 |
※参考:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」(参考2025-03-31)
年収600万円になると、頭金なしでも返済負担率がほぼ20%に抑えられます。さらに頭金を用意できれば、ゆとりある返済プランを立てられます。
年収600万円の場合の返済負担率
頭金 | 返済負担率 |
---|---|
頭金なし | 返済負担率20.83% =年間返済額約125万円 ÷ 年収600万円 × 100 |
頭金400万円(10%) | 返済負担率18.66% =年間返済額約112万円 ÷ 年収600万円 × 100 |
頭金800万円(20%) | 返済負担率16.66% =年間返済額約100万円 ÷ 年収600万円 × 100 |
※4,000万円の注文住宅を購入する場合の借入額と返済額
頭金 | 借入額 | 総返済額 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
なし | 4000万円 | 約4361万円 | 約125万円 |
400万円(10%) | 3600万円 | 約3925万円 | 約112万円 |
800万円(20%) | 3200万円 | 約3489万円 | 約100万 |
※参考:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」(参考2025-03-31)
年収700万円になると、頭金なしでも返済負担率は10%台となり、余裕を持った返済が可能です。
年収700万円の場合の返済負担率
頭金 | 返済負担率 |
---|---|
頭金なし | 返済負担率17.85% =年間返済額約125万円 ÷ 年収700万円 × 100 |
頭金400万円(10%) | 返済負担率16% =年間返済額約112万円 ÷ 年収700万円 × 100 |
頭金800万円(20%) | 返済負担率14.28% =年間返済額約100万円 ÷ 年収700万円 × 100 |
※4,000万円の注文住宅を購入する場合の借入額と返済額
頭金 | 借入額 | 総返済額 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
なし | 4000万円 | 約4361万円 | 約125万円 |
400万円(10%) | 3600万円 | 約3925万円 | 約112万円 |
800万円(20%) | 3200万円 | 約3489万円 | 約100万 |
※参考:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」(参考2025-03-31)
以上、年収別の返済負担率を確認しました。今後の教育資金や転職など、ライフスタイルの変化で返済の負担率は変わることもあるので、注意してください。
変動金利の場合は、今後金利が上昇する可能性を見込んだ返済計画を立てる必要もあります。金利上昇の影響を避けるために固定金利を利用する場合は、変動金利よりも総返済額が増えるため、入念なシミュレーションをおすすめします。
希望する注文住宅を実現するには、信頼できる工務店やハウスメーカー選びが重要です。ここでは、住宅会社を選ぶ際に確認するべき主なポイントについて解説します。
工務店やハウスメーカーを選ぶ際は、ご自身の希望する間取りやデザインを実現できるかの確認が大切です。会社によって得意とする工法やデザインのテイストは異なります。
例えば、ハワイ風の家を希望したとしても、シンプルモダンを得意とする会社では満足のいく仕上がりにならない可能性があります。事前にホームページやカタログなどで施工事例を確認し、気になる会社があった場合に直接問い合わせて相談するのがおすすめです。
希望する間取りやデザインが実現できても、予算を大きく超えると家は建てられないため、予算内で購入できるかを確認するのが大切です。
建築費だけではなく、外構工事や地盤改良工事を含む附帯工事費などは工務店やハウスメーカーごとに差があります。建築確認の申請や住宅ローンの手続きサポートなど諸費用にも違いがあるため、事前に確認するのがおすすめです。
予算が4000万円であれば、それが土地込みなのか、土地代とは別なのかを担当者に明確に伝えた上で、希望を実現できるのか相談してみましょう。
注文住宅を成功させるには、安心して家づくりを任せられる信頼できる担当者を見つけることが重要です。レスポンスが早いかどうか、できないことやデメリットを正直に伝えてくれるか、代替案をしっかり提案してくれるかなど、対応力や誠実さを見極めましょう。
土地込みで注文住宅を建てる場合、限られた予算内で満足のいく家を建てるには工夫が必要です。土地選びから家づくりまでのポイントを解説します。
土地込みで4000万円の注文住宅を考えるなら、土地と建物を同時に検討することが大切です。並行して進めることで、予算配分や建物に必要な広さが明確になるためです。土地だけを先に決めてしまうと、希望の間取りが実現できなかったり、地盤改良など予想外の費用が発生したりするリスクがあります。
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土地込みで家を建てる場合こそ、性能の良さを重視する必要があります。気密性・断熱性の高い住宅や、地震に強い構造、メンテナンスの手間が少ない外壁材などを選ぶことで、ランニングコストを抑え、安心して快適に暮らせる注文住宅を実現できるでしょう。
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住宅ローンを利用して家を建てる際は、無理のない返済計画が重要です。頭金なしの借り入れや「借りられるだけ借りる」などの選択をすると、将来的に返済が厳しくなる可能性があります。ライフスタイルや家族構成、教育費や老後資金なども見据え、現実的に返済できる金額をしっかりと検討しましょう。
タイセーハウジングには専任のマネーコンサルタントが在籍しており、お客さま一人ひとりに合わせたマネープランをご提案します。「何から考えたら良いのか分からない」「4000万円のローン返済は本当に大丈夫?」という素朴な疑問でも、どうぞお気軽にご相談ください。
予算4000万円で注文住宅を建てるには、建築費・附帯工事費・諸費用を把握した上で、無理のない資金計画を立てるのが大切です。土地込みの家づくりでは、土地と建物を同時に検討し、性能の高い住宅や将来を見据えた返済計画も重要なポイントとなります。
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