2024/12/16 公開
注文住宅を建てるなら、自分の趣味の時間を存分に楽しめる空間を作りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。楽器演奏や音楽鑑賞、映画鑑賞を趣味としている方なら、周りへの音漏れを気にせず楽しめる防音室を作るのもおすすめです。
この記事では、防音室にはどのような種類があり、どのくらいの費用がかかるのかなどの基本知識を解説するとともに、注文住宅に設置するメリット・デメリットや注意点についても紹介していきます。好きな音楽や映画を存分に楽しめる、満足度の高い住まいをかなえたい方は必見です。
防音室とは、一般的な部屋に比べて防音性の高い部屋のことをいいます。注文住宅に防音室を設ける目的は、部屋の外に音が伝わるのを防ぐことです。あくまでも防音性が高いのであって、周囲への音漏れを100%シャットアウトできるわけではありません。
音の伝搬には、大きく分けて空気伝搬と固体伝搬の2種類があります。空気伝搬は空気の振動によって音が伝わっていく現象を指し、固体伝搬は柱やコンクリートといった建物の構造体などの振動で音が伝わっていく現象を指します。防音室は、吸音材と遮音材の2つを組み合わせて作られるのが基本です。
防音室の遮音性能を表す指標として遮音等級があります。遮音等級は遮音性能を数値化したもので、D値またはDr値で表します。遮音材を使用すると、壁を通り抜ける音が小さくなるため、壁に入る音と透過する音の大きさの差を求めれば、遮音等級を割り出すことが可能です。
音の大きさを表す単位はデシベル(dB)で、音が大きくなるほどデシベルの数値も大きくなります。例えば、遮音等級D-70(Dr-70)の防音室の場合、室内で発した100dBの音を30dBまで軽減することが可能です。適切な遮音等級は、防音室の目的や用途、周辺環境などによって異なります。
防音は、吸音と遮音という2つの機能を組み合わせることで実現します。それぞれを簡単にまとめると次の通りです。
防音室を作る際は、遮音の反響を吸音で防ぎつつ、吸音で通り抜ける音を遮音で軽減するという、2つの機能のバランスを考えることが大切です。
注文住宅に防音室を設置したい場合、設置方法に応じて2種類から選択できます。防音室に求める広さやかけられる費用などに応じて、適切なものを選びましょう。
組み立て式防音室はボックスを組み立てて作る防音室のことで、簡易防音室またはユニット式防音室とも呼ばれます。1畳程度から希望の広さで設計することが可能です。ボックス状のユニットを設置すればよいので、比較的短時間で設置できる上、既存の室内への後付けもできます。
ただし、通常の部屋に比べて天井が低くなるので、圧迫感が出やすくなります。楽器の練習やレコーディングなど、狭くても防音効果の高い空間を作りたい場合に選ぶとよいでしょう。
居室の一室を丸ごと防音室にするのが、フルオーダー式防音室(リフォーム式防音室ともいう)です。部屋そのものを防音室にするので、設計段階から壁や床に最適な資材や防音方法を取り入れられる他、空間を最大限使った使い心地の良い空間を実現できるのが魅力です。
一方、組み立て式に比べてコストが高いため、防音室の利用頻度が高い場合や、スタジオ、シアタールームなどをこだわって作りたい場合に向いています。
注文住宅に防音室を設けると、趣味や娯楽の時間がより充実したものになります。自宅にある防音室は、次のような用途に使えるでしょう。
防音室は室内で発した音が外に漏れにくいので、ピアノ、ギター、ドラムなどの楽器を演奏するのに最適です。楽器は日々の練習が大切なので、手軽な練習場所として重宝するでしょう。ある程度の広さを確保した防音室であれば、バンド仲間との練習やセッションも可能です。
映画や音楽が好きな方にとって、サラウンドの大音量で映像作品を楽しみたい方も多いでしょう。しかし、本格的な音響システムを置くと重低音が響くため、普通の部屋では近所迷惑になってしまいます。防音性の高いシアタールームを設ければ、映画館のような空間の中、周囲を気にせず、好きな映画やアーティストのライブ映像を楽しめるでしょう。
防音室があれば、カラオケボックスに行かなくとも、家でカラオケを手軽に楽しめます。市販のカラオケ設備を設置したり、インターネットのカラオケシステムを導入したりすれば、専用のカラオケルームになります。歌の練習や家族・友達との交流、ストレス解消などに使えるでしょう。
新築の注文住宅にフルオーダー式の防音室を作る場合、1坪当たり100万円前後が目安です。6畳1部屋を防音室として整備しようとすると、250万円程度が目安となります。面積が広いほど費用が高くなる他、防音性能や構造によっても相場が変わります。用途に合った性能・機能と予算のバランスで、適切な仕様を考えましょう。
なお、1坪程度の組み立て式防音室であれば、10万円程度で設置可能なものもあります。一人で作業をしたり楽器練習をしたりする程度であれば、組み立て式を検討してもよいかもしれません。
防音室があることで、普段の暮らしがより充実したものになるでしょう。注文住宅に防音室を作ると、次のようなメリットが期待できます。
普通の部屋で楽器演奏をしたり、大音量で映画鑑賞やライブ鑑賞をしたりすれば、騒音による近隣トラブルに発展する恐れがあります。防音室があれば、周囲や近隣への影響を気にすることなく、楽器やオーディオの性能を最大限に発揮して趣味を楽しめるでしょう。
遮音性を重視して作れば、他の部屋に音が響くことも防げるので、家族が寝ている深夜や早朝でも趣味に浸れます。
吸音と遮音のバランスを考えつつ音響にこだわることで、まるでその場にいるかのような臨場感のある音を楽しめます。シアタールームとして、最適な場所にスピーカーを設置すれば、自宅にいながら映画館のような立体音響を再現することも可能です。
普通の部屋だと、どれだけ高性能なサウンドシステムを導入したとしても、性能を十分に発揮できません。大音量かつ高音質で音楽や映画を楽しみたいのであれば、防音室のような特別な空間を整備する必要があります。
音楽の練習のために防音を作っておけば、レンタルスタジオの利用料金やスタジオまで移動するための交通費や時間を節約できます。カラオケが趣味であれば、防音室にカラオケセットを設置して、カラオケ店に行く費用を浮かすこともできるでしょう。
防音室は設置費用がかかるものの、レンタルスタジオ代やカラオケ代を払い続けることを考えれば、長期的に見て経済的な可能性もあります。スタジオやカラオケの利用頻度が高い方ほど、防音室を作るのがおすすめです。
自宅に防音室があると、楽器練習用のスタジオやシアタールーム、カラオケといった目的以外にも多用途で使えて便利です。例えば、大音量で世界観に没入しながらゲームを楽しんだり、雑音をシャットアウトして読書に没頭する書斎として使ったりするのもよいでしょう。
外部からの音を気にせず集中できるので、勉強や仕事をするための場所や、リモート会議を行う場所としても最適です。
多目的に使えて便利な防音室ですが、注文住宅に設置するに当たって注意すべき点もあります。以下で4つのポイントを順番に見ていきましょう。
先述の通り、フルオーダー式防音室を設置する場合、1坪当たり100万円程度の費用がかかります。どれくらいの広さにするのか、仕様や性能をどこまで充実させるかによっても異なりますが、フルオーダー式防音室にしようとすると、数百万円単位のコストがかかるケースもあるでしょう。
一方、組み立て式防音室であればコストを抑えられますが、用途が制限されがちです。防音室を作るときは、希望する用途に必要な性能、設備、面積、費用とのバランスを慎重に検討しなくてはなりません。
防音室を1部屋作ろうとすると、他の居住スペースや収納スペースが減る可能性があります。十分な広さの敷地に建物を建てるのであれば問題ありませんが、都市部の狭小住宅に防音室を設ける場合、生活に必要なスペースを確保できるよう間取りの工夫が必要です。
さまざまな用途で使える防音室を作るなら、土地探しの段階からスペースに余裕のある敷地を検討すべきでしょう。
防音室は音が外に漏れにくいよう、気密性を高めた作りになっています。気密性が高いと室内の空気や熱がこもりやすくなるため、冬は暖かく過ごせる一方、夏は高温になりがちです。楽器やオーディオの精密な機械などは、高温の環境下で保管していると壊れてしまう可能性があります。
快適かつ安心して使える防音室にするには、温度を一定に保てる空調設備を整えましょう。
仕事の用途で防音室を使う場合は、将来にわたって使い続ける可能性が高いものの、趣味や子どものためのスペースとして設けるとなると、いつかのタイミングで使わなくなることも考えられます。
せっかく大きなコストをかけて設置したにもかかわらず、デッドスペースになってしまうのはもったいないことです。そのため、複数の用途で使える仕様にしておく、不要になる可能性があるなら組み立て式で解体できるようにしておく、などフレキシブルに運用できるように対策するのがおすすめです。
実際に注文住宅で防音室を設置した実例として紹介するのは、趣味で楽器演奏を楽しむために作った防音室です。
個人で楽器を練習するための空間なので、防音室内は余計なものを置かないシンプルな作りになっています。室内照明はスポットライトになっており、譜面台を集中的に照らせば、楽譜が見やすく演奏に集中できます。
防音室では室内に音が漏れないよう二重ドアにすることもありますが、あえてリビングまで演奏する音が届くよう、ドアを一枚のみにしているのが特徴です。複数人でセッションしていても、玄関ドアと防音室のドアをしっかり閉めていれば、屋外まで音が漏れることはほとんどありません。
注文住宅に防音室を作る場合、先述のようなデメリットを理解しておく必要があります。その上で、どのようなことに注意すればいいのかポイントを解説していきます。
主な用途によって防音室に求められる性能や仕様が異なってくるため、まずは用途を明確にしておくことが大切です。音楽演奏がメインの防音室であれば、外に音が漏れないことを第一に考える必要があります。一方で、シアタールームとして利用するのであれば、音響を優先したいところです。書斎や作業スペースとして使うのであれば、外部からの音をシャットアウトすることに重きを置いた方がいいでしょう。
加えて、防音室を使う時間帯が昼なのか夜なのかによっても、必要な性能は変わります。防音室を設置する場合は、用途や利用シーンをはっきりさせた上で建築会社に相談しましょう。
子どもの習いごとやプレイルームとして防音室を整備する場合は、ライフスタイルの変化によって、将来防音室を使わなくなる可能性も考えられます。貴重な居住スペースの一部を使って防音室を設置するのであれば、今後のライフスタイルの変化も考慮した上で広さや設備などを決めるのがおすすめです。
子ども用のスペースとして使うなら、カウンターテーブルを設けて書斎や趣味部屋に転用できるようにしておくなど、多様な使い方ができるようにしておくと、防音室がデッドスペースになることを避けられるでしょう。
気密性の高い防音室は、夏に室内が暑くなりがちです。また、空気がこもりやすいので、常に換気できるようにしておかないと、居心地の悪い空間になってしまいます。快適な環境の防音室にするには、空気をしっかりと循環させつつ、音は漏れないように配慮する必要があります。
防音室の用途に合わせて適切な換気システムを選ぶため、建築会社と相談しながら検討しましょう。
防音室の設計には、吸音と遮音のバランスや用途に合わせた換気システムなど、通常の部屋づくりとは異なるノウハウが必要です。注文住宅だからといって必ず設ける部屋ではないため、注文住宅を多く手掛ける建築会社の中でも、防音室の設置に長けている会社は限られます。
失敗を防ぎ、用途に合わせた適切な防音室を作るためにも、防音室の建築実績と専門知識が豊富な会社へ依頼するようにしましょう。
注文住宅に防音室を設けると、楽器演奏や映画・音楽鑑賞、書斎、子どものプレイルームなど幅広い用途に利用できます。ライフスタイルの変化によって宝の持ち腐れにならないよう、将来のこともイメージしながら、用途に合った設備と仕様の防音室を検討しましょう。
厚木・世田谷を拠点に神奈川や東京で注文住宅を手がけるタイセーハウジングは、今回紹介した防音室のある住宅をはじめ、さまざまなご要望を叶える住まいを数多く手がけてきました。防音室に限らず、お客さま一人ひとりのご要望を丁寧に実現するのが当社の強みです。
暮らしを豊かにするプラスアルファの空間がある注文住宅を建てたい方は、ぜひタイセーハウジングへお任せください。