注文住宅の玄関ドア
【玄関ドアの種類と製品】

玄関ドア

玄関ドアは玄関に設置される扉のことを指し、天候や外気・外敵から住まいの内部を守る役割があります。しかし、住んでいる人間の出入りが頻繁に行われるところでもあるので、耐久性・耐候性・防犯性・断熱性・防音性も求められると同時に、人やモノの出入りのしやすさも求められる、矛盾した2つの性能が求められる場所です。
また、玄関回りは人が最初に入る場所で、その家に対する第一印象を与える場所となるため、玄関は『家の顔』といわれます。お客様や通行人にも一番見られる場所となるため、気にされる方はデザインにもこだわっておくとよいでしょう。

玄関の由来
『玄関』という言葉の元は中国『老子』の『玄の又玄なる衆の妙なる門』による語で、日本では鎌倉時代に禅宗で用いられた仏教語です。『玄』は奥が深い悟りの境地を『関』は入り口を示しており、つまり悟りへの関門ということで、鎌倉時代の寺の客殿や方丈などへの出入り口が設けられたのが始まりです。
その後、お寺の学問所である書院の入口も「玄関」と呼ぶようになり、室町時代から桃山時代に武家が取り入れた書院造の中にも武家住宅の入口も「玄関」という言葉は残っていきました。江戸時代以降には庶民の住宅や一般の建物にも用いられるようになり、『悟りへの関門』という本来の意味は薄れ、『建物の出入口』という現在の意味へと変わっていきました。

玄関ドアは開閉のスタイルによって、大きく分けて『開き戸』と『引き戸』があります。『開き戸』は、洋風のデザインで扉を手前に引く、もしくは奥に押すようにして開閉する片開き戸が一般的なタイプになります。『引き戸』はレール上にある扉を左右に滑らせて開閉させるタイプで、和風のデザインが一般的です。それぞれ特徴に違いがあり、どの性能に重きを置くかによって、採用すべき玄関ドアが変わってきます。それぞれの玄関ドアの性質を把握して、しっかりと選べるようにしておきましょう。
また、注意点として現在の玄関ドアはアルミ、スチール、ステンレス、木、ガラス、断熱材などの素材を複合的に組み合わせ、耐久性や断熱性、採光性に違いを持たせています。使われている素材についても確認するようにしましょう。

開き戸タイプ

【メリット】
気密性が高く、断熱性・防犯性・防音性が高い
引き戸より価格が低め

【デメリット】
開閉スペースが必要となり、開口幅が狭い
ドアの開閉時、自分の体を大きく動かす必要がありドアは閉じる力が働くため、小さな子供や老人・けが人、荷物が多い時は開け閉めしづらい

【こういう方にオススメ】
引き戸よりもデザインが豊富なので、玄関を好みの雰囲気にしたい方や、断熱や防犯、防音の性能を重視する方にオススメ

開き戸タイプ

スリットのある玄関ドアを採用することで、日中は電気を付けずに玄関を明るくすることが可能。スリットを採用することで防犯性や断熱性に不安を覚える方も少なくないが、スリット部分に防犯対策や断熱対策を施した複層ガラスを採用することで防犯性や断熱性を確保することが可能だ。

引き戸タイプ

【メリット】
開閉に必要なスペースが少なく、開口幅が広い
ドアを開閉する際、腕を横にスライドするたけでよく、開閉状態が固定されるため、開け閉めしやすい

【デメリット】
気密性が低く、断熱性・防犯性・防音性が低い
開き戸より価格が高め

【こういう人にオススメ】
狭い玄関でも楽に出入りにしたい方や玄関スペースを有効活用したい方、バリアフリーに対応したい方にオススメ

引き戸タイプ

和風なデザインが一般的な引き戸タイプの玄関ドアだが、最近ではスライディングドアと呼ばれる洋風のタイプも出てきている。洋風デザインの住宅にも違和感なく雰囲気を合わせることができるので、上手に活用していきたい。

日本と海外の住居の玄関ドアの違い
日本の玄関ドアのほとんどは内側から外に開き、これを「外開き」といいます。それに対して、欧米のほとんどの扉は外から内側に開く「内開き」となっています。

なぜ海外の玄関ドアはなぜ内開きとなっているのでしょうか?これは、外敵に備えた意識からくるものだといわれています。陸続きで他民族や他国家に侵略される可能性のある海外の地域では、奴隷にされたり命を奪われるような争いも多く、その中で防犯意識も育てられていきました。内開きならば、もし鍵を壊されたとしても家具などで玄関ドアを塞いでしまえば、玄関ドアを内側に開こうとしても家具が邪魔をするので、中に侵入することが困難になります。また、体重をこめて外側に玄関ドアを閉めることもできますし、外に開くような構造になっていないため、バールのようなものでこじ開けることも難しくなります。

では、日本の玄関ドアはなぜ外開きになったかというと、靴を脱いで家にあがる習慣があるからといわれています。内開きだとドアの動線が内側に来るため、靴でドアの開閉に支障が出てしまう可能性があるわけですね。一方西洋では室内でも土足の文化であるため、そのような心配はありません。また、日本は島国で他民族や他国家から侵略される可能性も低く、和を貴ぶ文化が育っていた当時の日本では、防犯よりも利便性を取ったということもあるでしょう。

しかし、日本でもお城や武家屋敷の門などは、外敵に備えるため内開きになっています。他にも違う理由で内開きのドアを採用している例があります。それはホテルの客室やオフィスビルなどで、防災時に避難経路の妨げにならないよう、通路側にはドアが開かないよう内開きとなっています。単なる「内開き」と「外開き」の違いですが、そこに含まれている意味を考えると、国民性や歴史背景など面白いものが見えてきますね。

戸建てとマンションの玄関ドアの違い
戸建てに取り付けられる玄関ドアは様々なものがあり、木製のものからガラスがはめ込まれたものなどバリエーションに富んでいます。一方、マンションの玄関ドアはスチールドアを見かける場合がほとんどです。

まず日本では、安全・安心に生活ができる建物を建築するために『建築基準法』が定められています。なぜなら、建物を建築したりリフォームしたりする場合、それぞれが自分勝手に好きなように自分の家を建築できるようにしてしまうと、災害が起こった時に崩落や延焼により、周囲へ被害が拡大してしまう可能性が生じてしまうからです。

建築基準法では「防火地域」や「準防火地域」に住宅を建築する場合、開口部の中でも延焼の恐れのある部分には防火戸や、必要に応じて防火設備を設置することを規定しています。元々マンション自体、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)などの耐火構造であり、防火地域や準防火地域に建てられることが多いため、必然的にマンションの玄関ドアは防火性の高いスチールドアが採用される場合が多くなります。

お問合わせ・資料請求
お問合わせ・資料請求
お電話でのお問い合わせ