注文住宅の構造
【木造軸組工法とその他の工法の違い】

住まいの構造

家づくりについてまず押さえておきたい知識として、建物の工法・構造があります。
ここでいう構造とは建物を支える骨組みのことで、工法とは骨組みを造る方法のことを指します。工法・構造は大きく分けると、木造軸組工法、木造枠組壁工法、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造、ログハウスなどがあります。
それぞれの工法・構造で材料や組み立て方、住宅を支える仕組みが違うため、耐震性、耐火性、耐久年数、気密性、遮音性、コスト、増改築、通気性に違いがあります。このページではその違いについて解説していきます。

木造軸組工法

日本で古くから用いられてきた伝統的な工法で、上棟式後の餅まきなどでこの構造の家を見たことがある方も多いはず。

木造軸組工法は在来工法とも呼ばれており、現在でも住宅の約8割がこの工法で建てられています。そのため日本の多くの工務店は基本的に木造軸組工法に対応しています。
構造材として木材が使われ、縦軸の柱、横軸の梁、斜めの軸である筋交いから成り立っており、木材と木材同士は、先端に作られてたホゾやミエにより接合されます。そのため以前はこのような加工や接合に大工の技術力による精度のバラツキが出やすい工法でした。しかし、現在では機械による木材の加工や金属による接合の補強が行われることが多くなり、精度のバラツキは出にくくなっています。
基本構造が立方体における辺で支えられる形となっているため、ある程度まで自由な間取り・大きな間口をとることができるのが魅力です。ただし、耐震性の確保のためバランスよく耐力壁(筋交いの入る壁)を設ける必要があるため、設計士とよく相談しましょう。

木造枠組壁工法

北米で主流となっている工法で、日本では壁や床等をパーツとして専門の工場生産できる大手のハウスメーカーが主に取り扱っています。

1970年代から北米から日本へ輸入された工法で、少しずつですが日本でのシェアも増えているようです。ツーバイフォー(2×4)工法とも呼ばれており、名前の由来は基本構造に2×4インチ(38mm×89mm)の木材が主に使用されていることにあります。
木造枠組壁工法では天井、四方の壁、床という立方体の面に当たる部分で建物が支えられる構造となっており、木材の寸法や釘が規格化されることで、大工の技術力による精度のバラツキが発生しにくく、安定した高品質な建物が短期間で建てられる合理的な造りとなっています。しかし、基本構造が立方体における面で支えられる形&木材の寸法や釘が規格化されていることにより、木造軸組工法に比べ間取りや間口の自由度が低くなってしまうというデメリットがあります。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨は鋼材が扱いやすく工場での大量生産に向いているため、主にプレハブ工法(鉄骨系)として用いられるケースが多い。

梁や柱などの骨組みに鋼を用いた建物のことで、鋼材の厚さが6mm未満のものを軽量鉄骨造と呼ばれています。主に戸建てやアパートで多く使用され、部材は工場で作られる現場で組み上げられるプレハブ工法(鉄骨系)となります。構造的には木造軸組工法と似た部分があり、木造軸組工法では斜めの軸に筋交いが使われていましたが、鉄骨系プレハブ工法では斜めの軸にプレースと呼ばれる材が使われます。
専用の工場を持つ大手メーカーで多く採用され、強度に優れる鉄という素材を用いるゆえに、耐震性を保ちつつ大きな空間を造ることが可能です。しかし、部材が規格化されているので、設計できるデザインやメーカー独自の仕様により施工したメーカーしかリフォームを頼らざるを得ないなどの制限があります。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は柱と梁に太くて丈夫な鋼材が使われ、鉄骨の在来工法ともいわれています。

梁や柱などの骨組みに鋼を用いた建物のことで、鋼材の厚さが6mm以上のものを重量鉄骨造と呼ばれています。主にオフィスビルや中高層マンションに多く採用されるほど頑丈な工法で、ラーメン構造(柱と梁から成るシンプルな構造で、ラーメンとはドイツ語で額縁や枠を意味します)とも呼ばれています。
柱や梁はボルトや溶接で枠として強固に一体化されるので、軽量鉄骨造の斜めの軸として入れられるプレースは使われません。そのシンプルかつ強固な構造のおかげで、耐震性を確保しつつも大きな空間を作り出すことが可能ですが、その重さに耐えられる基礎工事や重機の使用が必要となり、建築コストが割高になるのがネックです。

鉄筋コンクリート造

コンクリートを流し込んで造るため、形状の自由度が高く、デザイン性に富んだ高級住宅に使われることが多い。

先進的な住宅や高級住宅、高層ビルにも使われる構造で、「より強化されたコンクリート」の意味であるReinforced Concreteの頭文字を取って、RC造とも呼ばれます。
鉄骨とコンクリートの長所が生かされた構造で、引張力には強いが圧縮力に弱い鉄筋と、圧縮力に強いが引張力に弱いコンクリートを組み合わせることで、耐震性に優れています。RC造の住宅は主に壁式構造が採用され、コンクリートで外気と遮断されるため気密性・遮音性にも優れ、さらに鉄筋がコンクリートに包まれているため耐久性・耐炎性にも優れています。しかし、鉄骨造よりもさらに重量があるので地盤改良が必要になったり、コンクリートが凝固するまで待つ期間が必要となる等、必然的に鉄骨造よりも建築コストがかかるのがネックです。

鉄筋鉄骨コンクリート造

高層ビルやタワーマンションで採用され、戸建てではほぼ使われない。

鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、コンクリートを打ち込んで施工した構造で、Steel Reinforced Concreteの頭文字を取って、SRC造と呼ばれます。鉄筋コンクリート造の耐久性をさらに高めた造りとなっていますが、鉄筋コンクリート造よりもさらに工期が長期化しやすいので、建築コストはさらに高くなります。

ログハウス

ログハウスというとヨーロッパやアメリカ、カナダのような海外のものを想像する方も多い。実は奈良正倉院の校倉造りは丸太組工法と同じ構造となっており、日本最古のログハウスといわれている。

ログハウスは、丸太(ログ)や角材を積み重ねた壁によって構成される建物のことで、世界各国の木材資源が豊富な地域で発達し、その歴史は3,500年以上といわれています。
数十年前は職人が手作業で加工(ハンドカット)した丸太を用いるのが普通でしたが、近年ではコンピュータ制御で加工(マシンカット)した丸太を用いることが多くなりました。また、同じログハウスでも工法がいくつかあり、丸太組工法、ポスト&ビーム(post&beam)工法、ピース・エン・ピース(piece-en-piece)工法などがあります。
丸太自体が厚みのある木材のため、断熱性・耐震性に優れた住まいになりますが、自然素材のため定期的なメンテナンスが必要になります。

【丸太組工法】

井の形に並べた丸太を積み上げて作っていく工法で、丸太同士の交差部はノッチという欠き込みがあり、釘やビスを使わずにノット同士をかみ合わせることで接合されます。

【ポスト&ビーム(post&beam)工法】

構造は木造軸組工法と同じもので。柱(ポスト)と梁(ビーム)に丸太を使用することにより、日本のいわゆる「在来工法」よりも迫力のある仕上がりになるのが特徴です。

【ピース・エン・ピース(piece-en-piece)工法】

カナダの東海岸で生まれた工法で、ピース・エン・ピースはフランス語で「短い材の間に短い材を入れる」という意味の通り、柱と柱の間に短くカットした丸太を水平に積み上げて造られます。丸太組工法は長い丸太を調達する必要がありますが、この工法なら短い丸太で済ませることができます。ただし、耐震性が低くなることから、建築確認を取るには構造計算で安全性を証明する必要があります。

さらに見やすいように住まいを構造別(※一般的な戸建てに使われない鉄筋鉄骨コンクリート造・ログハウスは除く)に性能比較表としてまとめてみました。ただし、工法・構造による住まいの性能差は、断熱材や耐力壁、空調設備などの設置により、その差を埋めることが可能です。あくまで目安としてご覧ください。

構造・工法 耐震性 耐火性 耐久年数 気密性 遮音性 コスト 増改築 通気性
木造軸組工法 22年
木造枠組壁工法 22年
軽量鉄骨造 19年
重量鉄骨造 34年
鉄筋コンクリート造 47年

◎ 優れている / ◯ 普通 / △ 劣っている

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