キューブ型注文住宅の特徴
魅力や注意点、おしゃれな仕上げ方も紹介

2024/8/3 公開

キューブ型注文住宅の特徴|魅力や注意点、おしゃれな仕上げ方も紹介

注文住宅の外観をおしゃれに仕上げたいと考えたとき、シンプルな正方形をベースにしたキューブ型の住宅を選択肢に入れている方もいるのではないでしょうか。余計な凹凸を省いた形状はスタイリッシュな印象を与えられる魅力的なデザインのほかに、実は耐震性・気密性を高くできるといった機能面にも優れています。

本記事では、キューブ型注文住宅の魅力やメリット・デメリット、おしゃれに仕上げるためのポイントを解説します。実例も紹介するので、おしゃれな家づくりの参考にしてください。

キューブ型注文住宅とは、サイコロを思わせる立方体の形状をした注文住宅のことをいいます。「箱型住宅」や「キューブハウス」とも呼ばれます。

一般的に住宅の屋根は、切妻屋根や寄棟屋根など三角形の形状をしていることが多いですが、キューブ型注文住宅は陸屋根などを採用し、正面から見ると正方形に近いシンプルな形です。凹凸を極力なくした形状で、すっきりとした外観になります。

シンプルゆえに個性がなくなるかと思われがちですが、三角形状の屋根を取り入れた住宅が多い日本の街並みでは、キューブ型の住宅は唯一無二の個性を発揮します。スタイリッシュでモダンな、他にはない個性が光る外観を好む方におすすめの住宅です。

注文住宅を建てる際にキューブ型の形状にすると、次の3つのメリットが得られます。

  • スタイリッシュなデザインになる
  • 面積を最大限に活用できる
  • 耐震性・気密性を高くできる

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

スタイリッシュなデザインになる

キューブ型注文住宅の大きな特徴の一つが、一般的な住宅とは異なる独特な外観デザインです。立方体のサイコロ型の外観には余計な凹凸がほとんどなく、無駄のないスタイリッシュな印象を与えます。

シンプルを極めていくと個性がなくなりがちですが、キューブ型の住宅は使用する外壁材の種類や色、窓の配置、外構のデザインなどを工夫すれば、独自の世界観を演出できます。

一方で、ベースはシンプルな形状のため、流行に左右されにくいのも特徴です。築年数が経過しても古っぽさを感じず、飽きがこない住宅になるでしょう。

面積を最大限に活用できる

シンプルな形状ゆえに面積効率が良く、デッドスペースが生まれにくいのもキューブ型注文住宅の魅力です。敷地に対して効率よく建物を配置でき、無駄のない間取りを実現できます。都市部の住宅密集地にあるコンパクトな土地でも、一定の建物面積を確保できる上、駐車場や庭もつくりやすいでしょう。

また、室内も四角形をベースにしているため、間取りを考えやすいのがポイントです。デッドスペースが少なく、建物面積を最大限に活用した効率的な間取りをかなえられます。延床面積が小さくても居住スペースを広く取れ、家具を自由にレイアウトすることも可能です。

耐震性・気密性を高くできる

キューブ型注文住宅はデザインが優れているだけでなく、耐震性や気密性といった機能面でもメリットがあります。

建物は正方形や長方形などのシンプルな形状になるほど、一般的に耐震性が高いとされます。地震による負荷がかかったとき、シンプルな形状だと全体へ均等に力がかかるため、エネルギーを受け止めやすいことが理由の一つです。形状が複雑な住宅では特定の部分に負荷が集中する結果、負荷が大きい箇所から倒壊や破損が起こりやすくなります。

加えて、キューブ型は柱や梁のつなぎ目が少なく、床面積に対する外壁の割合も小さくなり、気密性や断熱性を高めやすい傾向にあります。断熱材を施す必要はありますが、同じレベルの断熱加工をした一般住宅と比べれば、室内の快適性を高められるでしょう。

キューブ型注文住宅のデメリット・対策

上記のようにメリットの多いキューブ型注文住宅ですが、少なからずデメリットも存在します。具体的には次のような点が挙げられます。

  • 雨漏りのリスクが高い
  • 夏は2階が暑くなりやすい
  • 外壁が傷みやすい
  • メンテナンス費用がかかりやすい

以下では、各項目について詳しく解説するとともに、効果的な対策も見ていきましょう。

雨漏りのリスクが高い

キューブ型の注文住宅は、一般の住宅に比べて雨漏りのリスクが高いというデメリットがあります。キューブ型の場合、陸屋根という平らな屋根が採用されることが多いからです。一般の住宅の屋根は勾配がついているため、雨水が自然と下へ流れていきます。一方、陸屋根では雨水が下へ流れにくく、防水や排水の対策を十分に講じなければ、雨漏りを引き起こしかねません。

また、キューブ型はシンプルな形状ゆえに、屋根に軒が付いていないことがほとんどです。外壁に降り注ぐ雨を防ぐものがないため、窓を開けたままにしていると室内に入り込んでしまう点にも注意が必要です。

対策:屋根に防水加工を施す

キューブ型住宅における雨漏りのリスクを低減するには、屋根に通常よりも性能の高い防水加工を施すのが有効です。雨の流れる経路をしっかり確保しておけば、隙間から室内に水が入り込むのを防げます。経年劣化で防水性が低下しないよう、定期的なメンテナンスも欠かせません。

また雨水が流れていくように、緩い傾斜のある片流れ屋根に変更するのも効果的です。ただし、完全なキューブ型の形状にこだわる場合にはおすすめできません。

一般的な住宅よりも高い技術力が求められるため、建築実績の豊富なハウスメーカーや工務店に依頼するようにしましょう。

夏は2階が暑くなりやすい

先述の通り、キューブ型の住宅には夏場の日差しを遮る軒や庇がないケースが大半です。そのため、直射日光を遮りにくく、室内の温度が上昇しやすい傾向にあります。

フラットな陸屋根は通常の三角屋根と異なり、最上階の天井と屋根の間にスペースがほとんどありません。直射日光にさらされた屋根が吸収した熱が、ダイレクトに室内へ伝わります。特に2階部分の部屋が暑くなりやすい点には注意しましょう。

対策:家の断熱性を高める

夏の室温上昇を抑えるためには、窓に庇を付けたり、両側の壁をせり出して軒をつくったりするのが有効です。ただし、庇や軒の設置は外観デザインに影響するため、理想の外観とのズレが生じるかもしれません。

根本的な解決を図るなら、建物の断熱性を高めることが求められます。壁や天井にしっかりと断熱材を入れるのはもちろん、複合ガラスなど断熱性の高い窓やサッシを選ぶようにしましょう。

また、2階の暑さ対策としては屋根断熱の強化が重要です。通常90mm程度の屋根断熱を、厚めの200mmに強化するといった対策を講じれば、デメリットを克服できます。

他にも、窓や家具の配置を確認して直射日光が生活スペースに入らないようにしたり、遮光カーテンを取り付けたりすれば、室内での対策も一定の効果が期待できるでしょう。

外壁が傷みやすい

繰り返しになりますが、キューブ型の注文住宅は軒や庇がないケースが多いため、日差しや雨風を直接受けることが多くなります。標準的な外壁材は日差しや雨風を受けるほど劣化が進むため、キューブ型注文住宅は一般的な戸建て住宅に比べて、外壁の劣化が早まる可能性があります。

外壁が傷むと見た目が悪くなるだけでなく、機能性も落ちてしまうのが懸念点です。また、劣化が進むスピードが早いと、メンテナンスの頻度も高くなり維持コストもかさむでしょう。

対策:外壁の耐久性を高める

住宅の外壁材として広く普及している窯業系サイディングだと、劣化が早くメンテナンス頻度が高まる恐れがあるため、耐久性の高い外壁材を採用するのがおすすめです。

例えば、窯業系サイディングよりもサビに強い金属系サイディングを採用すれば、シーリングが劣化しにくく、メンテナンス頻度を少なくできます。熱反射に優れているため室温上昇を抑えられ、室内環境も快適になるでしょう。

また、表面に特殊なコーティングを加工して耐久性を高めた「ケイミュー40年品質保証サイディング」など、メンテナンスが少なく済むサイディングを採用するのもおすすめです。

他にも、玄関ポーチを設けてドアや玄関周りの外壁の劣化を防いだり、アウターシェードや外付けブラインドを付けて、外壁に降り注ぐ日差しをブロックしたりする方法もあります。

外壁や屋根の補修には大きな費用がかかるため、建築時点でメンテナンスにかかる費用をあらかじめ見積もっておき、長期的な資金計画を立てましょう。

メンテナンス費用がかかりやすい

上記の通り、キューブ型注文住宅では外壁の劣化が通常より早まる傾向にあるため、メンテナンスの頻度が多くなりがちです。一般的な窯業系サイディングの外壁にする場合、耐用年数が低い塗装を施してしまうと、短い周期で外壁塗装が必要となり、メンテナンス費用が多くかかってしまいます。

建築時の予算を考慮して外壁材にかかるコストを抑えたとしても、メンテナンスに費用がかかるようでは、長期的な視点で損になるかもしれません。

対策:耐久性の高い素材を使う

外壁材を選ぶ際は単に安さで選ぶのではなく、耐久性も考慮するようにしましょう。初期費用が高くなったとしても、メンテナンスにかかる費用を抑えることで、数十年単位でのトータルコストを大きく抑えられる可能性があります。

新築時にはイニシャルコスト、メンテナンスを含めたランニングコストの両面を踏まえた予算の検討が大切です。

続いては、タイセーハウジングが手がけた注文住宅の中から、キューブ型のおしゃれな建築実例を3つ紹介します。事例ごとにキューブ型のメリットをどのように生かし、反対にデメリットをどのように克服しているのかに注目しながらご覧ください。

インパクトのある外観! 開放的なキューブ型注文住宅の実例

まずは、静かな環境にある広大な土地にどっしりと構えた外観が印象的な住宅です。ポイントは、建物の外壁を内側に引っ込めることで実現した、2階分の高さがある大きな軒下空間です。軒天、庭に面する側の外壁、ウッドデッキの木の質感が黒い外壁と組み合わさって、モダンでスタイリッシュな雰囲気を演出しています。

室内は大きな吹き抜けがある開放的なつくりとなっており、日当たりの良さを生かすとともに、風通しもしっかり確保した間取りです。

日当たりが良過ぎると冷暖房効率が下がってしまいそうですが、断熱材を多く使用しているため、大きなエアコン1台で室内全体を快適な温度に保っています。

エアコン1台で快適! キューブ型注文住宅の実例

モノトーンを基調とした、スタイリッシュな外観が印象的なキューブ型注文住宅です。玄関アプローチの天井と玄関ドアには色の濃い木目を取り入れており、異なる素材の組み合わせがスタイリッシュさを際立たせています。

ウッドデッキや広い駐車場を設けて、建物以外の敷地を有効活用するとともに、石や植栽をところどころに配して、外構にも統一感を持たせています。

室内は和室を設けたり、漆喰壁を部分的に取り入れたりするなど、和の雰囲気を感じさせる落ち着いた空間です。前述の実例と同様、エアコン1台で家全体に風が行き渡るよう工夫されており、暑くなりやすい夏場も含めて季節に関係なく年中快適な室内を実現しています。

心地よい住空間を実現! キューブ型注文住宅の実例

最後に紹介するのは、レンガ調の外壁と、軒を支える斜めにせり出した側壁が印象的なキューブ型注文住宅です。ダウンライトやペンダントライトを効果的に取り入れながら、場所ごとに照明を変えることで空間にメリハリを付けています。

リビングやホールには吹き抜けや高窓を設けて開放感を持たせつつ、寝室はあえて窓を少なくして天井にダークブラウンの木目を配し、明る過ぎず落ち着いた雰囲気にしています。

天井のシーリングファン、屋根付きの広いバルコニー、階段ホールを利用したスキップフロアのワークスペースなど、空間のゆとりと効率性のバランスが見事な実例です。

キューブ型注文住宅をおしゃれに仕上げる5つのポイント

せっかくデザインにこだわってキューブ型の注文住宅を建てるなら、おしゃれで自慢できるマイホームにしたいと考える方は多いでしょう。以下では、キューブ型注文住宅をおしゃれに仕上げるために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

外壁の素材や色にこだわる

キューブ型の注文住宅は正方形のシンプルな形状が特徴的なため、おしゃれに演出するには外壁の素材や色で個性を出すのがおすすめです。ただし、色や素材の種類を増やし過ぎるとまとまりのない印象になってしまうため、使用するカラーは2〜3色にするのが無難です。使う色数を絞ることで、デザインに統一感が生まれます。

素材や色を選ぶ際は外観デザインのテイストを決め、それに合わせて選ぶようにしましょう。外観の主なテイストは、シンプルモダン・和モダン・ナチュラルモダン・リゾート風・北欧風などです。

例えば、シンプルモダンなら白と黒のモノトーン、ナチュラルモダンならブラウンやベージュ、木目などを入れると良いでしょう。木目調の素材はアクセントにもなるので、さまざまなテイストで取り入れられます。

個性を持たせることも大切ですが、周辺環境も考慮したデザインにすると、地域の景観を保ちながらおしゃれな外観の家を実現できるでしょう。

窓のデザインや配置にこだわる

キューブ型の住宅はシンプルゆえに、窓のデザインや配置が見た目の印象を大きく左右します。窓の高さや形をそろえて複数並べたり、異なる形状の窓を組み合わせたりするのがおしゃれな外観への近道です。また、あえて窓をなくしてスタイリッシュに仕上げるのも一つの方法です。縦長のスリット窓や、横長のフィックス窓を上手に活用しましょう。

なお、窓は室内環境に大きく影響する要素なので、日当たりや風通しも十分に考慮して配置することをおすすめします。設計時は、室内と外観を同時に確認しながら仕上げる意識が大切です。

開放感のある間取りにする

「家の顔」ともいえる外観はどうしても注力しがちですが、室内もこだわって仕上げましょう。キューブ型の注文住宅は整った四角形のため、間取りをある程度自由に決められます。さまざまな要素を詰め込むのではなく、形状に合わせて内装もシンプルに仕上げると、建物全体に統一感が生まれておしゃれに仕上げやすくなります。

形状が正方形だと、中央部分の日当たりや風通しが悪くなりやすいのがネックです。吹き抜けを設置して高窓から自然光を取り入れたり、中庭を設けて視覚的な抜けをつくったりすれば、全体的に明るく開放的な空間を実現できるでしょう。

また、できるだけ廊下の少ない間取りにすると、正方形でも十分な収納スペースや部屋数を確保しやすくなります。

立体感を出す

単に立方体を置いただけの形状だと、正面から見たとき平面的に感じてしまいます。立体感を持たせる工夫をすると、おしゃれで人目を引く外観に仕上げることが可能です。

例えば、キューブを2つ組み合わせたり、建物の一部を意図的に凹ませたりします。白とブラウン、黒と木目など、ツートンカラーにすることでも立体感を演出できるでしょう。建物に凹凸を設けることで、キューブ型の弱みである日差しや雨風による影響を小さくする効果も期待できます。

さらに、建物本体だけでなく、外構にシンボルツリーを植えたり、玄関に向かってアプローチを設けたりすると、奥行きが生まれて立体感を出すのに効果的です。

外構を含めてトータルコーディネートする

全体的にシンプルなキューブ型の住宅では、通常の住宅以上に外構が見た目を左右します。外構も含めたトータルコーディネートを意識すれば、デザインがまとまり、おしゃれに仕上げやすくなるでしょう。

建物のシンプルな形状に合わせ、外構も直線で構成すると全体的に引き締まるのでおすすめです。直線の組み合わせだけだと冷たい印象になりがちですが、植栽を多めに取り入れれば、温かみのある見た目や雰囲気になります。

シンプルな形状のキューブ型の住宅は、外構デザインの選択肢も豊富です。どのような雰囲気や印象に仕上げたいかを考え、イメージに合った色や素材、デザインを選びましょう。

キューブ型注文住宅は立方体のシンプルな形状からなり、スタイリッシュな見た目と優れた効率性・機能性が魅力です。一方で、水漏れのリスクやメンテナンスの頻度の高さなど、気を付けなければならない点も存在します。長期的なメンテナンスコストを下げるためにも、初期投資と維持コストの両面を総合的に勘案して、住宅の形状を検討しましょう。

タイセーハウジングは、土地探し・資金計画から設計・施工、アフターメンテナンスに至るまで、全てをワンストップでサポートいたします。住宅に関わる全てのことに携わるからこそ、お客さま一人ひとりのライフスタイルや希望を十分に理解し、最適な住まいをご提案しています。

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