2024/9/16 公開
デザイン性の高い螺旋階段は近年日本でも人気が高く、自宅に螺旋階段を取り入れてみたいと思う方も多いのではないでしょうか。螺旋階段はおしゃれな印象が強い傾向にありますが、省スペースで設置できるなど、採用することでメリットが多数あります。
しかし、安全面での不安や光熱費がかかりやすいなどのデメリットもあるため、初めて注文住宅をつくる場合や螺旋階段を取り入れる場合には、あらかじめ注意点を理解しておくことが大切です。
そこで本記事では、自宅に螺旋階段の採用を検討している方に向けて、螺旋階段のメリットやデメリット、建築実例、有効な安全対策などについて紹介していきます。螺旋階段を採用するのに不安な点がある方は、ぜひ参考にしてください。
螺旋階段とは、曲線を描くように昇降する階段のことであり、上から見ると円形になっているのが特徴です。日本では、一般的な住宅ではなくオフィスやカフェなどの商業施設で見られるケースが多いでしょう。一方、海外ではヨーロッパ圏の城などの歴史的建造物で多く見られます。かつては省スペースで済むという機能的な役割や、防衛目的を理由に取り入れられることが多かったとされています。
美しい曲線によって構築された螺旋階段はデザイン性に優れていることから、海外では人気かつ定番の階段として、多くの住宅で採用されている構造です。狭小スペースでも設置できることから、狭小住宅が多い日本でも螺旋階段を採用する方が増えつつあります。
螺旋階段を設置する場合、住宅に採用されている一般的な階段に比べると高額になりがちです。相場は約150万円以上と、建築費が高騰している影響もあり高めの傾向にあります。基本的に、設置費用は「材質」「メーカー」「既製品かオーダーメイドか」の3つの要素によって価格が異なります。
螺旋階段に使用される材質は、スチール・アルミ・木・ガラスなどが挙げられ、中でもスチールは比較的安価です。各メーカーによってもこだわりがあり、使用している品質などによって価格が左右されます。
また、既製品だと大量生産されたデザインから選ぶため、比較的安価に抑えられます。一方、オーダーメイドだと材質や色、デザインなどを好きな組み合わせで一から選べますが、高額になりやすい傾向があります。螺旋階段を選ぶときは、デザインと価格のどちらを重視するかを決めることが大切といえるでしょう。
一般的な階段とは異なる魅力を持つ螺旋階段を、注文住宅をつくる際に採用しようと考える方は少なくありません。螺旋階段は、見た目など分かりやすい魅力もありますが、機能面でも優れています。以下では螺旋階段を採用するメリットについて、詳しく解説していきます。
螺旋階段を設置する場合、設置箇所を吹き抜けの空間に仕上げるのが一般的です。吹き抜けだと外から差し込む光を遮るものがないため、採光を確保しやすくなります。狭小住宅のような採光の確保が難しい住宅の場合にも、螺旋階段を設置することで、室内全体に光を取り入れやすくなるでしょう。
また、螺旋階段は手すりや階段下の部分に隙間があり、オープンな印象を与えます。吹き抜けによる明るさに加え、さらなる採光性の高さが期待できるでしょう。
螺旋階段は、目を引くデザイン性の高さが魅力です。流れるような曲線美は、直線が多い室内でアクセントとなり、見ているだけで楽しめます。階段をインテリアの一部として取り入れられるのも、間取りをつくる際の楽しみの一つです。
また、大きなインテリアとしての存在感もあるため、螺旋階段がある空間全体をおしゃれに演出できます。一般的な住宅と差別化できるため、こだわりのデザイン住宅をつくりたい場合におすすめです。
一般的な2~3階建て住宅に用いられる階段は壁で覆われており、空間全体が暗く圧迫感が生じるでしょう。一方で、先述の通り螺旋階段の手すりや階段下部分には隙間があり、全体的にスケルトン構造となっているため、視界を遮らず空間が広く感じられます。
構造上の圧迫感がない上に採光を確保しやすいことで、階段部分が明るく広々とした印象になるでしょう。さらに高窓や天窓を設置すれば、外から多くの光を取り入れられ、より開放的な空間を演出できます。
螺旋階段を設置するそもそもの目的でもあるように、場所を取らずコンパクトなスペースに階段を設置することが可能です。一般的な階段の場合、踊り場が設置されたり段差を緩やかにするためにある程度の長さが必要になったりと、スペースを取るため窮屈な間取りになりがちです。
しかし、支柱のみで踏み台を支えている螺旋階段であれば、横のスペースや踊り場が必要ありません。わずか1坪ほどのスペースがあれば設置可能です。都市部に多く見られる狭小住宅などの、コンパクト住宅にも採用しやすい設備といえるでしょう。
螺旋階段は一般的な階段に比べて省スペースで設置しやすいため、場所にとらわれずに設置できるのもメリットといえます。一般的な階段だと必要とする面積が多くなってしまうため、設置場所にある程度制限がかかってしまいます。
しかし、螺旋階段であれば面積を取らないため希望に合わせた場所に設置可能です。基本的にキットの組み立てのみで済ませられ、大掛かりな工事が不要です。設計の自由度が高く、好みの場所に設置して室内の印象をガラッと変えられるでしょう。
螺旋階段には多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。「螺旋階段を設置しなければ良かった」と後悔しないためにも、あらかじめデメリットを理解した上で、螺旋階段の採用を検討することが大切です。
螺旋階段を採用することで考えられるデメリットについて、以下で解説していきます。
螺旋階段は、省スペースな上に曲線を描くように昇降するため、大きな荷物の運搬が難しい傾向にあります。特に大型家具・家電の場合、パーツの取り外しが可能な組み立て式であれば運搬は可能ですが、ベッドや冷蔵庫などは螺旋階段を使用した搬入はできない可能性があります。階段を使った搬入ができない場合はクレーン車や手吊り作業による搬入作業が必要となり、その分の手間と費用がかかるでしょう。
大型家具・家電を搬入する機会は少ないものの、長期の旅行や出張へ行く機会が多いような方は、できるだけ1階に重い荷物をまとめておくことをおすすめします。
螺旋階段は一般的な階段と比べると転倒や転落の危険性が高まるため、注意が必要です。螺旋階段の段板は三角形のような形状であり、中心にいくほど狭くなっています。そのため、暗くて足元が見えにくいときや注意散漫になってるときは、足を踏み外して転倒・転落する可能性が高まってしまうでしょう。
特に高齢者や小さなお子さまがいる家庭では、螺旋階段の採用は慎重に検討する必要があります。詳しくは後述しますが、安全性を高める対策や工夫が大切です。
螺旋階段は一般的な階段に比べて階段下のスペースが少ない傾向にあります。設計上、一般的な階段だと階段下はデッドスペースとなりやすく、そのスペースを利用してクローゼットやトイレなどを設置し、有効的に活用できます。しかし、スケルトン構造な上に曲線を描いている螺旋階段には、階段下のスペースがほとんどありません。
螺旋階段の下にチェストや物を置いてしまうと、全体的な空間デザインが損なわれてしまうため、スペースがあっても物を置くことはおすすめできません。小さなスペースを活用して収納をつくりたい場合は、他の場所を検討した方が良いでしょう。
螺旋階段は、設置場所が吹き抜けとなるケースが多いため、室内の冷暖房効率が悪くなってしまう可能性があります。吹き抜けのある場所には壁やドアなど空間を仕切るものが少なく、開放的な間取りが特徴です。そのため、空間全体に冷暖房の風が行き渡りにくく、冷暖房効率を下げてしまいます。
冷暖房が効きづらいと、真夏や真冬の光熱費が通常の住宅よりもかかってしまう恐れがあります。対策するには家そのものへのアプローチが必要になる他、シーリングファンや床暖房などの設備の導入が必要になるでしょう。
螺旋階段には上述のようなデメリットがあるように、設置してから後悔してしまったケースも少なくありません。実際にどのような面で後悔してしまうのかを確認し、自身の住宅に採用しても問題ないかどうかを検討すると良いでしょう。螺旋階段を設置して後悔しやすいケースについて、以下で解説していきます。
通常の階段でも同様ですが、螺旋階段に対して安全面の懸念が拭えないケースがあります。螺旋階段の踏み台は内側と外側で面積が異なり、内側になるほど面積が狭く足を踏み外す危険性がある点が大きな要因の一つです。
実際に螺旋階段での転倒事故は少なくありません。リスク対策を施していても完全に防げるわけではなく、特に小さなお子さまがハイハイしたり歩き出したりしたときや、家族が高齢になったとき、家の中での生活に不安を感じる方も多いでしょう。
螺旋階段と吹き抜けはセットでつくられることが多く、開放的な空間となり光熱費がかさみがちです。家の中に吹き抜けがあると、天井が高く空気の循環がしにくくなります。特に夏や冬の冷暖房器具を使用する機会が増える時期には、冷たい空気や温かい空気をできるだけ部屋中に循環させたいと考え、風量を強めたり温度を必要以上に上げ下げしたりしてしまい、結果的に通常よりも光熱費がかかり、家計を苦しめられる可能性があるでしょう。
冷暖房効率を上げるには、全館空調システムの導入や、高断熱住宅へのリフォームが有効です。しかし、光熱費の節約を考えたこれらの方法を採用するにはコストがかかります。建築コストを抑えたい方や、余計なコストを省きたいと考えている方は、螺旋階段を取り入れる前に一度プロの意見を聞いてみるのが良いでしょう。
前章では、螺旋階段のデメリットと設置して後悔しやすいケースを紹介しました。特に小さなお子さまや高齢者がいる家庭では、螺旋階段の安全性に対する不安を大きく感じた方が多いのではないでしょうか。螺旋階段からの転倒リスクを軽減するためにも、安全に使用できるような対策が必要です。以下では螺旋階段の安全対策について、詳しく解説していきます。
ハイハイしたり歩き始めたりした小さなお子さまがいる家庭では、ベビーフェンスやベビーゲートの設置がおすすめです。ベビーフェンス・ベビーゲートは柵のような形状をしており、小さなお子さまに侵入してほしくないキッチンや階段などの危険が潜むスペースに設置できます。数千〜数万円で購入が可能で、材質やサイズも豊富です。多少の力が加わっても動かないような、しっかりと固定できるタイプがおすすめです。
子どもが成長し、階段の上り下りができるようになった場合は落下防止ネットの取り付けを検討すると良いでしょう。落下防止ネットとは、螺旋階段の空間部分を埋めるようにネットを取り付け、万が一の落下を防ぐものです。安全性をより高めるためにも、定期的にネットがしっかりと固定されているか点検を行うことが大切です。取り付けが簡単にできる点が魅力で、3,000〜数万円ほどの価格で購入できます。
ただし、デザイン性の高い螺旋階段の見た目が損なわれてしまう可能性があります。デザイン性を重視する場合や、住宅のテイストとマッチしない場合には向いていないため、他の対策も検討する必要があるでしょう。
落下防止ネットによって螺旋階段の見た目が損なわれることに抵抗がある方は、手すりの格子の数を増やす方法が有効です。
手すりの格子を増やして隙間を埋めることによって、落下防止につながります。また、スタイリッシュなデザインが多いため、螺旋階段の見た目を損なわずに安全性を高められます。手すりの高さや太さなどのサイズを比べて、最適なものを選びましょう。
ただし、手すりの格子の数が増えるほど採光性が確保しづらい傾向にあります。その場合は隙間をガラスで埋めるなどして、デザイン性と機能性の両方を確保する方法がおすすめです。
螺旋階段の階段板に滑りにくく柔らかい素材を選ぶのも、安全性を高める方法の一つです。滑りにくく柔らかい素材を選ぶことで転倒や転落のリスクを軽減できる他、万が一転倒したとしても、けがを最小限に抑えられる可能性が高まるでしょう。
例えば、階段板にカーペットや木の素材を使用すると、温かい雰囲気を演出できる上に、足腰への負担も軽減できます。反対に石や金属製のような素材を使用すると、滑りにくくスタイリッシュな印象にはなりますが、冬場は冷たく、足が冷えてしまいます。スリッパを利用すれば冷たさは回避できますが、滑りやすさにつながってしまう点には注意しましょう。
タイセーハウジングが手掛けた螺旋階段を採用した建築実例をご紹介します。リビング・ダイニングの中心にある螺旋階段と、薪ストーブが印象的な住宅の実例です。
白を基調とした内装に合わせて、螺旋階段も白色に統一されています。螺旋階段の設置部分は吹き抜けの空間となっており、天窓と高窓から陽の光が差し込み、全体的に明るく開放感のある空間です。
レンガ調の薪ストーブと木目調の梁が、室内のアクセントとなっているのも魅力です。コンパクトなスペースに螺旋階段を設置していながらも、1階部分の中央で充分存在感があるため、インテリアの一部としても華やかな空間を演出しているといえるでしょう。
曲線美を描くデザイン性の高さが魅力の螺旋階段ですが、コンパクトなスペースに設置できるなど、さまざまな強みを持ち合わせています。一方で、立地条件や予算の関係で採用が難しいケースもあるため、慎重な判断が大切です。螺旋階段はどのような家に設置するのが向いているのか、以下でおすすめする家の条件について解説していきます。
螺旋階段は、狭小住宅の日当たりの悪い家に積極的に採用すると良いでしょう。先述の通り、螺旋階段をつくることで明るく開放的な空間が演出できます。高窓や天窓を設置すると、天井から明るい陽の光が差し込み、家全体が明るい印象になるでしょう。
また、螺旋階段はコンパクトなスペースでも設置可能です。場所を選ばずに設置できるため、家の中でも日当たりが良い方角や位置を選んで設置すると、より明るい雰囲気の家になることが期待できます。
全体のデザインにこだわっている家には、螺旋階段の採用をおすすめします。螺旋階段は見た目の通りデザイン性が高く、インテリアのような存在感もあるため、アクセントを加えたい場所に設置すると効果的です。
例えば、リビングの真ん中に設置するだけで、おしゃれなインテリアを置いているかのような演出が可能です。おしゃれ感を際立たせたい場所に設置して、インテリアの一部として楽しむのも良いでしょう。
今回は、螺旋階段のメリットやデメリット、建築実例などについて紹介しました。螺旋階段は、デザイン性の高さや狭小住宅に向いていることがメリットですが、転倒につながったり光熱費がかかったりするなどのデメリットもあります。デメリットの部分である安全性の不安を払拭するためにも、安全面や機能面に重点を置き、螺旋階段の採用を慎重に検討しましょう。
タイセーハウジングは、厚木・世田谷地域で1,000棟以上の住宅の建築実績を持つ地域密着型の工務店です。螺旋階段がある家づくりを検討中の方は、ぜひタイセーハウジングまでお気軽にご相談ください。タイセーハウジングの特徴や建築実例が掲載された資料は、以下のフォームから取り寄せが可能です。