【実例付】高気密高断熱とは?
後悔しないためのポイントを徹底解説

2024/7/23 公開

【実例付】高気密高断熱とは?後悔しないためのポイントを徹底解説

住宅を新築・購入するとき、間取りやデザインに注意が向きがちで、耐震性などの性能をチェックできていない場合が少なくありません。特に気密性や断熱性は、住まいの暮らしやすさに直結する重要なポイントです。気密性と断熱性の高い住宅は外気の影響を受けにくく、年間を通じて快適な室温を保てます。冷暖房にかかるエネルギーが節約できるため、家計にも環境にも優しい住まいといえるでしょう。

この記事では、多方面からの注目・関心を集める「高気密高断熱住宅」について解説します。高気密高断熱住宅の特徴やメリット、具体的な建築実例などを紹介しつつ、建てる際に注意すべきポイントにも触れています。これから家を建てようと考えている方や、エコな生活を目指している方には必見の内容です。快適で持続可能な住まいを手に入れるために、ぜひ参考にしてください。

高気密高断熱住宅とは、気密性と断熱性を高めて1年中快適に過ごせるように工夫した住宅のことです。ここでは、高気密高断熱住宅の特徴や、気密性・断熱性を高める方法について具体的に解説します。

高気密高断熱住宅の特徴

高気密とは、建物の隙間を断熱材や気密テープで塞ぎ、空気の出入りを防ぐことで気密性を高めている状態です。高断熱とは、外壁や床下、天井に断熱材を施して、熱の伝導を防ぐことで断熱性を高めている状態を指します。高気密と高断熱を組み合わせることで、外気温の影響を受けにくくし、快適な住環境を実現することが可能です。

断熱材にはさまざまな種類があり、グラスウールやロックウールなどの繊維系素材、ポリスチレンフォームやウレタンフォームなどの発泡スチロール系素材、羊毛やコルクといった天然系素材に大別されます。

断熱性はUA値(外皮平均熱貫流率)で表され、国が定める「住宅性能表示制度」において数値が小さいほど高断熱であることを示しています。現行の制度で省エネ基準を満たすUA値は、0.87以下(等級4)です。

※参考:国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」(2024-06-25)

一方の気密性を表すC値(相当隙間面積)には国の基準はなく、1.0以下であることが一つの基準となっており、自治体によっては独自の基準を設けています。後ほど紹介しますが、基準を満たす高気密高断熱住宅は自治体が設ける補助金制度の対象になる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

高気密高断熱住宅の特徴を把握したところで、次に高気密高断熱住宅で暮らすメリットを紹介します。主に挙げられるのは、次の5つです。

  • 1年を通して快適に過ごせる
  • 光熱費の節約が可能
  • ヒートショックのリスクを軽減できる
  • 外気やホコリの侵入を防げる
  • 防音効果が高まる

以下でそれぞれ詳しく解説します。

1年を通して快適に過ごせる

高気密高断熱住宅は外気の影響を受けにくく、室内温度が一定に保たれます。窓や玄関ドアを開けっ放しにしなければ室内の空気が外に流れることもないため、冷暖房効率が良く、夏や冬も快適に過ごせるでしょう。熱帯夜の寝苦しさや冷え込む朝の起きづらさも、ぐっと軽減されるはずです。

光熱費の節約が可能

高気密高断熱住宅では、エアコンなどの冷暖房にかかる光熱費の節約が可能です。例えばエアコンは、スイッチを入れてから室温が設定温度になるまでの間に大量の電気を消費します。室内が外気と同じくらいの温度だとすると、設定温度になるまでに時間がかかり、それだけ電気代もかかることになります。

高気密高断熱住宅でも玄関ドアの開け閉めの際に外気が流れ込むため、常に室温が一定というわけではありません。しかし、比較的快適な室温をキープしているので、一般的な住宅に比べると快適な室温になるのが早く、電気代の節約につながります。

ヒートショックのリスクを軽減できる

高気密高断熱住宅は家全体の温度差が生じにくく、ヒートショックのリスク軽減に効果的です。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が急変して心臓や血管に負担をかける現象で、冬場の洗面所や浴室で発生しやすいといわれています。特に高齢者に多く、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクもあります。外気の影響を受けにくい高気密高断熱住宅であれば、リビングなどの居室以外もある程度の温度を保てるため、ヒートショックのリスクを大幅に軽減できるでしょう。

外気やホコリの侵入を防げる

高気密高断熱住宅は優れた気密性により、外気やホコリ、花粉、黄砂などの侵入を防ぎます。外気やホコリなどの室内への侵入を防ぐことは、快適な室内温度を保つ要因にもなる重要なポイントです。空気清浄機を併用すればよりクリーンな空気を維持できるため、赤ちゃんやペットがいる家庭には安心の住環境といえるでしょう。

防音効果が高まる

窓などの開口部や隙間が少ない高気密高断熱住宅は、防音性が高い点もメリットの一つです。断熱材には熱を遮断する効果の他に音を吸収する効果もあり、室内の音が外に漏れるのを防ぎ、屋外の騒音を遮断します。

交通量の多い通りや繁華街に近い立地では、夜遅くまで外部の音が気になりがちですが、防音効果により睡眠を妨げられる心配がありません。赤ちゃんの夜泣きやペットの鳴き声、ピアノを弾く音などの外部への漏れも防げるので、のびのびと生活できるでしょう。

高気密高断熱住宅の後悔しやすいポイント

メリットの多い高気密高断熱住宅ですが、実際に住んでみて後悔したという声も少なくありません。具体的には次のような点が挙げられます。

  • 建築コストが高くなる
  • 結露・カビが発生する可能性がある
  • シックハウス症候群のリスクがある
  • 乾燥しやすい
  • 室内が暗くなりやすい
  • 通風性能が低くなる
  • 室内の音が反響しやすい
  • 思ったより寒い・暑いと感じる
  • 気持ち悪いと感じることがある
  • 職人の技術力の差により気密性・断熱性が変わる

以下で詳しく紹介します。

建築コストが高くなる

高気密高断熱住宅では専用の断熱材や設備を利用するため、一般的な戸建て住宅よりも建築コストが高くなりやすい点に注意が必要です。資金に余裕がない場合、住宅ローンの返済計画や預貯金に影響が出る可能性があります。

ただし、断熱性と気密性の高さにより光熱費の節約が期待できるため、長期的な視点で見ると、住宅購入費やランニングコストを含めたトータルコストが抑えられるという側面もあります。初期費用は高くても将来的な光熱費の削減を考慮すれば、一概に高いとはいえないかもしれません。

具体的にいくらくらいかかるのかは建築会社によって異なります。複数社から見積もりを取り寄せて、比較検討することが大切です。

結露・カビが発生する可能性がある

高気密高断熱住宅は、室温の変化が少ないため結露の発生が少ないと思われがちですが、断熱性能の高さゆえに、外気と室内の温度差が生じやすい傾向にあります。結露は室内の暖かい空気が、ガラスやアルミサッシなどの冷たい部分に接触することで発生します。その上、気密性が高く湿気が解消されにくいため、換気が不十分だとカビやダニの発生にもつながるでしょう。結露やカビの発生を防ぐためには、しっかりと換気環境を整えることが重要です。

シックハウス症候群のリスクがある

シックハウス症候群とは、建築資材や塗料、接着剤から揮発する化学物質や菌類を吸い込むことで発症する病気です。シックハウス症候群の症状には頭痛や吐き気、鼻水などが含まれ、特に新築住宅での発生事例が多い傾向にあります。高気密高断熱住宅では空気の移動が少なく、化学物質が室内にたまりやすいため、シックハウス症候群の発症リスクが高まるかもしれません。24時間換気システムを取り入れるなど、空気の循環を良くする工夫が必要でしょう。

乾燥しやすい

高気密高断熱住宅は外気が入りにくい構造です。冬場は空気中の湿気が少なくなることに加え、暖房を使用することで室内は乾燥した空間になります。雨の日に部屋干しの洗濯物が乾きやすいというメリットがありますが、乾燥肌やドライアイの人は加湿器を設置するなどの対策が必要です。

室内が暗くなりやすい

高気密高断熱住宅では、気密性・断熱性を高めるために窓などの開口部を小さくするのが一般的です。窓の面積が小さい上に数も少なくなると、室内に光を取り込みにくくなります。特に隣家との距離が近い住宅密集地では、昼でも十分な明るさを確保できず、暮らしにくさを感じるかもしれません。採光を確保するには、間取りの工夫が必要です。

通風性能が低くなる

窓の数を減らしてサイズを小さくすることは、採光性だけでなく通風性にも影響します。結露やシックハウス症候群を防ぐには十分な換気が必要であることをお伝えしましたが、窓面積が小さくてもスムーズな風の通り道をつくる効果的な通風計画が必要です。

室内の音が反響しやすい

高気密な住宅は外部からの音を遮断する能力が高く、防音性に優れている反面、室内の音が反響しやすいという特性があります。吹き抜けなど音が広がりやすい間取りでは特に響くため、生活リズムが異なる家族への配慮が必要になるでしょう。

思ったより寒い・暑いと感じる

高気密高断熱住宅では「エアコンがなくても快適に過ごせる」と期待する人もいますが、エアコンの効率を高めるというだけで、全く使わなくてもよいというわけではありません。地域の気候条件にもよりますが、年間を通して冷暖房が不要になるケースは考えにくいでしょう。室内の空気を循環させる意味でも、適切に空調機器を利用することが大切です。

気持ち悪いと感じることがある

高気密な空間で換気が不十分だと、室内の空気がよどみ、息苦しさを感じやすくなります。また、前述のシックハウス症候群を発症しないまでも、室内で過ごしていて「気持ち悪い」と感じることがあるかもしれません。

シックハウス症候群の原因となる化学物質は、建材だけでなく新しい家具からも放出されます。国もシックハウス対策を重視しており、2003年7月1日から施行されている改正建築基準法には「シックハウス対策に係る法令等」が盛り込まれています。

※参考:国土交通省「シックハウス対策のための規制導入改正建築基準法」(2024-06-25)

職人の技術力の差により気密性・断熱性が変わる

高気密高断熱の住宅を建てる際には、施工会社の技術力が重要です。特に充填断熱などの高度な技術が必要な場合、施工の際にわずかな隙間が残るだけでも内部結露が発生しやすくなり、建物の劣化につながる可能性があります。施工する職人の技量・経験が住宅の仕上がりや性能に直接影響を与えるため、高気密高断熱の性能を最大限に引き出すには施工会社を慎重に選ぶことが大切です。

ここからは、高気密高断熱にこだわった建築実例「高気密高断熱に優れた光たっぷりの家」を紹介します。

採光と窓の設計を慎重に考え、都心の狭い住宅事情に合わせて2階リビングの勾配天井に高窓を配置しました。日差しがたっぷりと入り、冬でも暖かく明るいリビングは、自然と家族が集まる快適な空間です。

また、ベランダに付けた大きめの軒が夏の暑さ対策に効果を発揮し、冷暖房効率も向上します。窓に断熱性能の高いアルミ樹脂複合サッシを採用した他、気密性を確保するための間取りの工夫もあり、快適な生活空間を実現しています。

こちらのお客さまインタビューでは、さらに詳しい間取りの魅力をご覧いただけます。

高気密高断熱の住宅を建てる際の注意点

ここからは、高気密高断熱の住宅を建てる際の注意点について解説します。住み始めてから後悔しないためにも、次のような点を押さえておきましょう。

  • 換気計画を立てる
  • モデルハウスで温熱環境を体感する
  • 高性能な窓や断熱材を採用する
  • 冷暖房器具は必須であることを認識する
  • 建具により空間を分ける
  • 補助金制度を活用する
  • 高気密高断熱住宅の建築実例が多い会社を選ぶ

以下にて具体的な内容を紹介します。

換気計画を立てる

高気密高断熱住宅は外気や湿度を効果的に遮断する反面、室内の空気がこもりやすい特性があります。また使用する資材から放出される化学物質やハウスダストが室内に滞留し、シックハウス症候群のリスクも高まります。健康面への配慮として、定期的かつ効果的な換気が欠かせません。十分な換気を行うことで息苦しさを軽減できるだけでなく、結露やカビの発生を予防します。

換気計画では、吸排気口の位置や風量を適切に設計することが重要です。また、前出の改正建築基準法によって、原則全ての建築物に機械換気設備(24時間換気システムなど)の設置が義務付けられました。基準は「換気回数0.5回/h以上」で、2時間で室内の空気を全て入れ替える必要があります。

モデルハウスで温熱環境を体感する

自分や家族にとって快適な住まいを選ぶためには、見学会に参加したりモデルハウスに足を運んだりして、実際の温熱環境を体感するようにしましょう。ハウスメーカーや工務店など、それぞれが住宅の機能性や性能について異なる基準を設けています。特に断熱材の種類や使用量、建築方法は会社によって異なり、それぞれの経験や技術が住宅の気密性・断熱性に影響します。

モデルハウスなどで体感することで、どの住宅が自分や家族にとって心地よい環境かどうかが判断しやすく、住み始めてから「思ったより暑い・寒い」「息苦しい」と後悔することも少なくなるでしょう。建築会社選びの参考にもなるため、モデルハウスなどに足を運ぶことをおすすめします。

高性能な窓や断熱材を採用する

予算の制約もありますが、高気密高断熱の住宅で希望する温熱環境を実現するには、高性能な窓や断熱材を選ぶことが重要です。モデルハウスは標準以上のハイグレード仕様であることが多く、実際の住環境を体感する際に参考になります。ライフスタイルと気密性・断熱性のバランスを考慮しながら、窓は断熱性の高い複層ガラスなどを採用することで、家全体の暑さ寒さ対策を強化できるでしょう。予算内で最も効果的な断熱性能を選択することが、快適な住環境を実現するポイントになります。

冷暖房器具は必須であることを認識する

高気密高断熱住宅では「冷暖房器具がなくても快適に過ごせる」と考える人もいますが、実際には冷暖房器具が必要です。冷暖房を使用しなければ、室温は外気温に徐々に近づいていきます。特に吹き抜けや勾配天井がある大空間は、適切な冷暖房機器がないと快適に過ごせません。高気密高断熱でも冷暖房器具は必須であることを認識し、通風・換気・空調全てにおいて、しっかりとした計画を立てるようにしましょう。

建具により空間を分ける

吹き抜けやロフト、ワンフロアといった間取りは開放感が魅力ですが、高気密高断熱住宅では音が響くという難点があります。音の響きが気になる場合、ドアなどの建具を利用して空間を分割するとよいでしょう。建具を活用して空間を小さくすれば、音が響きにくくなるだけでなく、臭いの広がりも防げます。壁の内側に収納できる引き込み戸は、必要に応じて大空間にすることができるため便利です。

補助金制度を活用する

国では住宅の省エネルギー化を促進するため、一定の基準を満たす住宅に対し、税制の優遇措置や補助金制度を設けています。具体的には、住宅ローン減税や固定資産税・登録免許税・不動産取得税の優遇措置、一部住宅ローンの金利引き下げ、地域型住宅グリーン化事業による助成制度、ZEH補助金制度などです。さらに、独自の補助金制度を実施している自治体もあります。

上記のような支援策を利用することで、経済的なメリットを得ながら快適かつ持続可能な住宅環境を手に入れられるため、条件に合致する場合は積極的に活用しましょう。詳しくは国土交通省のサイトを参考にしてください。

※参考:国土交通省「優遇制度で建てたい人を応援!」(2024-06-25)

高気密高断熱住宅の建築実例が多い会社を選ぶ

高気密高断熱住宅の建築は、高度な技術力と豊富なノウハウが不可欠です。建築実例が多い会社は、多彩なラインナップを提供し、信頼性も高いといえるでしょう。

ただし、会社によって得意分野が異なるため、ホームページや口コミなどで建築実績を確認することが重要です。住宅展示場やカタログなどで実例を見ることで、自身の好みに合ったデザインや機能性を判断できます。自分で調べた情報を基に適切な建築会社を選ぶことが、理想の住宅を実現する第一歩となります。

高い気密性と断熱性により、冷暖房にかかるエネルギーを抑えられる高気密高断熱住宅は、環境にも家計にも優しい住まいです。東京・神奈川で高気密高断熱住宅を検討するなら、ぜひタイセーハウジングにご相談ください。

タイセーハウジングは東京都世田谷区と神奈川県厚木市に拠点を置き、2009(平成21)年の創業から1,000棟以上の注文住宅、リフォーム・リノベーションを行ってきました。次世代の環境共生住宅であるZEH(ゼロ・エネルギーハウス)の普及に積極的に取り組む「ZEHビルダー」の一員でもあるため、高気密高断熱住宅の実績は多数あります。

まずは資料請求やお問い合わせなど、以下のフォームからお気軽にご連絡ください。