注文住宅のエアコン
【エアコンの種類と製品】

エアコン

室内の空気の温度や湿度などを調整する機械で、正式名称は「エア・コンディショナー」といいます。
世界初の電気式エアコンが登場したのは1902年のことで、発明したのはアメリカ人のウィリス・キャリアです。このエアコンは印刷工場の製造工程を改善するために設計されたもので、温度と湿度を低く保つことで、紙の品質を安定化するのに貢献しました。初期のエアコンの冷媒(熱を温度の低い所から高い所へ移動させるために使用される流体の総称)には有毒性もしくは可燃性の強い物質が使われていましたが、1928年にはトマス・ミジリーにより世界初のフロン類であるフレオンが開発され、人間に安全な物質であるフロンが冷媒として使われるようになりました。(※後に大気のオゾン層にとって有害であることが分かり、現在では脱フロン化が進んでいます。)
第二次世界大戦後にはエアコンの開発・生産、利用は全世界に広がり、日本では1950年代に入ってからエアコンが本格的に普及し始めました。当時はまだ冷房機能しかありませんでしたが、1961年には冷房も暖房もできるヒートポンプ式のエアコン、1982年には世界初となる家庭用インバーター・エアコンが開発されました。現在でもエアコンの高機能化・省エネ化が進んでおり、環境に優しい製品が続々と登場しています。
近年では世界的な気温上昇が問題となっており、日本も例外ではありません。実際、日本の年平均気温は過去100年あたりで1.30℃も上がっていることが分かっています。たった1.30℃だけ?と思った方も多いかもしれませんが、これはあくまで平均値で、大都市圏では年平均気温の上昇量はさらに大きく、東京(千代田区)で100年あたり2.4℃も上昇しているのです。今後もさらに気温が上昇すると予測されており、ますます住まいにとって必要不可欠な設備となっていきそうです。

エアコンの機能と仕組み
エアコンは基本、「冷房」「暖房」「除湿」「送風」の4つの機能があります。(※一部のエアコンには「加湿」の機能を持つものもあります。)室内の温度の上げ下げを行ったり、湿度を下げてくれたりなど、部屋の快適性を高めてくれます。
「暖房」と「冷房」しか使わない方や、「冷房」と「除湿」の違いがよく分からない方もいるかもしれませんが、そのままではエアコンの機能を十分に活用しているとはいえず、無駄な使い方になりかねません。エネルギーの無駄遣いを防いだり、より快適にエアコンを扱うためにも、エアコンが持っている全ての機能を把握しておきましょう。

冷房
部屋の熱を外へ排出し、室内の温度を下がるために使います。また、室内の暖かい空気に含まれていた水分は室内機内部にある熱交換器に結露として発生し、ホースを通して外へ排出されるため室内の水分量は減少していきます。そのため副次的な効果として室内の湿度も下がります。 主に室内の温度を素早く下げる目的で使い、室温が28℃を超えるような暑さを感じる時に使うとよいでしょう。

【① 室内の空気から集めた熱を冷媒に集める】⇒【② 圧縮させることで冷媒の温度を上げる(冷媒の温度を上げることにより、大気が熱を受け取りやすくする)】⇒【③ 高温になった冷媒の熱を大気に渡す】⇒【④ 膨張させることで冷媒の温度を下げる】⇒【① に戻る(以後、繰り返し)】

暖房
外気の熱を室内に取り込み、室内の温度を上げるために使います。なお、室外機の一部分が外気より冷たくなるため、暖房では室外機側に結露や霜が発生します。室内の水分量は変わらずに室内の温度は上がるため、室内の湿度は下がります。暖房をつけると部屋が乾燥するのは、このためです。
主に室内の温度を素早く上げる目的で使い、室温が20℃を下回るような寒さを感じる時に使うとよいでしょう。

【① 大気中から集めた熱を冷媒に集める】⇒【② 圧縮させることで冷媒の温度を上げる】⇒【③ 高温になった冷媒の熱を室内の空気に渡す】⇒【④ 膨張させることで冷媒の温度を下げる(冷媒の温度を下げることにより、大気の熱を受け取りやすくする)】⇒【① に戻る(以後、繰り返し)】

除湿
主に室内の湿度を素早く下げる目的で使い、湿度が60%を超えるような梅雨や秋雨の時期などに使います。他にも雨天時に洗濯物を室内干しする時など、サーキュレーターと併用し、素早く洗濯物を乾かすことにも使えます。除湿には「弱冷房除湿」方式と「再熱除湿」方式の2種類があり、多くのエアコンには「弱冷房除湿」が搭載されていますが、中には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2つの除湿機能が搭載されているエアコンもあります。

弱冷房除湿・・・基本的には前述した冷房と同じ仕組みで空気中の水分を外部へ放出します。ただし、弱冷房で運転を行うので、冷房ほど温度を下げずに湿度を下げるのに重点を置いた機能です。
再熱除湿・・・こちらも基本的には冷房と同じ仕組みで除湿を行いますが、温めて適温に調整した空気を放出します。冷やした空気を温める分、弱冷房除湿よりも電気代がかかります。室温を変化させずに湿度のみを下げたい時に使います。

送風
扇風機やサーキュレーターと同様の仕組みで、ファンを回すことで室内の空気を取り込み、室内へ空気を送り出す機能です。熱交換の機能を使わずにファンを回すだけなので、消費電力は扇風機やサーキュレーターと同様に非常に小さいです。
用途としては、窓を開けて素早く換気するために使ったり、冷房を使うまでもない暑さの時に使います。扇風機やサーキュレーターでも同様のことを行うことが可能なので、扇風機やサーキュレーターを所持していない場合や設置したくない時に活用するとよいでしょう。また、エアコンの送風運転はエアコン内部に風の流れを発生させるため、冷房でエアコン内部に発生した結露を乾燥させるのに役立ちます。高機能なエアコンでは「内部クリーン」として、冷房や除湿後に送風や暖房で自動的に内部を乾燥してくれる機能がついています。エアコン内部のカビの発生を抑えることでメンテナンスも楽になるため、上手に利用するとよいでしょう。

家庭用エアコンの種類としては大きく分けて、住まいのエアコンとして最も普及しており、壁に掛けて使うエアコンの「ルームエアコン」、天井や壁に埋め込んで使い、フラットなデザインの「ハウジングエアコン(ビルトインエアコン)」、 室外機1台に対して複数の室内機を設置できるエアコンの「マルチエアコン」の3種類があります。。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にこれにしておけば良いというものはありません。自分の好みに近しいエアコンを選べるように、どのようなエアコンなのか、それぞれ把握しておくとよいでしょう。

ルームエアコン

ルームエアコンとは、壁に掛けて使うタイプのエアコンで、住まいのエアコンとして最も普及しているものになります。様々なメーカーからたくさんの機種が販売されているため選択肢も多いです。そのため価格競争も進んでおり、他のエアコンに比べ価格も安く、大掛かりな設置作業も必要ないため、イニシャルコストが安く気軽に設置できるのが特徴です。また、フィルター掃除などのメンテナンス作業も自分で行いやすいです。
ルームエアコンの場合、室内機は室内の壁に掛けて使うため、出っ張りが発生し見た目がすっきりしないという弱点があります。また、冷暖房の効率を上げるため、室内機と室外機の距離ができるだけ短くなるように、屋外に面した壁に室内機を設置する形になるため、窓やドアなどの位置によっては設置場所がかなり限定されてしまいます。他にも基本的に室外機1台に対して室内機1台という構成であるため、室外機の設置場所や個数によっては、住まいの外観に影響を与えてしまうことも多くなります。

ルームエアコン

壁紙の色に合わせ、現在のエアコンには白い色のものが多い。壁掛けエアコン開発初期の1960年代は土壁の家が多く、それに合わせエアコンも茶色のものが多かった。

ハウジングエアコン(ビルトインエアコン)

ハウジングエアコンとは、天井や壁に埋め込んで使うエアコンです。天井や壁がフラットになり、部屋のデザイン性を損なうことがないため、部屋をおしゃれな空間にしたい方におすすめです。和室などには壁埋め込みタイプのエアコンを設置することで、旅館の一室のようなデザインにすることが可能です。また、2つ以上の吹き出し口がある天井埋め込みタイプなどは、設置場所を部屋の天井中央部に設置することで、部屋を効率よく暖めたり冷やすこともできます。
デメリットとしては、ルームエアコンに比べ製品自体が少ないため、選択肢が少ないことが挙げられます。さらには競合が少ないため本体価格は高めで、取り付けや配管に手間と技術が必要なことから設置費用も高くなります。メンテナンスできる業者も少なく、クリーニングなどのメンテナンス費用も高くなる場合が多いです。なお、天井に埋め込むタイプのビルトインエアコンは天井裏に配管工事をするため建物区分となり、固定資産税加算の対象となるため覚えておくとよいでしょう。

ハウジングエアコン

お客様を迎えることもあるリビングにのみハウジングエアコンを設置するというケースも多い。設置できる場所の自由度は高いが、お部屋の中心に据えたい照明の設置場所と迷うところだ。

マルチエアコン

マルチエアコンとは、室外機1台に対して複数の室内機を設置できるエアコンです。室外機の数が少なくて済むため、住まいの外観デザインへの影響も少なくて済みます。もちろん複数台の室内機を稼働させるために、ルームエアコンの室外機より一回り大きなサイズとなりますが、複数の室外機を設置する面積よりも少ない場合が多く、設置面積を少しでも小さくしたい都心部の狭小住宅などに有効です。
弱点としては室外機1台で複数の室内機に対応しているという部分で、室外機が故障してしまうと接続されている全ての室内機が動作しなくなってしまう点にあります。またハウジングエアコンと同様に、ルームエアコンに比べ製品自体の選択肢が少ないことも弱点として挙げられます。競合も少ないため本体価格は高くなり、電気工事や配管工事に手間と技術が必要なことから設置費用も高くなります。メンテナンスできる業者も少なく、クリーニングなどのメンテナンス費用も高くなる場合が多いです。

マルチエアコン

1台の室外機とさまざまな形状の室内機を同じメーカー同士のもので組み合わせることができるため、さまざまなユーザーのライフスタイルに対応できるようになっている。

エアコンの電気代節約方法

温度設定に気をつける
エアコンは室温と設定温度の差が大きいほど、運転が活発になり消費電力が増えます。逆に室温と設定温度の差が小さくなると、消費電力を抑えることが可能です。具体的には設定温度を1℃変えると消費電力は10~13%抑えられるといわれています。また、室温を暖め過ぎたり冷やし過ぎたりしても、外出時に身体にかかる負担が大きくなるため、環境省が推奨している室温(春夏28℃、秋冬20℃)を目安に設定するとよいでしょう。
注意点としてはエアコンの設定温度を28℃や20℃にしていても、エアコンの性能や日当たり、建物自体の構造により実際の室温がその通りになるとは限りません。設定温度に頼らず室温を温湿度計で確認することで、無駄なエネルギーをかけることなく室温調整が可能になるため、温湿度計の導入を検討してみるとよいでしょう。

短時間の外出の場合、エアコンをつけっぱなしにする
1時間程度の外出ならつけっぱなしの方がお得です。なぜなら、エアコンは起動時の電力消費が非常に高く、起動時はおよそ1500W(※各メーカーの平均的な数値)程度の電力消費が必要ですが、室温が安定すると300~500W程度の電力で運転するようになります。昔のインバーター導入前のエアコンは、温度センサーとスイッチの組み合わせで「設定温度までは運転」、「設定温度になったら運転を停止」を繰り返すことで電力消費が非常に高くなっていました。このような経緯もあり、お年寄りの中には「エアコンの電気代は高い」という認識の方もいるようです。
もちろん、人がいない時にエアコンを運転させても無駄になってしまうため、1時間以上の外出をする場合はエアコンを停止させた方がよいです。なお、帰宅時はすぐ冷房をつけてしまうと、室内にたまった熱い空気を冷やすために無駄な電力を消費してしまいます。まずは窓を開けるなど、室内の熱い空気を追い出してから冷房を起動すると効率的です。

運転モードは弱運転ではなく、自動運転を活用する
近年のエアコンは賢く、インバーターと呼ばれる周波数変換装置により、コンプレッサ(圧縮機)やファンを動かすモーターの回転数の微調整を自動的に行い、効率的な運転をしてくれます。エアコンは室内温度を設定温度にするまでが一番電気を使うのですが、自動運転モードは高出力で一気に室温を設定温度に近づけ、その後は低出力でその室温に保ってくれるのです。
しかし、最初から弱運転のまま運転してしまうと、室温が設定温度近くになるまでに時間がかかり、かえって消費電力が上がる原因となってしまうため注意が必要です。

扇風機やサーキュレーターを併用する
室温が春夏28℃・秋冬20℃になるように、エアコンの設定温度を調整した方がよいと前述しましたが、人の感じる温度には個人差があります。例えば、男性の場合は女性に比べ筋肉量が多く、基礎代謝が高いため体温が高くなりやすいです。また、子供の場合は大人に比べ、汗をかく能力が未発達なので熱がこもりやすく、体重に対して体表面積が大きいため外気温の影響を受けやすいなどの特徴があります。このように年齢や性別、体型などで温度の感じ方が異なるため、家族で温度の感じ方が異なる場合は衣類や寝具はもちろん、エアコンに比べ電気代が格段に安い扇風機や電気毛布・こたつなどを使い、個々で体温調整を行うと無駄がありません。
また、サーキュレーターを使って、部屋内に温度ムラが出来ないようにするのも効果的です。エアコンから出た冷たい空気は部屋の下部に、暖かい空気は部屋の上部に溜まりやすいので、エアコンが効かないなと思ったら、サーキュレーターで部屋の空気をかくはんしてみて、体感温度が変わるか試してみるとよいでしょう。

室内機のフィルターやアルミフィンの定期的な掃除を行う
エアコンの室内機は冷房時には室内の熱を冷媒に渡し、暖房時には冷媒の熱を室内へ渡す役割があります。その際、室内の空気を室内機が取り込み、取り込んだ空気は冷媒に熱を渡すor冷媒から熱をもらい、再び室内に戻されます。このような仕組みになっているため、室内機のフィルターやアルミフィン(熱交換器)がホコリやカビで汚れていると、熱交換の効率が下がり余計に電力を消費してしまいます。特にフィルタは簡単に取り外して掃除できるため、2週間ごとに1度を目安に掃除しておくとよいでしょう。

室外機も定期的な清掃&周辺にモノを置かないようにする
エアコンの室外機は冷房時には冷媒の熱を外へ逃がし、暖房時には大気の熱を冷媒に集める役割があります。この際、外気を室外機が取り込み、取り込んだ外気は冷媒から熱をもらうor冷媒へ熱を集め、再び外に戻されます。このような仕組みになっているため、室外機の背面にある熱交換器がホコリで汚れていると、熱交換の効率が下がり余計に電力を消費してしまいます。裏側のフィン(熱交換器)は薄い金属板で構成されているため、歯ブラシなどで優しく掃除するようにしましょう。
また、室外機は通常裏側にあるフィン(熱交換器)から空気を取り込み、前のファンから取り込んだ空気を放出します。室外機周辺が混み合っていると、熱交換の効率が下がり余計に電力を消費してしまうため、空気の通り道ができるよう壁との適度な隙間を設け、周辺にモノを置かないようにしましょう。なお、直射日光が当たってしまうような場所に室外機が設置されている場合は、冷房の効率が下がってしまいます。室外機に日除けを設置することで、室外機周辺の気温上昇を抑制し冷房の効率を高めることも可能です。逆に冬場の暖房時には冷媒が日光の熱エネルギーを取り込めるように、室外機の日除けは外しておくとよいでしょう。

高性能サッシや断熱シートで外部からの熱をカットする
住まいは密閉されていないため、実はさまざまなところから熱が出入りしています。中でも窓などの開口部からはかなりの熱が出入りしており、対策を行いエアコンの効率を高めることで電気代の節約をすることができます。特に住まいに遮熱・断熱ガラスを使った樹脂サッシなどを使っていない場合は、別の手段で遮熱と断熱を行うと効果的です。
まずは遮熱ですが、直射日光が窓を経由して、そのまま室内の壁や床に当たってしまうと、熱が発生してしまいます。庇や簾などで室内に日光が差し込まないようにするか、遮熱シートなどを利用して日差しを軽減させましょう。断熱としては内窓を設置したり、断熱シートを使うのが効果的です。ただし、遮熱・断熱シートと窓ガラスの組み合わせによっては「熱割れ」が発生する可能性があるため、設置するガラスの種類に対応した遮熱・断熱シートを用いるようにしましょう。

部屋の広さに応じたエアコンを選択する
エアコンを効率よく使うためには、部屋の広さに応じた能力があるものを選ぶことが大切です。エアコンの能力を越えた広さの場合、エアコンの効きが悪くなり、設定温度近くになるまでエアコンは高い出力の運転をし続けてしまうからです。また全力運転の頻度によっては、エアコンの故障につながりかねません。なので、購入する際はエアコンのカタログスペックをよく確認する必要があります。
エアコンは通常、対応している畳数のめやすとして、「冷房 6~9畳」「暖房 6~7畳」のような記載がなされています。これを見て「大体、6畳~9畳の部屋に適したエアコンなんだな」と思う方はいると思いますが、実際には異なります。実は「冷房 6~9畳」と書かれている場合、「木造平屋南向き(和室)なら冷房時に6畳分の広さをカバーします」「鉄筋マンション南向き中間階(洋室)なら冷房時に9畳分の広さをカバーします」ということを意味しています。
また、一般的に畳数のめやすの表記は、通常暖房の方が畳数が小さく設定されています。これは冬と夏では、外気温と室内の温度差が大きい冬の方がより大きなエネルギーが必要になるからです。そのため、暖房の数値を目安に選ぶことで、必然的に冷房の畳数もカバーできるようになっています。ただし、①戸建ての2階やマンションの最上階にある部屋 ②天井が高い部屋 ③西向きに窓がある部屋などの場合は注意が必要です。外気温や日光の影響を受けやすい場所や、体積が大きい部屋、気密性の低い部屋などはエアコンの効きが悪くなってしまうため、畳数のめやすが1~2クラス広いエアコンを選んでおきましょう。

省エネ性能が高いエアコンを購入する
エアコンは基本、最近のものになればなるほど省エネ性能に優れています。買い替えの時期の目安としては、10年経過すると買い替えの検討段階に入り、15年~20年経過した場合には買い替えをした方が電気代の節約につながる傾向にあります。
ただし、エアコンにはスタンダードモデルと超省エネモデルがあり、超省エネモデルからスタンダードモデルへ買い替えてしまうと、あまり電気代の節約につながらない場合がありますので注意が必要です。カタログに記載している省エネルギーラベルなどで、よく確認しておきましょう。
近年では電気料金が上昇傾向にあり、長い目で見ると超省エネモデルの方がオススメです。なお、自治体によってはエアコンなどの省エネ家電の購入補助を行っています。自治体の省エネ家電の購入補助には期限が定められているため、エアコンのモデルチェンジ時期である10月~11月頃、家電量販店の決算期である2~3月、8~9月頃にタイミングを合わせ、期限内に購入するとよいでしょう。

このようにエアコンの電気代を節約する方法はたくさんあります。他にもエアコンに限った話ではありませんが、そもそもの電力会社・電力プラン・契約アンペアなどを見直すことも大切です。消費者側のライフスタイルや電気会社側の料金体系は常に変化していくので、1~2年毎に自分や家族にとって最適なプランが出てきていないか調べる癖をつけておくとよいかもしれませんね。

暖房器具の消費電力比較
冷暖房器具 消費電力 1時間の電気代 参考製品
セラミックファンヒーター 強:1200W
弱:610W
強:43.2円
弱:22.0円
シャープ HX-RK12 8畳
オイルヒーター 強:1200W
中:700W
弱:500W
強:43.2円
中:25.2円
弱:18円
デロンギ RHJ11G0812-DG 8~10畳
スタンダードエアコン(暖房) 625W 22.5円 三菱電機 MSZ-GE2523 8畳
省エネエアコン(暖房) 525W 18.9円 三菱電機 MSZ-ZW2523 8畳
電気ストーブ 通常:330~1150W
ゆらぎ:200~820W
通常:11.9~41.4円
ゆらぎ:7.2~29.5円
コロナ コアヒート DH-1223R
電気カーペット 最大:700W 高:21.6円
中:16.2円
パナソニック かんたん床暖 DC-2V4 2畳
こたつ 最大:300W
最小:80W
強:5.2円
弱:2.9円
ユアサプライムス YLW-1059MC
電気毛布 強:約50W
中:約27W
弱:約5W
強:約1.8円
中:約1.0円
弱:約0.2円
椙山紡織 NA-013K
スタンダードエアコン(冷房) 745W 26.82円 三菱電機 MSZ-GE2523 8畳
省エネエアコン(冷房) 500W 18円 三菱電機 MSZ-ZW2523 8畳
扇風機(ACモーター) 最大:約40W
最小:約10W
最大:約1.4円
最小:約0.4円
日立 HEF-AL300E
扇風機(DCモーター) 最大:19W
最小:2W
最大:0.7円
最小:0.1円
パナソニック F-CW338-C

※1kWhあたりの電気料金単価を36円として計算(2023年8月時点の東京電力従量電灯Bの第2段階料金)

小売事業者表示制度(省エネ性能)について
小売事業者表示制度とは、消費者が家電製品等のエネルギー消費機器を購入するときに、省エネ性能が優れている製品を選べるよう支援するために2006年から開始された制度です。小売事業者等は消費者に対して、製品の省エネ性能や経済性を示したラベルを表示する等、省エネに関する情報を提供するよう努めることが、省エネ法に規定されています(※努力義務)。
実は2022年10月よりエアコンの統一省エネラベルが新しくなりました。旧ラベルは新ラベルの表示切替の猶予期間として2023年9月30日まで表示することが許可されており、旧ラベルと新ラベルの表示が混在してしまう期間があります。
旧ラベルでは冷房能力等の区分ごとに定められた省エネ基準の達成率に基づいて★の数が決められていますが、新ラベルでは省エネ性能表示がAPFに基づいた評価点に基づいて★の数が決められています。なお、APFとは通年エネルギー消費効率のことを指し、年間を通して一定の条件のもとでエアコンを使用したときに、1年間に必要な冷暖房能力を、1年間でエアコンが消費する電力量で割った値です。APFが大きいほど省エネ性能が優れていることを示しています。
このように、旧ラベルと新ラベルでは★の数を決める基準が異なっているため、同一モデルであっても新旧ラベルで★の数や評価点が大きく変わる可能性があるわけです。2023年度内にエアコンを購入する場合は、統一省エネラベルが新しいもの同士で比較したり、もしくは統一省エネラベルだけでなくカタログスペックもよく確認するなど、念のため注意して購入した方がよいでしょう。

統一省エネラベル新旧イメージ

統一省エネラベル新旧イメージ【経済産業省ホームページより抜粋】

室外機の盗難には要注意!
近年、全国でエアコンの室外機のみが盗難されてしまうといった事件が発生しています。通常エアコンは室内機と室外機のセットとなっており、室外機のみでは機能しません。なぜ犯人は室外機のみを盗んでいくのでしょうか?
実は、現在様々な金属の価格が高騰しています。要因としては、コロナ禍(人材不足による生産量の低下・流通経路の減少・リモートワークの普及に伴う半導体需要の拡大)・世界的なカーボンニュートラルの取り組み(EV車の普及に伴う金属需要の拡大)・ロシアのウクライナ侵攻(アルミニウムと銅など鉱物の供給減少)などが挙げられます。
そのため、対となる室内機が必要な室外機を『中古品』として転売できなくても、室外機は銅などさまざまな金額が使われているため、確実に『金属』として売却することができてしまうわけです。さらに室外機は外へ室内の暖気や冷気を排出するために、室外に無用心に置かれている場合がほとんどです。室内に侵入する危険をわざわざ犯す必要がないことも狙われる一因となっているようです。
最近では同様の理由で、立水栓の蛇口や給湯器(エコキュートも含む)も盗まれてしまうといった事例も発生しています。対策としては壁や地面にアンカーやチェーンなどで固定する、柵や格子内に設置するなど手が届きにくいようにしたり、防犯カメラやセンサーライトなどの防犯グッズの設置が効果的です。また、火災保険の特約などで、室外機や給湯器が窃盗されてしまった際の保証がついているものもありますので、最悪の場合に備え現在入っている火災保険などの内容を確認しておくとよいでしょう。

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