注文住宅が建築されるまで
【作業工程とその作業内容】

住まいができるまで

住まいは様々な工程を踏んで出来上がります。
もちろん工程を何も知らなくても大工さんが毎日働いてくれますので、いつの間にか完成しています。でも、高いお金を出して、それだけじゃもったいない!
せっかくなら、ご家族みんなで工事の様子を見学し、コツコツと大きな建物が出来上がっていく様子にわくわくしたり、完成した時はその喜びを分かち合いたいものです。そんな時に「今どんな工事してるのかな?」「残りの工程はどんなことがあるかな?」と漠然と把握しておくだけでも、見える工事風景がまた違うものになるはず。
そんな方のために、住まいができるまでの工程とその工事内容をまとめてみました。ご興味のある方はぜひご覧ください。

完成までの工程一覧

家は土地の上に骨組みを組み立て、そこに肉付けを施し完成させていきます。その中で、工程を大きく5つに分けると【地盤調査と地盤改良工事】【基礎工事】【建方工事】【内装工事】【外構工事】になります。次にそれぞれの工程について詳しく見てみましょう。

地盤調査(じばんちょうさ)

地盤調査とは、建物という重量物を地面が受け止めることができるのか、建物を建築する前に地盤を調べることを指します。地盤調査はの方法としてはスクリューウエイト貫入試験(先端がスクリュー状になったロッドにおもりをつけながら回転させていき、回転数やおもりの重量から、地盤の強度を調査)やボーリング調査(ボーリング機械を使って穴を掘り、そこにハンマーを落下させて強度をはかる調査方法)などがありますが、一般住宅ではコストの安さからスウェーデン式サウンディング試験が採用されることが多いです。

地盤調査(じばんちょうさ)

スクリューウエイト貫入試験のようす。戸建住宅の場合、4ポイント以上(建物の四隅+α)の調査を行い、半日程度で完了するため低価格に抑えられる。

地鎮祭(じちんさい)

地鎮祭とは、建物を建てる前に、その土地を守っている氏神様から土地を利用する許可を得ることで、住む人の繁栄や建築工事中の安全を祈願する儀式を指します。タイミングとしては、建築工事の安全祈願の意味も込められていますから、基本的には家の建築工事が始まる前に行われます。全国に浸透している風習で、義務というわけではなく、5~10万円ほど費用がかかるものなので、必ず行う必要はありませんが、縁起を担ぐ方や信心深い方、記念になるお祝い事をしておきたい方はしておくとよいでしょう。

地鎮祭(じちんさい)

四方に忌竹(いみたけ)を建て、注連縄(しめなわ)を張り、その中に南向きに配した神籬(ひもろぎ)を設置することで神霊を招きます。

地盤改良工事(じばんかいりょうこうじ)

地盤調査が終わり、地盤が強いと判断されれば地盤改良工事は必要ありませんが、地盤が弱いと判断された場合は地盤改良工事の必要があります。これは地盤が弱いまま家を建ててしまうと、地盤が家の重さに耐えきれず、家が傾いてしまう可能性があるからです。なお、家が傾いてしまうと様々な部位に負荷がかかってしまい、窓の開け締めしづらくなったり、壁にひびが入ったりしてしまいます。では、実際にどのようにして地盤を改良していくかというと、表層改良工法(セメントを使用して地表周辺を固める方式)や柱状改良工法(円柱状に地盤を固めた改良杭によって建物を支える方式)、小口径鋼管杭工法(鋼管で地中から建物を支える方式)などの地盤改良工事を地盤の状態に合わせ施していきます。

地盤改良工事(じばんかいりょうこうじ)

柱状改良工法を施した土地。軟弱な地盤が2~8m程度の場合に用いられ、もっとも一般的な地盤改良工法です。

基礎とは、地面と建物の間にある建物を支えるコンクリート部分のことを指します。基礎って意味あるのかな?と思う方もいるかもしれませんが、実は重要な役割があります。その役割とは「建物の荷重を水平に受け止め、均等に地面に伝える」「湿気を建物に侵入させないようにする」「地震の際、横方向の力を受け止める」ことで、高温多湿かつ地震大国の日本でも住まいが長持ちするようにしています。また、日本の住宅で多く採用されている基礎には2種類あり、建物全体を点と線で建物を支える布基礎(柱・壁の直下にだけ基礎を作る工法)と面で支えるベタ基礎(建物を建てる範囲全体に基礎を作る工法)の2種類があります。現在の日本の住宅では、ベタ基礎が主に採用されていることが多いです。

地縄張り・遣り方(じなわばり・やりかた)

地縄張りとは、建物の大体の位置を確認するために、敷地内に縄を張る作業のことを指します。最近では取り回しの良い「ビニールひも」が使われる場合が多いようです。ちなみに地縄張りを張ると、「うわっ・・・私の家、ちっちゃすぎ・・・?」と大体の方が心配されます。これは人間の目が平面的なものを小さく感じてしまう現象なので、心配されなくても大丈夫です。

遣り方とは、建物の位置・基礎の高さ・水平などを決める作業のことを指します。地縄張りから50~100cm程度離れた外側に杭(水杭)を打ち、オートレベル等の機材を使って、GL(基準となる高さ)から一定の高さで水平になるように板(水板)を設置します。この水板と水板の間に糸(水糸)を張ることで、敷地内ならどこでもすぐに基準の高さが確認できるようになり、水平な基礎を造ることができます。このように重要な意味を持つ工程なのですが、パッと見は敷地が地味な板で囲まれているだけなので、「立入禁止」と勘違いされる方もいるようです。

地縄張り・遣り方(じなわばり・やりかた)

地縄張りは建物の形を地面に投影するだけではなく、敷地内における建物の位置を確認する意味もあります。また、縄のラインは建物の外周部を表すのではなく、在来工法では柱の中心もしくは壁の中心を意味しています。

根切り・地業・捨てコンクリート(ねぎり・じぎょう・すてこんくりーと)

根切りとは、建物の基礎を地盤下につくるために地盤を掘り起こす作業のことを指します。
地業とは、建築の基礎を支えることができるよう、砂利や割栗石を敷くなどして地面を加工する作業のことを指します。
捨てコンクリートとは、5センチ程度の厚みでコンクリートを流し込む作業のことを指します。基礎の位置を確認しやすいように目印をつけていく「墨だし」の下地にしたり、基礎を乗せる面を水平な状態&高さの基準にするなどの役割があります。

根切り・地業・捨てコンクリート(ねぎり・じぎょう・すてこんくりーと)

基礎に地面からの湿気が流れ込むのを防ぐため、捨てコンクリートを打設する前に防湿シートを敷いています。

配筋工事(はいきんこうじ)

配筋工事(はいきんこうじ)とは、基礎の鉄筋部分を組む作業のことで、通常は2,3日ほどかかります。木造建築物の基礎は、通常鉄筋コンクリート造にするため、鉄筋を基礎の形状にあわせて配置されます。配置される鉄筋の太さ・数量・間隔は、建物と地盤により算出された構造計算を元に決められます。

配筋工事(はいきんこうじ)

鉄筋が錆びないよう保護するために、しっかりかぶり厚(鉄筋表面とこれを覆うコンクリートの表面までの最短距離)が確保できるよう計測しながら組み上げられます。

生コンクリート打設(なまこんくりーとだせつ)

生コンクリート打設とは、生コンクリートを枠の中に流し込み、建物の基礎を作る作業のことを指します。事前に生コンクリートの手配が必要なことや、当日の天気に左右される作業なので、計画を立て迅速に作業を進める必要がある工程となっています。
ちなみに生コンクリートとはJIS規格(品質基準、検査方法、原材料の貯蔵・製造・運搬など細かな部分まで規定されている)の「レディーミクストコンクリート」に基づいて製造された高品質なコンクリートのことです。各地域にある生産工場内で練り混ぜられ、ミキサー車で分離しないよう常にかき混ぜながら建設現場まで運ぶことができるので、基礎工事のような大量の高品質なコンクリートが求められる現場で大活躍します。
また「なんで打設と書くんだろう?」と思った方も多いはず。これは生コンクリートをただ型枠に流し込むだけでは、空気の穴ができたり基礎の端までコンクリートが行き渡らないため、昔は木や竹の棒などで念入りに叩いたり突いたりして、空気や水を出していたことに由来しています。現在では、バイブレータという機械を用いて振動を与え、締め固めを行っています。基礎の底盤部分と立ち上がり部分に分けて行う「二度打ち」で行われることが多いです。

生コンクリート打設(なまこんくりーとだせつ)

一戸建ての基礎は、底面部分と立ち上がり部分の2回に分けて打設するのが一般的。底面部分の打設が終わった後、基礎の立ち上がり部分の鉄筋を囲むように枠を設置し、その中に生コンクリートを流し込みます。

屋内外給排水工事(おくないがいきゅうはいすいこうじ)

屋内外給排水工事とは、上下水本管から敷地内に引き込まれている給排水管を建物内にさらに引き入れたり、排水管を地中に張り巡らせたりする作業のことを指します。先に住宅の土台や1階部分の床下地を施工してしまうと、床下部分を確認しづらくなってしまい、給排水管を設置する効率が下がってしまうため、このタイミングで給排水管を配管します。

屋内外給排水工事(おくないがいきゅうはいすいこうじ)

青色のホースが給水管、赤色のホースが給湯管というように、架橋ポリエチレン管を色違いにして使い分けることで、接続間違えを防ぎます。

土台敷き・足場組み(どだいしき・あしばくみ)

土台敷きとは、基礎の上に基礎パッキン、土台を設置していく作業のことを指します。土台は基礎に直接置いてしまうと、基礎の水分が土台に移り、土台が腐ってしまう原因となってしまいます。基礎パッキンを基礎と土台の間に挟み込み、基礎パッキンについている換気スリットで通風を確保することで、土台の耐久性を上げる仕組みとなっています。また、基礎から出ているアンカーボルトを基礎パッキン・土台に通した上で、ボルトをしっかり締めて固定させるので、地震が起こっても土台がずれないような構造となっています。以前は幅40cm×高さ20cmほどの床下換気口を設置し、通風・換気を行う方法が主流でしたが、換気が十分に行わない・基礎の耐力が弱くなってしまうという問題点があったため、現在では基礎パッキンによる通風・換気が主流となっています。

足場組みとは、高所作業を安全に効率良く行うために足場を設置していく作業のことを指します。今後、建方工事・屋根工事・外壁工事・電気工事などで専門の職人がそれぞれ工事を行って行く上で、安全に作業するために足場が必ず必要になります。この段階ではまだ基礎があるだけの状態なので、足場を組む専門の職人が、図面から3次元的にどの場所にどんな作業が発生するか想定し、適切な足場を組んでいきます。また、足場にはクサビ(ビケ)足場、パイプ(単管)足場、単管ブラケット足場などがあり、取れるスペーズなどの状況に応じて使い分けられています。足場を組み終わると、外周を覆う形でメッシュシートが貼られます。このメッシュシートは、洗浄時の水や塗装時の塗料、工事中に落下した材料などが、現場以外に飛散するのを防止する役割を担っています。

土台敷き・足場組み(どだいしき・あしばくみ)

土台と基礎をつなぐ基礎パッキン。換気できる通常のタイプ、施工の手間が省けるロングタイプ、玄関・勝手口・土間まわり・バスルームまわりなど気密化が必要な場所に敷き込む気密タイプ、気密タイプに断熱機能を追加した断熱気密タイプがあります。

建方工事(たてかたこうじ)

建方工事とは、柱や梁などの骨組みを組み立てていく作業のことを指します。それまで平面的だった構造物が、一気に立体的な構造物になるので、お客様にとって一番見栄えする作業と言えるかもしれません。また、建方工事は一気に取り掛かり、短期間で済ませることが多いので、「1日でこうなるの!?」とビックリされるお客様も多いようです。

建方工事(たてかたこうじ)

足場というには細い梁や桁をひょいひょいと歩いて作業していく職人さんの姿は、まさしく職人芸と呼ぶにふさわしい。

上棟・上棟式(じょうとう・じょうとうしき)

上棟とは、柱や梁を組み立てた後、屋根の一番高い位置に棟木(むなぎ)という横架材が取り付けられることを指します。「棟上げ」や「建前(たてまえ)」と呼ぶこともあります。地域によっては、上棟が骨組みを組み上げた段階を指すこともあれば、屋根が完成するまでを指すこともあり、上棟の意味や作業範囲が異なる場合があるようです。
上棟式とは、家屋の守護神と大工の神を祀って、上棟が無事に終えたことを工事関係者と一緒に感謝・お祝いすると共に、建物が無事に完成することを願う儀式のことを指します。上棟式のタイミングとしては、前述の上棟が終わったタイミングで行われます。元々上棟式は神社から神主を呼んで執り行う儀式でしたが、近年では簡略化が進み、神主を呼ばないケースも多くなっています。式の内容は地域によってさまざまですが、祈願の後には直会(なおらい)と呼ばれる宴会や関係者の紹介・施主のあいさつ、賑やかに小銭や餅をまく餅まきが行われたりします。地鎮祭と同様に全国に浸透している風習で、義務というわけではなく、費用がかかるものなので必ず行う必要はありませんが、縁起を担ぐ方や信心深い方、記念になるお祝い事をしておきたい方はしておくとよいでしょう。

上棟・上棟式(じょうとう・じょうとうしき)

高い場所で危険なため、お客様に代わり大工さんが棟木に幣束(へいそく)を立てます。幣束には神様に供えるささげものの意味があります。

屋根工事

屋根工事は現場資材を雨に濡らさないため、上棟後すぐに行われます。屋根の傾斜に沿って上から下へ流れている垂木(たるき)と呼ばれる構造材の上に野地板(のじいた)という合板を設置していきます。野地板の「野」は目に見えない場所を指す言葉で、野地板という名前の由来になっています。この野地板の上にルーフィング工事(防水を目的としたシート張り作業)が行われ、その上に瓦屋根やスレート屋根・金属屋根などの頑強な屋根材が設置されることで、屋根工事が完成します。

屋根工事

野地板を設置する途中のようす。野地板は完成後の住まいで通常見ることはありませんが、ルーフィングと屋根材を固定する重要な役割を持っています。

サッシ・玄関ドア設置工事

次に外部建具であるサッシ・玄関ドアの設置工事が行われます。躯体にサッシ・玄関ドアを設置した後、防水テープや透湿防水シートでサッシの4辺を覆うように被せることで、雨仕舞(家の中に雨水が入らないようにすること)を確実にしていきます。実は外壁面で最も雨水浸入の可能性がある個所はサッシと外壁の接合部分と言われています。しかし、防水テープやシートを正しい順番で貼ることや、剥がれ・浮き・シワをできるだけ作らないよう丁寧に接着することで、雨水の浸入を防ぐことができます。

サッシ・玄関ドア設置工事

会社によっては先に躯体に透湿防水シートを張ります。この場合は、透湿防水シートをサッシが通れるように切り抜いてからサッシを取り付けます。雨水は上から下へ流れるため、雨仕舞は基本「下から上へ」の順番で防水加工を施すことで、雨水が内部へ入り込まないようにします。

中間検査(ちゅうかんけんさ)

中間検査とは、阪神・淡路大震災で倒壊した建物が多数存在したことに鑑み、建築物の安全性の向上のために1999年に導入された制度です。具体的には、建築基準法の規定(7条の3)によると、建築主は、特定行政庁が指定した特定工程の工事を完了した日から4日以内に、建築主事に「中間検査」を申し出る必要があります。決定した検査日時に都道府県や市区町村または指定確認検査機関の検査担当が現場に赴き、目視や寸法測定等を行い、確認申請時に添付した設計図書どおりに施工されているか、安全性が基準を満たしているか検査を行います。設計図書どおりの施工がなされ、安全性が基準を満たしていることが認められると、中間検査合格証が交付され次の作業工程に進むことができます。

建築基準法に基づく中間検査(厚木市の場合【令和4年4月1日~令和7年3月31日】)
対象建築 構造 特定工程 後続工程
建築基準法第7条の3第1項第2号による対象建築(特定行政庁が指定する)
①一戸建ての住宅(兼用住宅を含む。)で50㎡超(※1住宅瑕疵担保履行法に係る建築を除く。)
②階数が3以上の木造建築物(混構造建築物を含む。)
③階数が2で木造の共同住宅(混構造建築物を含む。)
④階数が3以上で鉄骨造の共同住宅、長屋、寄宿舎、下宿
⑤建築基準法施行令第16条第1項で規定する定期報告対象建築物
主要な構造が木造(在来軸組工法又は枠組壁工法、混構造建築物を含む。) 屋根の小屋組工事及び構造耐力上主要な軸組の工事並びに枠組壁工法にあっては、耐力壁の工事 構造耐力上主要な軸組及び耐力壁を覆う外装工事(屋根葺き工事を除く。)及び内装工事
主要な構造が鉄骨造 鉄骨造の部分においては、初めて工事を施工する階の建方工事 構造耐力上主要な部分の鉄骨を覆う耐火被覆工事、外装工事及び内装工事
主要な構造が鉄筋コンクリート造 階数が1の場合は屋根版の配筋工事、階数が2以上の場合は最下階から2つめの床版の配筋工事 特定工程の配筋を覆うコンクリートを打ち込む工事
主要な構造が鉄骨鉄筋コンクリート造 階数が1の場合は屋根版の配筋工事、階数が2以上の場合は最下階から二つめの床版の配筋工事 特定工程の鉄骨及び配筋を覆うコンクリートを打ち込む工事

電気工事

電気工事は、住宅内の照明の設置や配線などの作業を指します。具体的に言うと、住宅の室内へ電気を引き込むために配線を設置する配線し、家じゅうにスイッチやコンセントを設置していきます。電気ケーブルなどの配線は見た目がスッキリするように壁や天井の中で隠すように配線されるため、各部屋の壁や天井を貼り始める前のこのタイミングで行われます。
また、電気工事は火災や感電などの危険性を伴う作業のため、電気工事士の資格を持つ職人が慎重に施工します。

電気工事

工事が進むと、配線は壁や天井に隠れ、見えなくなります。

断熱工事

断熱工事とは、住宅の室内温熱環境が外部の影響を受けにくいように断熱材を設置していく作業を指します。断熱には、大きく分けて内断熱工法と外断熱工法がありますが、木造住宅では主にコストパフォーマンスの高い内断熱工法が採用されています。また、断熱材にはスポンジのような繊維系断熱材、板状になった発泡プラスチック系の断熱材、吹き付けて泡状になる吹付け系の断熱材がありますが、仕組みとしてはどの断熱材も熱伝導率の低い空気を大量に含むことで断熱性を持たせています。しかし、隙間があるとそこから熱が伝わってしまうので、隙間ができないよう丁寧に施工する必要があります。

断熱工事

発泡性ウレタンを壁と天井に吹き付けた様子。発泡性ウレタンは細かい隙間にも入り込み、無数の気泡となって硬化します。

床下地工事(ゆかしたじこうじ)

床下地とは、床の構造のうち、室内に面する仕上げ材の下に張る下地のことを指します。
床工法には根太工法と剛床工法(根太レス工法)があります。根太工法では基礎の上に床束(大引を支える部材)、大引・根太という角材を交差するように配置し、断熱材を敷き詰め、12mmの構造用合板を被せて床下地が完成します。それに対し、剛床工法(根太レス工法)では、基礎の上に床束、大引を配置、断熱材を敷き詰め、24mmの構造用合板を被せて床下地が完成となります。
近年では、根太工法よりも必要な材料が少なく、素早い施工が可能なことから剛床工法が使われる場合が多いようです。

床下地工事(ゆかしたじこうじ)

今は見かけることが少なくなった根太工法。この後は、根太と根太の間に断熱材を入れ、12mmの構造用合板を設置する。

外壁工事

外壁工事とは、躯体の透湿防水シートが貼られた外側に外壁材(サイディング)を設置していく作業のことを指します。
以前は外壁をモルタル(セメントと砂を混ぜたもの)で仕上げることが一般的でしたが、現在ではサイディングで仕上げることが主流となっています。また、サイディングの取り付け方は、胴縁(下地材)を設置してからサイディングを取り付ける通気工法が主流となっています。この胴縁はサイディングを取り付ける役割だけでなく、空気の通り道となる「通気層」を造り、湿気を外部へ排出する役割を担っています。
サイディングとサイディングの間の隙間は、シーリングで塞ぎます。シーリングは、ただ単純に防水をするというだけではなく、日光・風雨・地震などによって微妙に収縮・移動したりするサイディングのズレを吸収する役割も担っています。サイディングのシーリングは、季節や温度にも注意し、二面接着(硬化後のシーリング材が目地の動きに追従出来る様に、2つの面のみ接着する方法)で施工されます。
外壁が完成すると樋(とい)を設置します。樋は屋根から流れてきた雨水を集め、管を通じて排水設備へ流してくれます。一見地味ですが「地面からの水ハネを少なくし、外壁がダメージを受けづらくする」「周辺に水がたまらず、湿気を好むシロアリを近寄りづらくする」「正常に雨水を排出させ、雨漏りが発生しづらくする」という重要な役割を持っています。

外壁工事

シーリング材が外壁にはみ出して汚れないように、マスキングテープを予め目地に沿って貼っておきます。

石膏ボード・クロス貼り(せっこうぼーど・くろすはり)

断熱工事が終わると、クロス貼りや塗装仕上げとなる部屋では石膏ボード(プラスターボード)を設置していきます。石膏ボードとは、石膏を主成分としたものを板状にして、紙で挟んだボードのことを指します。現在、壁や天井の下地材としてよく使われている素材で、クロスを貼るための面という役割だけでなく、壁や天井の補強・防音・耐火性を確保するための面材としての役割も担っています。
石膏ボードがキレイに施工できないと、その上に張るクロスもキレイに施工できないため、石膏ボードを留めるビスがめり込みすぎないようにしたり、石膏ボードのつなぎ目に大きな段差ができないようにするなど丁寧な施工が求められます。また、石膏ボードが取り付けられるとかなり部屋らしくなりますが、お客様の中には「ん!?狭い?暗い?」と感じられる方もいらっしゃるようです。
この後、石膏ボード同士の接続部分やビス穴の凹凸をパテで埋めたあとに、クロスを貼っていきます。クロスのヨレや凸凹、隙間等が発生しないよう丁寧な施工が求められます。クロスが貼り終えると、ホワイト系のクロスなどは光を反射しますので、部屋全体が明るくなり、広く見えるようになります。

石膏ボード・クロス貼り(せっこうぼーど・くろすはり)

写真中央にあるのは壁紙糊付機。昔はスケールで壁の寸法を測って、1枚1枚糊付けを行っていました。しかし、現在では機械に必要なクロスの長さを入力するだけで、糊付けした壁紙が量産できるようになりました。

フローリング・床材施工

前述した床下地工事で構造用合板(捨て張り合板)の施工が完了すると、次は仕上げとなる床フローリングの施工になります。
この時、いきなり床フローリングを貼っていくのではなく、まずは「敷き並べ」が行われます。「敷き並べ」とは、フローリング材を全て並べ、全体の配置のバランスを確認することです。これをしないと、床フローリング材のデザイン(木目や色など)はひとつひとつ違いがあるため、一部分に濃い色の板が固まってしまう等、床のデザインのバランスが崩れてしまう場合があります。「敷き並べ」で確認が終わると、床フローリングの施工に取り掛かりますが、床暖房を設置する場合はこの時に同時に行われます。また、洗面所や内外玄関のタイル貼りは、タイル職人、もしくは内装職人の方によって施工されます。

フローリング・床材施工

フローリングを貼る際は、わずかな隙間や浮きができないように「あて木」をしながら打ち込んでいきます。長さの調整が必要な時は、その場で電動ノコギリなどを使って加工していきます。

造作工事・建具設置

造作工事とは、柱・梁などの構造部分以外の仕上げ工事、天井や床、階段、敷居、鴨居などの室内装飾となる仕上げや下地を材料から組み立てる作業を指します。窓・ドア枠の設置や室内ドアの取り付け、収納棚の施工と扉取り付けもこの段階で行われます。建具については、各メーカーから出されている既製品であれば大工さんが設置しますが、オーダーメイドで造られる建具は建具職人の作業となります。

造作工事・建具設置

木材を加工して、家具や木製の建具(戸・障子・ふすま等)が取り付けられていきます。

足場外し

外壁工事が終わると、作業のやり残しや不備がないか確認を行い、次の外構工事に進むために組んだ足場を片付けます。解体にかかる時間は、組み立て時のおよそ半分程度が目安で、足場職人の手でテンポよく解体されます。解体した足場材は、全て車両に積み込んで搬出するので、半日ですっかり工事前の状態に戻ります。

照明工事・電気調整

この段階で照明器具を設置する照明器具工事、エアコンの設置工事を行います。スイッチやコンセントカバーなどの最終調整も行われ、建物全体の電気をまとめる配電盤も、この時に設置されます。

照明工事・電気調整

この段階になると、家の中が「住居としての姿」になっていきます。

その他設備の施工・新築ハウスクリーニング

ユニットバス・システムキッチン・換気扇・24時間換気システム・洗面台・トイレなどの設備が取り付けられ、内装の仕上げが完了します。
全ての工程が完了すると、建物全体のお掃除をする「新築ハウスクリーニング」を行います。住まいは様々な職人が関わって完成するため、どうしても汚れが付着してしまいます。その付着した「ホコリや塵」「材料を切った木くず、切りカス」「内装屋さんが床に垂らしたボンド」「建具についた手垢」などを落とし、お客様にキレイな状態でお引渡しできるようにします。

その他設備の施工・新築ハウスクリーニング

新築引き渡し前のハウスクリーニングでは、全てが新品なのでキズをつけないよう清掃する必要があります。掃除道具を落下させるだけでもキズになる場合があるので、細心の注意を払いながら慎重に掃除していきます。

外構工事とは、建物の外まわりの門やフェンス、ブロック塀や土間、U字側溝などの構造物を設置していく作業のことを指します。外構と似たような言葉にエクステリアという言葉もありますが、こちらは家の外側の空間全体を指す言葉で、玄関までのアプローチや庭、ウッドデッキもエクステリアに含まれます。
工事内容は多岐に渡り、門扉 / 表札、ポスト、インターホン / アプローチ / ガレージ、駐輪場 / カーポート、サイクルポート / 物置(ストックヤード) / 塀、フェンス / 庭、ガーデン / ウッドデッキ / テラス、ガーデンルーム / 植栽 / 砂利、除草シート / 照明 / 水栓、パン(水受け)などが挙げられます。その設備が必要かどうか、必要ならどのような商品・デザインにするかなど、お客様の選択により工事内容は変わります。

外構工事

玄関アプローチに設置された階段とスロープ。余計なお金をかけずに済むように、将来的にその設備が必要なのか不要なのかも検討した上で、設置する設備は決めていきたいところ。

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