注文住宅の外壁材
【外壁の種類と製品】

外壁材

ここでいう外壁材とは住まい外部の壁に取り付けられる仕上げ材のことを指します。
外壁も屋根と同様、住む人間をさまざまなものから守っており、常に紫外線や風雨にさらされる部分なので、耐水性や耐候性・耐久性など素材そのものの強さが求められます。さらに外壁は住まいの側面に設置される関係上、人目にさらされやすい部分のため、防汚性やメンテナンス性、デザイン性も求められ、さらに住まいの外や内の音が聞こえないように、遮音性も求められます。このように同じ外装材でも外壁は屋根に比べ、より多目的な性能が要求されます。

外壁材を大まかに分類すると、『サイディング』『モルタル』『ALCボード』『タイル』があります。それぞれ特徴に違いがあり、どの性能に重きを置くかによって、採用するべき外壁材が変わってきます。それぞれの外壁材の性質を把握して、しっかりと選べるようにしておきましょう。

サイディングの外壁材

サイディングとは工場で造られた一定サイズのパネルを外壁に貼り付けて使用する外壁材の総称です。この板には様々な材質のものが製造されており、材質により『窯業(ようぎょう)系』『金属系』『木質系』『樹脂系』のサイディングに分かれます。同じサイディングでも材質により性能が違ってきますので、注意しましょう。

窯業系

窯業系サイディングとは、セメント質原料、繊維質原料、および混和材からなる混合原料を成型、養生硬化し、防火性能に優れ、強くてしなやかな板状の外壁材です。自由に成型できるためデザインの自由度が高く、日本で使われるサイディングボードのほとんどが窯業系サイディングとなっています。デメリットとしては、窯業系サイディングの素材自体には防水性能がないため、定期的に塗装を行い防水加工をする必要があります。長らく放置し、メンテナンスせずにいると、ひび割れや剥がれ・反りなどの症状が出てしまうため、こまめなメンテナンスが大切です。

金属系

金属系サイディングとは、柄付けされた金属板と断熱効果のある裏打材によって構成された外壁材です。金属系サイディングは『ガルバリウム鋼板』『塗装溶融亜鉛めっき鋼板』『アルミニウム合金塗装板』『ステンレス鋼板』などの種類があり、現在主流になっている金属系サイディングは『ガルバリウム鋼板』や『アルミニウム合金塗装板』です。屋根で活用されている『エスジーエル鋼板』も今後の主流になっていくと見られています。どの金属素材でも、軽量で耐久性が高く、割れるような衝撃にも耐性があります。近年では断熱材と一体型になっている金属系サイディングも出ており、弱点である断熱性と遮音性を高めています。また、水分を吸収しない素材のため寒冷地で凍害を受けないなど窯業系サイディングにはない強みがあるのも特徴です。しかし、塗装が劣化したり、メッキや塗装が傷などで剥がれてしまうと、芯材である鋼板が錆びてしまうという弱点もあります。窯業系サイディングと同様に、こまめなメンテナンスが重要です。

木質系

木質系サイディングとは、その名の通り本物の木を使った外壁材です。本物の木ならではの温もりのある風合いが魅力で、木材自体が空気を十分に含む断熱性の高い素材であるため、外の熱気や寒気から家の内部へ通しにくくなります。ただし、デメリットとしては原材料が木で長い時間をかけて育てる必要があり、他のサイディングに比べ高価なことが挙げられます。また、雨水などが染み込むと腐食しやすいため、塗装などのメンテナンスをこまめにする必要があることや、木質系サイディングを取り扱える技術力の確かな業者を選択する必要があります。

樹脂系

樹脂系サイディングとは、塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材です。屋根材であるアスファルトシングルと同様に、北米では高いシェア率を誇っているメジャーな素材となっています。塩化ビニル樹脂製であるため、軽くて耐久性とメンテナンス性が高いのがポイントです。オープンジョイント工法(外壁の隙間を完全にシールして密閉するのではなく、開放することによって外壁材の内外の圧力差をなくし、雨水が外壁内に入りにくくする工法)を使うことで、シーリングを使わない施工も可能な製品があり、他のサイディング材と比べてメンテナンスの手間が少なくて済む場合があります。ただし、日本ではまだ浸透していない外壁材であるため施工できる業者が少なく、製品自体も少ないのでデザインのバリエーションが多くないのがデメリットです。

サイディングの外壁材

サイディングは一定サイズのパネル状の素材を外壁として貼り付けるため、パネルとパネルの間に必ず目地ができる。目地にはコーキング材と呼ばれるゴム状のもの入れられており、通常サイディングよりもコーキング材の劣化の方が早いので、定期的なメンテナンスが必要だ。

モルタルの外壁材

モルタルとはセメントに水・砂を混ぜ合わせて作る建築材料のことで、外壁にラス網(モルタルの剥落を防ぐために、モルタル下地として使用される金網)という網をはり、そこにモルタルを塗ってから塗装されることで仕上げられます。1970年代頃から洋風の一戸建てが流行したのに合わせて使われるようになった外壁材で、優れた耐火性・耐久性を持っており、職人の手により高級感のあるお洒落なデザインにすることが可能です。
デメリットとしては、経年劣化・乾燥・地震・地盤沈下の影響でひび割れしやすいことが挙げられます。ひび割れの程度により、ヘアークラック(割れ幅0.3mm以下のひび割れ)、構造クラック(割れ幅0.3mmを超えるひび割れ)と分かれ、構造クラックの場合は内部へダメージが進行する前に補修が必要です。セメントが主成分でモルタル自身には防水性はないため、塗装を施して防水性を高める定期的なメンテナンスはかかせません。また、現場で職人が施工し乾かす必要があるため、工期が長くかかり、職人が少なくなった現在では他の外壁材より施工コストが高くなる傾向にあります。

モルタルの外壁材

モルタルの左官仕上げはコテなどを使って仕上げる方法で、ハンドメイドならではの温かみのある風合いが魅力。

ALCボードの外壁材

ALCとは『Autoclaved Lightweight aerated Concrete』の頭文字をとった名称で、訳すと『オートクレーブ処理(高温高圧多湿養生)で製造管理された軽量気泡コンクリート』のことを指し、ALCボードは前述のALCを用い板状に成形したパネルのことを指します。珪石・セメント・石灰・発泡剤などから作られる「軽量気泡コンクリート」は、通常のコンクリートに比べて約1/4程度の重量で、耐久性・耐火性・断熱性に優れています。
ただALC自体は吸水性が高いため、定期的なメンテナンスとして防水塗装が必要です。また、ALCパネルはサイディングボードよりも1枚のサイズが小さく設計されており、目地が多くなる傾向があるためデザイン性が落ちるほか、シーリング材が劣化すると漏水事故が起きる可能性が高くなります。

ALCボードの外壁材

ALCボードの内部は気泡が多いため、水分を吸い込みやすい。そのため寒冷地では水分が凍結する時に体積が膨張してしまい、内部からALCボードが破壊されてしまう可能性があるため、水を染み込ませないよう塗装メンテナンスをしっかりしたい。

タイルの外壁材

タイルの外壁材は粘土または無機質の原料を成形し、高温で焼き固めた板状の建材のことを指します。無機質素材を約1300度の高温で焼き固めて造られているため高い耐久性・耐候性を誇り、メンテナンスの手間や費用が少なくて済みます。タイルの持つ重厚な高級感のあるデザインも魅力のひとつで、様々なバリエーションのものがあるので、好みのタイルを見つけることも難しくはありません。
このように魅力的なメリットを持つタイルの外装材ですが、他の外壁材に比べて高価なのがネックです。素材自体に重量もあるため、地震の時に横方向の力が加わりやすくなります。また、施工には技術を要するため、しっかりした業者を選ぶ必要があります。そのため、一戸建てではなかなか採用されず、マンションなどの集合住宅での採用が多い外壁材となっています。

タイルの外壁材

タイルの歴史は古く、現存する世界最古のタイルが紀元前3世紀のエジプトで建てられたピラミッドから発見されている。日本では6世紀になって百済から伝来したが、スペイン風邪の世界的流行に対して衛生対策が強化された1910年代末に入ってから普及した。

さらに見やすいように外壁材を素材別に性能比較表としてまとめてみました。ただし、外壁材の性能差は工法や断熱材の有無、下地材などで、その差を埋めることが可能なので、あくまで目安としてご覧ください。特にコストなどは需要と供給により変動が激しいので、ご注意ください。

外壁材 コスト 耐用年数 軽量性 遮音性 断熱性 防火性 保守頻度
窯業系サイディング 3,000~5,000円/㎡ 40年 7~10年
金属系サイディング 5,000円~/㎡ 40年 10~15年
木質系サイディング 5,000~8,000円/㎡ 30年 8~10年
樹脂系サイディング 4,000~9,000円/㎡ 30年 10~20年
モルタル 5,000円~/㎡ 30年 10~20年
ALCボード 7,000円~/㎡ 60年 10年前後
タイル 9,000円~/㎡ 40年 10年

◎ 優れている / ◯ 普通 / △ 劣っている

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