注文住宅の洗面台・洗面化粧台
【洗面台・洗面化粧台の種類と製品】

洗面台・洗面化粧台

ここでいう洗面台・洗面化粧台とは、洗面台(使用した水を受け排水口へ流す洗面ボウル・給水する蛇口・顔を映すための鏡)と洗面用具などを収納するキャビネットが一体化した設備のことを指します。配管工事のコストを抑えたりメンテナンスを楽にするために水回りは1ヶ所にまとめることが多く、浴室やトイレの近くに設置される場合が多いです。
手洗いや洗顔、髪のセット、または掃除の際の洗い場として、さまざまなシーンで活用されますが、特に朝には通勤や通学の準備で混み合いがちになります。ご家族が増えるほど混雑しやくなるため、実用性の高さ・掃除のしやすさ・十分な収納力・デザイン性の高さだけでなく、設置スペースの広さ・家族構成や人数なども考慮して選ぶとよいでしょう。

日本での洗面という概念の歴史は古く、少なくとも鎌倉時代にはその習慣があったとされています。これは当時の禅僧である道元(曹洞宗の開祖)が著した「正法眼蔵」というお経の中に、洗面についての作法が記述されていることから分かっています。このことから日本での洗面の習慣は僧から始まったと考えられています。現在のような洗面台が広まったのは近代になってからで、1955年に当時の日本住宅公社(現在のUR賃貸)が公団住宅内に洗面台を設置し、全国のマンションへと急速に広がりました。
洗面台の種類としては大きく分けて、『洗面台』『洗面化粧台』『造作化粧台』に分けられます。

洗面化粧台

洗面ボウルに加えて、化粧や洗顔などの身支度をしやすいように、小物置きや収納がある鏡面台の機能が追加されたもののこと。スペースにある程度余裕がある場合や、収納力も求められる場合など、メインの洗面台として設置されることが多いです。

洗面化粧台

メーカーから販売している洗面化粧台は長い時間をかけてブラッシュアップされているため、細かな部分の工夫(例えば水ハネを押さえられる高さに設置された鏡やコンセントの位置、電動歯ブラシやドライヤーに対応した収納など)が施されたものが多い。特にこだわりが無ければ、、メーカー製の洗面化粧台を選んでおくのが無難だ。

洗面台

受け皿として洗面ボウルがあり、主に手洗いや洗顔などを行うためのもののこと。洗面化粧台を置くスペースが無い場合や、シンプルな洗面台が欲しい場合など、サブ的な洗面台として設置されることが多いです。

洗面台

コロナ禍で注目されるようになった簡易洗面台。洗面脱衣室に配置された洗面化粧台だけではなく、外から帰ってきた時すぐに手が洗えるように『セカンド洗面』として活用する方も増えてきた。

造作洗面台

大工さんや家具屋さんに依頼して作ってもらうオリジナルの洗面台のこと。大手メーカーで販売している洗面台や洗面化粧台は大量生産されたもので、ある程度仕様が決まっています。オーダーメイドのため、洗面ボウルから水栓金具、鏡なども自分で選択することが可能です。ただし、自分で選択できる分、ある程度自分で下調べをする必要があり、設計から加工までの手間・材料の調達などで通常のものより費用や工期がかかります。設置スペースや家族の人数、使い方が一般の方と異なる場合や、独自のデザインにしたい場合は検討してもよいでしょう。

造作洗面台

自分で全てを決めることができる造作洗面台だが、意外と敷居は高い。メーカー製では当たり前についている機能や設備の位置なども自分で調べ、なぜその設備が必要か?なぜその位置にするのか?と意味合いを考えて仕様を決めていく必要があるからだ。また、理想の洗面台を完成させるのに必要な要素を、依頼する業者に伝えるコミュニケーション能力も要求される。

レバー水栓の操作方法についての豆知識
近年ではコロナ禍により、タッチレス水栓が注目されています。しかし、まだまだレバー水栓が多くのご家庭で使われています。

現在普及しているレバー水栓は、レバーを下げると水が止まり、上げると水が出る「下げ止め式」です。しかし、少し前まではレバーを上げれば水が止まり、下げると水が出る「上げ止め式」が主流でした。「言われてみればそうだったかも…?」と思われた方もいるかもしれませんが、一体いつから変わったのか知っている方は少ないハズ。

実は1997年に、経産省の日本工業標準調査会が2000年3月末での「上げ止め式」の廃止を決めました。元々、レバー式の水栓(正式名称はシングル湯水混合水栓)は欧米生まれで、1970年代の日本では「上げ止め式」のものが普及しました。ところが、1980年代にアメリカの大手水栓メーカーが「下げ止め式」に変更し、日本でも「下げ止め式」のメーカーが現れはじめ、両方の水栓が混在するようになってしまいました。消費者もこのような状況に困り、操作方法の統一化が検討されるようになりましたが、「下げ止め式」派と「上げ止め式」派、両者のメーカーの主張は食い違い、なかなか決着はつきませんでした。

【「下げ止め式」派メーカーの主張】
 ・アメリカでは「下げ止め式」が標準になっており、国際的な流れに沿うべき!
 ・上から物が落ちてきたり、誤って手をついたりしても、レバーが下がった時に止水する方式の方が安全!
 ・(「下げ止め式」で工場のラインや製品シリーズを組んでるんだからマジ勘弁!改修する手間とお金かかるでしょ!)

【「上げ止め式」派メーカーの主張】
 ・日本では「上げ止め式」で導入し、消費者もそれで慣れているのだから、そのままにすべき!
 ・直感的に「レバーを下げると水が下に落ちる」のが自然で、操作性が良い!
 ・(いやいやいや、こちらも「上げ止め式」で工場のラインや製品シリーズを組んでるんだからマジもぅ無理!)

しかし、1995年に『阪神淡路大震災(1995年)』が起こり、統一化の流れを後押しすることになります。震災中起こった問題として、棚などから「上げ止め式」レバー水栓の上に物が落ち、レバーが下がってしまい水が出っぱなしになってしまうといったことがありました。それにより、マンション階下の部屋が水浸しになったり、受水槽や高架タンクにあるはずの溜め水が枯渇し、水不足になるなどの多くの二次被害を招いたそうです。また、一斉に水が消費されることで緊急連結管で消火活動を行うための水が使えず、消火活動に支障をきたしたこともあったようです。

このような経緯でレバー水栓は「下げ止め式」に統一され、現在「上げ止め式」のレバー水栓は生産されていません。もし、現在お住まいで「上げ止め式」のレバーを使っている場合は、20年以上使用していることになりますので、経年劣化や安全性も踏まえると、そろそろ新しい水栓や洗面台を検討したほうがいいかもしれませんね。

手洗いの歴史
外から帰ったら手洗いをすること。
───子供の頃から教えられていることですが、コロナ禍では手洗いやうがいなどの衛生習慣が再び見直されるようになりました。

日本では古来より神社など宗教的な意味合いとして、「手洗い」を行うことで身を清めるという行為自体は存在していました。しかし、本当の意味で手洗いが一般化したのは、水道が普及し衛生教育が行われるようになった戦後になってからで、世界的に手洗いが一般化するのも近代以降になります。

衛生管理をする上で「手洗い」が重要だと世界で初めて提唱したのは、ハンガリー出身の医師であるセンメルヴェイス・イグナーツ(1818~1865年)といわれています。ウィーン総合病院の産科医として働いていたセンメルヴェイスは、第一産婦人科では産褥熱(分娩によって生じた傷に細菌が感染し、産後24時間から10日の間に38℃以上の熱が2日以上続く病気)で10%以上もの妊産婦が命を落とすのに比べ、第二産婦人科の死亡率は3%となっていることに疑問を抱きます。その疑問は長い間解決しませんでしたが、同僚の医師が解剖中に誤ってメスでケガをし、産褥熱に似た症状で亡くなってしまったことで、ある仮説にたどり着きます。

「第一産婦人科では病理解剖を行った医師が分娩に参加することがあり、死体についている目に見えない何かが医師の手に付着し、それが妊産婦を死亡に至らしめたのではないか?」

その仮説に基づき、後に彼は次亜塩素酸カルシウムで手を消毒することで劇的に産婦の死亡率を下げることが出来ることを発見しました。しかし、センメルヴェイスの考えは当時の医学会に受け入れられず、センメルヴェイス自身は医学会を追放、後に隔離された精神病院にて失意の内に屈辱的な死を迎えました。センメルヴェイスの考えが科学的な裏付けを得て、正しく理解されるようになったのは、その死後20年を経てルイ・パスツールが細菌と病気の関係を突き止めてからでした。

偉大な功績を残しつつも、不遇の死を迎えたセンメルヴェイス。「手洗いの父」「消毒の父」と呼ばれる彼の考え方は、洗面台・洗面化粧台として現代の我々の生活の中に根付いています。

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