注文住宅の床材
【床・フローリングの種類と製品紹介】

床材

ここでいう床材とは住まい内部の床に使用する仕上げ材のことを指します。
基本的には住む人間やペットの素足が触れる部分で、場合によっては座ったり寝転んだりする部分なので、適度な頑丈さと柔らかさが求められます。さらに床は壁や天井に並び、室内において人間の視界に入りやすい場所にあるため、デザイン性や質感も求められます。部屋の用途によっては耐水性やクッション性、防音性やメンテナンス性が求められることもあり、現在では様々な素材が開発され、床材として活用されています。

床材の種類には『フローリング』『コルク』『フロアタイル』『カーペット』『畳』『クッションフロア』『天然石』などがあります。それぞれ特徴に違いがあり、採用すべき場所が異なります。それぞれの床材の性質を確認して、しっかりと選べるようにしておきましょう。

フローリングの床材

フローリングとは主に木質系材料からなる床板で、表面加工などの加工を施したものになります。床材の中でも最もスタンダードなもので、木の種類により多様な木目や肌触りを楽しむことが可能です。また、掃除やお手入れもしやすいため、その扱いやすさも魅力となっています。ただし、フローリングは大きく分けて2種類あり、性質が微妙に異なるので注意が必要です。

無垢フローリング

1本の木から切り出し乾燥させて造り出した1枚板のフローリングのことを指します。天然木から切り出したものなので、自然の風合いを楽しむことができるのが一番の魅力です。ただし、天然木ゆえに水に弱く、水に濡れたままだと変形や変色を起こす恐れがあるため、すぐに拭き取るなど扱い方に気をつける必要があります。また、フローリング1枚1枚の木目も色合いも同じものはないため、1枚1枚のデザインの微妙な違いを楽しめる方に向いています。

複合フローリング

合板や集成材に化粧材を貼り合わせたフローリングのことを指します。加工品であるため、水に強いなど機能性をもたせたものもあります。また、フローリング1枚1枚の木目も色合いも似通っているため、床のデザインを揃えたい方に向いています。

フローリングの床材

フローリングは木の温かみのある風合いを感じられる人気の床材だ。水に弱いという弱点はあるが、直ぐに拭き取るなどして大切に扱っていきたい。

クッションフロアの床材

クッションフロアとは塩化ビニール系の素材で作られるシート状の床材で、コストも安く手軽に敷くことができます。一番の特徴としては素材が塩化ビニールで、水を弾いてくれるため汚れにくく、お手入れも簡単です。また、その名の通りクッション性のある素材でできているため、フローリングより足への負担が少なく遮音性能があります。現在ではデザインも様々なものがあり、大理石のような石目調のデザインからフローリングのように見える木目調のものまであるため、デザイン選びに困ることはないでしょう。
デメリットとしてはプラスチック樹脂ゆえに熱に弱く、暖房設備との併用には注意が必要です。また、クッション性のある柔らかい素材なので傷がつきやすく、重い家具などを置いてしまうと跡が残る場合があるため、重い家具が少ない部屋でクッションフロアを使用するとよいでしょう。

クッションフロアの床材

クッションフロアは扱いやすさが魅力。このようにロール状に巻くことができるほど柔らかく、運搬しやすく加工も容易なのでDIYにもオススメの床材だ。

フロアタイルの床材

フロアタイルとして使われる素材は、セラミック・磁器質・天然石・ガラスなど様々なものがあります。現在の住宅では、フロアタイルとしてビニル床タイル(ポリ塩化ビニル製)とセラミックタイル(陶器製)がよく使われています。

ビニル床タイル

プラスチック樹脂を原料とする床タイルで、価格がフローリングに比べお手頃のものが多いです。同じくプラスチック樹脂を原料とした床材しシート状になっているクッションフロアがありますが、ビニル床タイルはピース状になっており、パズルのように並べて貼っていきます。表面は傷つきにくいようにコーティングされていますが、普通のカッターでカットできる程度の強度なので、加工がし易いところもポイントです。また、様々なデザインのものがあり、木目の凸凹を表現した無垢材のようなデザインもあるため、デザイン選びに困ることはないでしょう。
ただし、デメリットもあり、素材がプラスチック樹脂のため耐水性はありますが、目地から水が侵入すると接着力が弱くなってしまいます。同様にプラスチック樹脂ゆえに熱に弱く、暖房設備との併用には注意が必要です。また、クッション性はなく硬い素材なので、床に接する機会の多い方には向いていません。

セラミックタイル

セラミックタイルとは、陶磁器製のタイルを総称したもので、原材料は【粘土】【シリカ】【顔料】【融剤】などです。強度があるため傷ができにくく、手入れがしやすいと高いメンテナンス性を誇ります。また、釉薬を施したうえで高温で焼成させた場合、表面は不透明なガラス質のエナメル状となるため、床材として使用した場合、高級感のある床にすることができます。
一方でデメリットもあり、材料費を含め施工金額が高く、セラミックタイルの施工に慣れた業者を探す必要があります。また、陶器であり冷たくなる素材なので、素足で歩くような場所には向いていません。

フロアタイルの床材

高級感を演出できるセラミックタイルは汚れが付着しにくく、変色や表面の劣化が少ない。

カーペットの床材

カーペットにはロールカーペットとタイルカーペットがあり、ロールカーペットは屋内の床に敷くための織物や敷物をロール状に巻いたもので、継ぎ目をつくることなく部屋に敷くことができます。一方のタイルカーペットは、タイルのように正方形の状態で売っている織物や敷物のことで、汚れても一部を取り外して洗ったり、交換することができる取り回しの良さが魅力です。素材としては様々なものがあり、ウール・ナイロン・ポリエステル・ポリプロピレン・アクリル・シルク・コットン・リネン(麻)などが使われています。素材により程度の差はあれ、クッション性があるため足や腰に負担がかからないのがポイントです。その他足元の冷えを防ぐ機能や、足音を響かないようにする効果も期待できます。
デメリットとしては、掃除のしずらさが挙げられ、パイル地にゴミやダニが入り込んでしまうため、定期的に掃除機をかけてやる必要があります。特に気をつけたいのは飲み物などの液体汚れで、シミになるとなかなか取れにくいので、気をつける必要があります。

カーペットの床材

カーペットの歴史は古く、紀元前4000年から2000年の間にはモンゴルかトルキスタンで作られていたといわれています。

コルクの床材

コルクとはコルク樫(こるくがし)の樹皮のコルク組織を剥離して加工した、弾力性に富む素材のことを指します。発泡プラスチックのように多孔質の構造をしており、空気をよく含んでいるため、保温性・吸音性にも優れています。グリップも効いて滑りにくく、ある程度の足音や衝撃を吸収してくれるため、床と接する機会の多い子どもや、転倒事故の多い高齢者にオススメの床材です。ただし、紫外線によって退色が起こることや、強度的には子どもやペットのイタズラなどで穴が空いてしまうこともある素材なので、その部分については留意しておく必要があります。

コルクの床材

コルクは断熱材として使われることもある素材で、冬などは床の冷たさを和らげてくれる。

畳の床材

畳とは日本で古来から利用されてきた伝統的な床材で、芯材である畳床の表面に『イ草』で織った作った敷物状の畳表を貼り付けて作られたものを指します。程よい硬さとクッション性を兼ね備えているため、素足でも快適に過ごすことや、『イ草』由来の香りにリラックス効果を期待することができ、和室の雰囲気を出すには最適な床材です。しかし、天然素材ゆえのデメリットもあり、日光に含まれる紫外線により色が薄緑色から黄色へ変色するため、日焼けを予防する場合は窓にUVカットフィルムやUVカットカーテンなどの工夫、家具のレイアウトに気をつけてやる必要があります。
また、普通の畳以外にも琉球畳という縁(ふち)のない半畳サイズの畳もあり、琉球畳を使うことでモダンな和室を演出することも可能です。(※正確には琉球畳は『七島イ』を用いて作られている畳のことを指しますが、『七島イ』は大分県の国東地方のみで生産されており、希少性が高い畳となっています。そのため縁(ふち)のない半畳サイズの畳のことを総称して「琉球畳」と呼ぶことが多くなりました。)

畳の床材

和室を作る上でかかせない畳。部屋の雰囲気を引き締め、その香りは日本人の心を落ち着かせてくれる。

天然石の床材

天然石はヨーロッパを中心に、古来より床材として重宝されてきました。木材が潤沢に手に入る地震大国の日本では、一般住宅の建材としてメジャーではありませんが、高級感や気品が漂う質感が魅力です。また、木の床などに比べて耐久性があり、摩耗による傷や凹みがつきにくく、シロアリなどの食害の心配がありません。床材としては主に大理石・石灰岩・御影石などが使われることが多いようです。
デメリットとしては高価な素材が多く、加工できる職人の数も少ないため、他の床材に比べるとコストがかかることが挙げられます。金属などの天然石より強度の高い素材や重いものがぶつかると割れてしまう可能性があることや、天然石は水が染み込みやすくシミになってしまう可能性があるため、取り扱いやメンテナンスには注意が必要です。また、硬く冷たい素材なので、お子様や高齢者のいる家庭には向いていません。

天然石の床材

玄関の床に使用した御影石。御影石は火成岩(マグマがゆっくりと冷やされて固まることで出来上がる石)で、非常に硬く水にも強いのが特徴だ。

さらに見やすいように床材を素材別に性能比較表としてまとめてみました。ただし、床材の性能差は工法や断熱材の有無、敷物などで、その差を埋めることが可能です。あくまで目安としてご覧ください。

床材 コスト 耐摩耗性 耐水性 耐変退色性 耐熱性 安全性 遮音性 断熱性 耐汚性 保守性
無垢フローリング
複合フローリング
クッションフロア
ビニル床タイル
セラミックタイル
カーペット
コルク
天然石

◎ 優れている / ◯ 普通 / △ 劣っている

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