梁を見せた注文住宅のメリット・デメリットとは?
施工実例とともに解説

2024/7/23 公開

梁を見せた注文住宅のメリット・デメリットとは?施工実例とともに解説

住宅のデザインは、快適に過ごす空間をつくるためだけではなく、家族の生活をより楽しく、より豊かにするのに一役買うこともあります。

しかし、デザインの数は無数にあるため、どのようなスタイルが良いか分からないという方もいるのではないでしょうか。デザインに迷ったときにおすすめなのが、明るく開放的でオリジナリティあふれるデザインの「梁を見せる住宅」です。

この記事ではこれから注文住宅の建設を検討している方に向けて、梁を見せる注文住宅のメリット・デメリットや注意点などを解説していきます。イメージしやすいように施工実例も紹介しますので、内装のデザインに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

梁(はり)とは建物を支える柱の上に水平に渡し、主に2階の床や屋根を支える役割を持っている構造材です。梁によって柱同士を固定して、耐震性に優れた建物にするのに重要な役割を持っています。

そのため、一般的な住宅では梁が存在していますが、普段から生活をする上で、あまり梁を意識したことがないという方が多いのではないでしょうか。近年の住宅では梁の下に天井を張って、梁の存在を隠すことが多いからです。しかし、注文住宅ではおしゃれな空間を演出できることから、部屋の一部としてあえて梁を見せるデザインを採用することもあります。あえてむき出しの状態にした梁のことを「見せ梁」と呼ぶこともあり、大きく「化粧梁」と「あらわし梁」に分けられています。

化粧梁とは?

化粧梁とは住宅のデザイン性を高めるために、あえて見えるように設置した梁のことです。天井部分にインパクトのあるデザインを持ってくることで、部屋の奥行きや高さをアピールしやすくなるメリットがあります。化粧梁には「梁に薄い板や木目シートなどを貼って見た目を良くしたもの」と「梁を模した部材を装飾目的で設置するもの」の2種類があり、前者は梁に石膏ボードなどの耐火基準を満たす部材を張って、建物を省令準耐火構造にするために採用する場合があります。

あらわし梁とは?

あらわし梁は、構造上必要になる梁をそのままインテリアとして見せる梁のことです。天井高を少し上げて一部だけを見せる方法と、吹き抜けのようなデザインで梁全体を見せる方法の2通りがあります。もともと古い日本家屋では立派な木材を使用したあらわし梁が、その家の価値を表す象徴として認知されていました。意匠性の高いあらわし梁にヒントを得て、近年普及してきたのが化粧梁になります。

一般的な住宅ではあまり見ない梁をあえて見せることでおしゃれな空間を演出し、オリジナリティのある住宅をアピールできます。そのため、注文住宅をつくるときに、始めから梁を見せたデザインにしたいと考える方も少なくありません。ここからは、注文住宅で梁を見せるデザインを取り入れたときのメリットを紹介していきます。

天井が高くなる

梁見せ天井の住宅では、本来あるべき梁の高さまで天井を上げることで部屋全体の空間が広くなります。例えば、床から天井までの高さが2500mmの住宅で、太さ300mmの梁全体を露出させると2800mmよりも高くなる計算です。部屋の開放感がアップし、のびのびとした生活空間を手に入れられるでしょう。

梁を見せるデザインは平屋や2階建て住宅の2階部分に採用可能で、吹き抜けの屋根部分に窓を付ければ風通しが良く明るいリビングにできます。

木の温もりを感じられる

梁を見せないタイプの住宅では、天井にクロスが張ってあるシンプルですっきりとしたデザインが多いです。空間に木材の梁があることで、木の温もりを感じられてナチュラルテイストな住宅を演出できるでしょう。木材を身近に感じられるデザインは空間を柔らかい印象にするため、リラックス効果も期待できます。

おしゃれな空間を演出できる

梁見せ天井では、個性的かつおしゃれな空間を演出できる点も魅力の一つです。天井が上に抜けて開放感のある印象になるのはもちろん、インテリアと合わせることで理想のマイホームを築いていく楽しさを感じられるでしょう。また、梁の色を明るくすれば部屋全体に立体感が生まれる他、あえてブラック系のカラーを選択することで高級感を演出できます。デザインからカラーまで、自分好みの空間にアレンジすることが可能です。

経年変化・デザイン変化を楽しめる

一般的に住宅は、長い年月住むと部材が古くなってしまい、修繕が必要になることがあります。しかし、梁は年月が経つにつれて変化する色や形を楽しめるのがメリットです。梁見せ天井に使用される木材は、年月とともに色が濃く深くなっていく樹種が多く、ひび割れも徐々に現れます。変化した独特の色合いを好み、思い出の一つとして大切にする方も少なくありません。注文住宅が完成した頃とは異なる梁の美しさを感じられ、デザインの幅も広げられるでしょう。

注文住宅で梁を見せるデメリット

注文住宅で梁見せ天井を採用すると、自分好みの魅力的なインテリアをつくりだせる点が魅力ですが、いくつかのデメリットも存在します。どのようなデザインを取り入れるかを考えるときは、必ずメリットだけでなくデメリットも理解しておきましょう。ここからは、注文住宅で梁を見せるデメリットを5つ紹介していきます。

掃除の手間が増える

梁を見せることで一般的な住宅よりも天井を高くできますが、その分掃除の手間が増える点はデメリットといえます。梁の上にたまったホコリの掃除や、高い位置にある照明の掃除など、主に手が届かない部分です。ホームセンターやインターネットでの購入が可能な伸縮式の高所用モップを使ったり、電動昇降式の照明にすると、お手入れがしやすいのでおすすめです。

断熱性・防音性が下がる可能性がある

梁見せ天井にするデメリットとして、断熱性や防音性が下がりやすくなる点も挙げられます。天井を高くすることで天井と屋根の間にある空気層がなくなる上、空間が広くなることが主な原因です。

間取りを工夫したり、気密性に優れた断熱材を使用したりすれば改善できる場合もあります。注文住宅を選ぶときは、できるだけ高性能な家づくりをする建築会社を選ぶようにしましょう。

冷暖房効率が悪くなる

断熱性・防音性が下がるのと同様に、部屋の空間が広がることで冷暖房効率が悪くなる可能性があるのもデメリットの一つです。特に梁見せ天井と相性の良い吹き抜けを採用した場合、空気の循環に時間がかるため、一般的な天井の高さの住宅に比べて冷暖房効率が悪くなる可能性があるでしょう。

冷暖房効率が気になる場合は、梁を半分だけ見せる仕上げにしたり、冬の底冷えに備えて床暖房を設置したりする対策が有効です。また、空気を効率的に循環させるシーリングファンを設置するのもおすすめです。

梁のひび割れが気になることがある

無垢材を使用した梁の場合、経年変化によってひび割れや亀裂が生じることがあります。長年の乾燥や温度変化による膨張・収縮を繰り返すことで起きる変化であって、基本的に建物の強度には影響しません。構造上は問題ありませんが、梁のひび割れが見えてしまうと、見た目が良くない印象を与えてしまうこともあるでしょう。

照明設計が難しい

梁を見せた天井の場合、高さがあるため照明の位置が限られます。そのため、照明の明るさや向きにも工夫が必要です。梁見せ天井ではダウンライトやスポットライト、シーリングライトなど、複数の照明を組み合わせて設計するのがおすすめです。

複数の照明を組み合わせても暗い場合は、壁のブラケットライトや床のフロアライトも検討してみましょう。開放感を保ちつつ、デザインも邪魔しないような照明を選択するのがポイントです。

梁見せ天井の注文住宅にはさまざまなメリット・デメリットがあり、魅力に感じる方も多いのではないでしょうか。ここからは、梁見せ天井の注文住宅をつくるときに気になる代表的な事柄を紹介するので、参考にしてください。

建築コストは上がる?

梁見せ天井にすると、一般的に建築コストは上がります。梁と梁の間に張る石膏ボードの大きさを調整したり、梁を保護する目的で塗装を施したりする必要があるなど、工程が増えるのが大きな要因です。また、天井を高くすることでクロスを張る面積が増える他、装飾目的で設置する化粧梁の場合は無垢材などの部材を別途購入しなければならないので、材料費がかかります。

後付けできる?

注文住宅を建てる際に検討するケースがほとんどの梁見せ天井ですが、装飾目的で設置する化粧梁であれば、建築後に後付けすることは可能です。例えば、リフォーム時にデザインのアクセントとして取り入れるケースがあります。リフォームではあらかじめ部屋の雰囲気が分かっているので、部屋に合ったデザインを選びやすい点は後付けならではのメリットといえるでしょう。

耐震性は問題ない?

天井を高くしたり、天井の下地材をなくしたりすることで耐震性を心配する方もいますが、梁見せ天井にしたからといって基本的に耐震性が落ちることはありません。梁見せ天井の注文住宅は、あくまでも本来隠れている梁を目に見えるようにしただけです。ただし、デザインを重視するあまり柱や梁の数を減らすと、耐震性が下がる可能性があるので注意しましょう。

ここからは、実際に梁見せ天井の注文住宅を建てた実例を紹介していきます。設計の際にどのような注文住宅をイメージすれば良いかが分かるので、参考にしてください。

空間をつくる梁のある家

化粧梁と勾配天井の組み合わせによってできたスペースに、ロフトをつくったデザインの注文住宅です。中央部に存在感のある梁を渡し、リビング全体の空間を立体的かつ開放的にしているのが印象的です。梁をホワイトにしたことで扉や壁紙と統一感のあるデザインとなっている上、高窓の設置によってさらに明るい印象を与えています。

生活感を見せない梁のある家

リビングをより広く見せるために、梁見せ天井を選択した注文住宅です。広々としたリビングに天井部分の開放感を加えることで、大空間のような印象を与える仕上がりになっています。

梁は木の本来の温かみを感じられる木目調を生かし、植物などと合わせてトータルコーディネートできている点も魅力です。さらに、収納を上手に活用して日用品を隠すことで生活感を見せないように工夫した結果、リビング全体でリラックスできる空間をつくりだせています。

お客様インタビューで詳しい内容をご覧いただけます。

おしゃれな梁見せ天井の注文住宅をつくる際のポイント

梁見せ天井の注文住宅はおしゃれな空間を演出できますが、少し工夫を凝らすことでさらに洗練された部屋にすることが可能です。以下ではよりすてきな家づくりをしたいと考える方に向けて、梁見せ天井の注文住宅をつくる際のポイントを解説していきます。

インテリアと合わせてトータルコーディネートをする

梁は存在感がありますが、インテリアの一つとして捉えて壁紙やフローリング、家具などにデザインやカラーを合わせると、おしゃれさがアップするでしょう。温かみのある木の良さを生かして木目調で統一したり、ホワイトとブラックのコントラストを楽しめるスタイリッシュなデザインにしたりと、自由にコーディネート可能です。また、部屋のイメージは光の当たり方によってガラッと変わることがあります。そのため、照明デザインや窓の数・配置などにもこだわりましょう。

吹き抜けや高天井と組み合わせる

梁見せ天井は部屋の上部に配置され、高天井や吹き抜けとの相性が良好です。梁のない高天井や吹き抜けでも開放感のあるリビングをつくれますが、空間が間延びしてシンプルになりすぎるケースがあります。一方、梁見せ天井に吹き抜けや高天井を設けることで空間に立体感が生まれやすく、メリハリのある印象になるでしょう。

梁のデザインにもこだわる

梁は木の質感を生かすためにそのまま使用しても問題ありませんが、クロスを張ることでデザインやカラーを変えられます。部屋全体をトータルコーディネートするときは、梁のデザインにもこだわりましょう。同系統のカラーにして統一感を出したり、インパクトのあるカラーを使ってアクセントにしたりするのも一つの方法です。周囲のインテリアや部屋の印象に合わせて、梁のデザインをカスタマイズしてみてください。

住宅性能も重視する

上述したように、梁見せ天井の注文住宅には性能面でデメリットに感じる部分もあります。デメリットの対策ができるよう、住宅性能を重視した家づくりを同時に考えることが大切です。

断熱性や気密性の高い住宅であれば防音効果が期待できる上、冷暖房効率も上がるため光熱費の節約にもつながります。環境に配慮した高性能住宅に対して補助金が出る場合があるので、国や自治体が実施する補助金制度を活用してお得に家づくりをしましょう。

これからマイホームを検討するに当たって、個性的かつおしゃれな家づくりをしたい方におすすめなのが、梁見せ天井を取り入れた注文住宅です。メリットやデメリット、対策方法を押さえた上で、自分や家族のイメージに合う注文住宅をつくりましょう。

タイセーハウジングは平成21年から注文住宅づくりをはじめ、地域密着の工務店としてお客様と綿密な打ち合わせを行い、これまでに1,000棟以上の住宅を引き渡してきた実績があります。今回紹介したような梁見せ天井の注文住宅も扱っているので、興味がある方はぜひ資料請求をご検討ください。