2025/5/31 公開
家を建てるなら、こだわりを実現できる注文住宅で希望のマイホームをつくりたいと考える方が多いのではないでしょうか。ただし、気になるのはその費用です。注文住宅にかかる費用は、土地の価格、建物の仕様、広さなど、さまざまな要素によって大きく変動します。予算内で後悔のない家づくりを実現するためには、事前にしっかりと情報を集め、賢く計画を進めることが大切です。
この記事では、5000万円の予算で土地込みの注文住宅を建てることは可能なのか、そしてどのような点に注意すべきなのかを詳しく解説します。希望のマイホーム実現に向けて、ぜひ参考にしてください。
まずは、予算5000万円で土地込み注文住宅を建てられるかどうかを検証しましょう。
住宅金融支援機構が公表した資料によると、土地付注文住宅の所要資金(土地取得費+建築費)の全国平均は約4,903万円でした。このうち、土地取得費の全国平均は約1,498万円です。
例えば、土地代を1,000万~1,500万円程度とした場合、建築費には3,500万~4,000万円程度を充てられる計算になります。ただし、土地建物ともに、購入時には登記費用や各種手数料などの諸費用がかかります。また建築費は、建物の建築費に付帯設備など必要な工事を加えた費用です。これらの費用を考慮しないと、予算オーバーする可能性が高いため注意しましょう。
※参考:住宅金融支援機構.「2023年度 フラット35利用者調査」(2024-07-26)
一般的な木造住宅を建てる場合、坪単価の目安は60万~80万円程度が相場です。仮に建築費に2,000万~4,000万円を充てるとすると、単純計算で約33~50坪の延床面積を確保できることになります。これは3~4LDK以上の間取りを実現できる広さであり、世帯人数が4人以上でも、比較的ゆったりと暮らせる空間といえるでしょう。
もちろん、土地の価格によって建築にかけられる費用は変動しますが、予算が5,000万円であれば、一定の広さと間取りを備えた注文住宅を十分に視野に入れられます。
前出の資料から、土地付注文住宅の住宅面積や敷地面積、建設費・土地取得費の平均を地域別にまとめました。
住宅面積 | 敷地面積 | 建築費 | 土地取得費 | 所要資金 | |
---|---|---|---|---|---|
全国 | 111.2㎡ | 208.1㎡ | 3,405.8万円 | 1,497.6万円 | 4,903.4万円 |
首都圏 | 108.8㎡ | 160.4㎡ | 3,402.3万円 | 2,277.3万円 | 5,679.6万円 |
近畿圏 | 113.5㎡ | 162.8㎡ | 3,414.5万円 | 1,850.8万円 | 5,265.3万円 |
東海圏 | 114.7㎡ | 220.3㎡ | 3,491.1万円 | 1,319.4万円 | 4,810.5万円 |
その他地域 | 110.8㎡ | 252.3㎡ | 3,384.0万円 | 915.3万円 | 4,299.3万円 |
上記はあくまで平均値ですが、基本的にはどのエリアでも、予算5,000万円で土地込み注文住宅を取得できると考えて良いでしょう。首都圏・近畿圏は5,000万円を超えていますが、立地条件や建物のつくり方によっては、5,000万円以内に抑えることは可能です。
以下は、全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】を利用した場合のシミュレーションです。
頭金あり | 頭金なし | |
---|---|---|
借入希望額 | 4,000万円 | 5,000万円 |
頭金 | 1,000万円 | 0円 |
返済期間 | 35年 | |
返済方法 | 元利均等 | |
ボーナス割合 | 0% | |
適用金利(2025年5月時点) | 1.82% | 1.93% |
毎月返済額 | 12.9万円 | 16.4万円 |
総返済額 | 5,412万円 | 6,882万円 |
返済額は、金利タイプや返済期間などによって変動します。ローン商品でも異なるため、シミュレーションサイトで確認してみましょう。
土地込み注文住宅の購入に住宅ローンを利用する場合、年収倍率を押さえておく必要があります。年収倍率とは、住宅の購入価格が年収の何倍に当たるかを示す数値で、一般的には年収の6~7倍程度が適当とされています。例えば、5,000万円の住宅を購入するとした場合、世帯年収800万~1,000万円程度が必要と考えられるでしょう。
ただし、余裕を持って返済を続けるには、返済負担率も意識しておかなくてはなりません。返済負担率とは、手取り年収に占める年間返済額の割合のことで、一般的に20~25%以内に抑えるのが良いとされています。年収倍率で計算された借入可能額が多くても、返済負担率が高過ぎると日々の生活を圧迫する可能性があります。
従って、金融機関の提示する借入可能額を鵜呑みにするのではなく、現在の家賃や生活費などを考慮し、将来のライフプランを見据えた上で、無理なく返済できる金額を慎重にシミュレーションすることが重要です。
ここからは、5000万円で希望の土地込み注文住宅を建てるコツを紹介します。
5000万円で土地込み注文住宅を建てるには、希望条件の優先順位を決めることが重要です。特に土地価格の高いエリアでは、建物に多くの予算をかけられません。家族で話し合い、譲れない点と妥協できる点を明確にしましょう。優先順位をつけることで賢い選択が可能になり、予算内で希望に近い家づくりを目指せます。
注文住宅には、間取りやデザインを自由に設計できるフルオーダーと、あらかじめ用意された基本プランから設備や内装を選ぶセミオーダーがあります。フルオーダーはこだわりを追求できる反面、費用が高くなりがちです。一方、セミオーダーはある程度規格化されたプランをベースに必要な設備などを選択していくため、選択肢を残しつつも予算内に抑えやすいのが特長です。土地と建物を合わせて5000万円の予算で希望の住まいを実現するためには、セミオーダー住宅を検討することも有効な手段といえるでしょう。
都心部や駅近など土地の価格が高いエリアでは、5000万円の予算内で十分な広さの土地を見つけるのは難しいかもしれません。そこで有効なのが、コンパクトな土地でも居住空間を確保しやすい3階建て住宅の選択です。建物の高さが出る分、建築費は高くなる傾向にありますが、土地代を抑えつつ建物に予算を配分でき、間取りの自由度も高まります。また、駐車場を確保したい場合には、1階部分にビルトインガレージを採用するのもおすすめです。
土地と建物を別々に検討すると、総予算5000万円の中での費用配分が難しくなりがちです。また、土地の形状や広さによっては、希望する間取りが実現できない可能性もあります。そのため、土地探しと建物のプランニングは同時進行で進めるのが効率的です。土地の特性を考慮しながら間取りを考えられるため、無駄がなく予算オーバーも防ぎやすくなります。土地探しからサポートしてくれる建築会社に相談してみると良いでしょう。
ここからは、土地探しの際に意識したい立地条件のポイントについて解説します。
正方形や長方形ではない不整形地は、土地の活用方法や間取りが限定的になりがちなため、整形地に比べて価格が抑えられる傾向にあります。都心部など土地代が高いエリアでも比較的価格を抑えて取得できるため、エリアにこだわりつつも予算5000万円で土地付き注文住宅を検討する際におすすめです。間取りの工夫は必要ですが、設計次第で希望を叶えた個性的な住まいが実現できるでしょう。
通勤・通学の利便性を考えて、駅から徒歩10分以内の土地探しを希望される方は少なくありません。しかし、距離にこだわり過ぎると土地の価格が高くなり、予算内で注文住宅を実現するのは難しくなるでしょう。徒歩15~20分圏内まで視野を広げると、予算内に収まるだけではなく、落ち着いた住環境の土地に出会える可能性が高まります。駅までの移動手段として、バスや自転車の利用も想定に入れた土地探しをおすすめします。
多くの場合、古家付きの土地は電気や水道などのインフラ設備が既に整っている状態です。また解体費用を見込んで相場より安く売り出されていることもあります。販売されている土地の第一印象だけで判断せず、周辺の環境や利便性といった立地条件をしっかりと見極めることが、予算内で希望の住まいを手に入れるための賢い選択肢となるでしょう。
建築条件付き土地とは、購入後一定期間内(一般的には3カ月以内)に指定の建築会社と建築請負契約を締結することを条件付けられた土地を指します。建築会社を選べないことはデメリットですが、相場よりも土地の価格が安く、間取りやデザインの自由度が高めです。トータルコストが分かりやすいことも、メリットといえるでしょう。
次に、費用を抑えつつ快適な住まいを実現するために、建物のプランで検討したいポイントを紹介します。
総二階とは、1階と2階の床面積がほぼ同じ形状の建物のことです。建物の形状が複雑になるほど壁や屋根の面積が増え、建築費用が高くなります。一方、シンプルな形状の総二階の家は、費用を抑えられる上に構造が安定しやすく、耐震性・気密性・断熱性も高まるメリットがあります。
明るく開放的な空間を実現したいなら、リビングや玄関を吹き抜けにすると良いでしょう。予算の制約から延床面積が限られてしまった場合でも、吹き抜けによって縦方向の空間が広がり、視覚的に開放感あふれる住まいになります。吹き抜けの上部に天窓や高窓を設ければ、自然光がたっぷりと降り注ぎ、より一層明るい空間を演出できるでしょう。
都心部や住宅が密集したエリアでは、採光や通風の確保、開放的な空間づくりが難しいことがあります。その場合、建物をL字型やコの字型、ロの字型にして中庭を設けるのがおすすめです。中庭を設けることで、周囲の建物に囲まれていても光を取り込みやすく、風の通り道をつくれます。さらに、植栽などで中庭をつくり込めば、自然を身近に感じられ、住まいの景観も豊かになるでしょう。
隣家との距離が近い住宅密集地では、1階の採光・通風を確保しにくいことがあります。その場合は、2階にリビングを配置するのが効果的です。2階は1階に比べて日当たりが良く、風通しも確保しやすいため、明るく開放的なリビングになります。また、道路や近隣からの視線も気になりにくいので、プライバシーを守りながら快適に過ごせる空間が実現できるでしょう。
予算5000万円で土地付き注文住宅を建てることは可能です。ただし、土地が比較的高額な首都圏で、予算を抑えつつ快適な住まいを実現するには、土地選びや建物のプランにさまざまな工夫が欠かせません。
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