2024/7/22 公開
注文住宅の間取りを考えるとき「効率的に家事ができる住まいにするには、どのような間取りがよい?」「狭くても開放的な空間にするには?」といった疑問が浮かぶ方も多いでしょう。開放的な空間かつ効率的に移動できる家を実現するには、回遊動線を取り入れた間取りがおすすめです。
本記事では、回遊動線によって快適な住まいを手に入れたい方に向けて、回遊動線のメリットやデメリット、対策方法に加えて、建築実例、取り入れるためのポイントなどを解説していきます。ご家族のライフスタイルに合わせて、効率的な回遊動線の間取りを考えるときの参考にしてください。
回遊動線のある間取りとは、家の中で行き止まりがなく、ぐるりと一周できる動線が確保された間取りのことです。近年、回遊動線を取り入れた間取りは人気があり、多くの注文住宅に採用されています。
回遊動線のある間取りの家は、キッチンやリビングなどの家事の起点となる部屋から、各部屋へのアクセスがスムーズです。1つの部屋に2〜3カ所の出入口が設置されているケースもあります。回遊動線は主に家事の効率を上げたい方に人気ですが、家の中の移動がスムーズになるため、毎日の生活にストレスを感じず、快適な暮らしが手に入るでしょう。
家の中の動線が非効率的だと、家族と過ごす上で日常生活にストレスを感じてしまう場面もあるでしょう。回遊動線のある間取りは、家事の効率を上げるだけでなく、開放的な空間が手に入ったり来客時のプライバシーが確保できたりするなど、さまざまなメリットが得られます。
回遊動線のある間取りのメリットについて、以下で解説していきます。
忙しい朝や夕方は、複数の家事を同時進行で進める方も多いでしょう。回遊動線のある間取りは、家事の起点となる部屋から行き止まりがなく、各部屋への移動がスムーズになり、家事効率がアップする点が大きなメリットです。
例えば、キッチンを起点にして脱衣所とベランダまでをつなぐ回遊動線を取り入れると、料理と洗濯を同時に進めやすくなります。また、移動距離が短くなることで家事の時短にもつながります。回遊動線を間取りに取り入れることによって、家事の負担を軽減できるでしょう。
回遊動線を取り入れると、各部屋へのアクセスをスムーズにするために壁が少ない間取りになることが多い傾向にあります。隣の部屋と視覚的に一体化し、広くて開放的な空間に感じられるでしょう。
また回遊動線は、廊下をなくして部屋と部屋をつなげた間取りが多いのも特徴です。廊下をなくした分、各部屋にスペースが確保できるため、空間の広さをより感じられます。また、リビングやダイニングの窓を大きくして自然光が入りやすくなると、相乗効果が得られてより開放的な空間になるでしょう。
家族が多いと出勤や通学前の朝の時間帯に、洗面所や玄関周りで混雑が起きてしまう場合があります。回遊動線が確保できると、家族間の渋滞が避けられる点もメリットです。
間取りによって洗面所や玄関に数カ所の出入口を設置すると、いくつかのルートが確保されるため、廊下で家族同士がぶつかりそうになる機会を減らすことが可能です。特に、準備で急いでいる朝の時間帯のストレスが軽減され、気持ちに余裕を持って出かけられるでしょう。
来客が多い家庭では、家族が利用する生活動線と来客動線を分けた回遊動線の間取りを取り入れると、来客時のプライバシーが守れます。
来客動線があると、家族の友人が来客したときでも、家の中で何度も顔を合わせる機会が減り、他の家族はリラックスして普段通りの時間を過ごせます。また、人に見られたくない生活感が出るキッチンやダイニングを避け、玄関からリビングへつながる動線を確保できると、急な来客にも対応しやすくなるでしょう。
回遊動線のある間取りには多くのメリットがある一方で、収納・生活スペースが圧迫されたり建築コストが高くなったりなどのデメリットがあります。
あらかじめ、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、間取りに回遊動線を取り入れるのがおすすめです。以下では、回遊動線のある間取りのデメリットとその対策について、詳しく解説していきます。
回遊動線のある間取りだと通路が増えるため、暮らしに欠かせない収納スペースや生活スペースを圧迫してしまう可能性がある点がデメリットです。
収納が足りず廊下や床などに物が散乱したり、自由に使える空間が狭くなったりすると家の中が窮屈になり、かえってストレスを感じてしまうでしょう。特に敷地面積が狭い場合は、間取りに工夫を凝らして回遊動線を取り入れる必要があります。
回遊動線を間取りに取り入れるときは、あらかじめ家族の荷物の量や種類をリスト化し、必要な収納・生活スペースを確保しておきましょう。将来的に家族が増える可能性も想定しながら間取りを考慮することが大切です。
収納スペースを確保するには、動線上にスペースを作ったり壁面収納を設置したりするのもよいでしょう。通路と収納の役割を兼ねた、ウォークスルークローゼットの設置もおすすめです。
回遊動線のある間取りにすると、出入口であるドアや通路が増えるため、通常の間取りに比べて建築コストがやや高くなりがちです。延床面積が増えれば、その分コストも上がっていきます。
開放的で壁が少ない回遊動線にすることで建物の構造上の不安が問われると、耐震性能の高い構造にするための建築コストの増加も考えられます。
理想の回遊動線がある間取りを追求し過ぎると、予算オーバーの可能性が高くなるため注意しましょう。家族のライフスタイルを具体的にイメージし、妥協ポイントを見つけながら希望する間取りに優先順位を付けることが大切です。
玄関周りあるいはキッチン周りのみ回遊動線を取り入れるなど、必要最小限の回遊動線がある間取りにするとよいでしょう。
回遊動線のある間取りは、各部屋を行き来するための通路とドアが増える分、壁が少ない構造になります。壁量は耐震性に影響するため、建物の構造が弱くなる可能性があります。
地震大国である日本では、家づくりにおける耐震性を重要視する方がほとんどです。法令で定められた耐震基準をクリアしていたとしても、より高い耐震等級を求める場合、理想の回遊動線の間取りが難しいケースもあるでしょう。
回遊動線の間取りを取り入れるときは、利便性の高い動線と建物の耐震性の高さ、どちらに重点を置くのか慎重に検討してみてください。耐震性とのバランスを考慮し、回遊動線をむやみに取り入れるのではなく、必要な箇所に絞って取り入れるのがおすすめです。また、十分な壁量をバランスよく配置することが大切です。
通路が増えて壁が減るため、家具の置き場が制限されやすくなる点もデメリットの一つです。例えば、洗面脱衣所に回遊動線を確保するための出入口を2カ所設置すると、その分壁が減ってしまい、収納家具の置き場が少なくなります。
また、家具の配置が自由にできないと、模様替えがしにくいと感じることもあるでしょう。
回遊動線がある間取りを決めるときは、既存の家具や購入予定の家具のサイズを測り、配置を決めておくとよいでしょう。想定していた場所に配置できなかったり、適切な場所に配置できず使いづらくなったりする事態を防げます。
適切な家具の配置を判断するのが難しい場合は、設計士やインテリアコーディネーターに相談するのがおすすめです。
回遊動線の間取りのために出入口を多く設置したとしても、家族に全く使われない出入口が出てくる可能性があります。使われていない出入口部分の代わりに、収納スペースがつくれたのではないかと後悔してしまうかもしれません。
使われない出入口をつくってしまわないためにも、家事に必要な動きをイメージして無駄のない移動ルートを考えましょう。
また、家族のライフスタイルを考慮することも大切です。家族一人ひとりの毎日の行動パターンを把握し、家族全員が住みやすい回遊動線を取り入れ、無駄を省いた最適な住まいを実現させましょう。
回遊動線のある間取りは、それぞれのライフスタイルに合わせて取り入れられています。将来の住まいをよりイメージしやすくするためにも、実際に回遊動線のある間取りを取り入れた家の建築実例3つを紹介していきます。
1階を店舗、2階を居住空間にした住まいです。1階にある玄関口は、来客用と家族用の2カ所に配置し、仕事とプライベートの空間を分けました。2階のキッチンを中心に、ぐるりとフロア全体を一周できる回遊動線を取り入れた間取りです。
水回りがまとまっている上に、LDKにスタディスペースが設置されているため、家族の気配を感じながら仕事と家事を効率的に行えます。各収納部屋から隣の部屋へとつながっているのも特徴です。キッチンと洗面所からストックルームへ出入りできるため、食料品や洗面用品をスムーズに補充できます。回遊動線で無駄を省き、仕事と家事の両立を実現できた間取りです。
こちらから、さらに詳しい間取りをご覧になれます。
家族の収納スペースが十分に確保された住まいです。玄関からキッチン周りの回遊動線を確保しました。キッチンからリビングやバルコニーの様子が見渡せるため、家事をしながらでも家族の様子がうかがえます。
シューズインクローゼットは玄関から土足のまま入り、ベビーカーや上着を置いてから室内へ入れます。また、玄関からすぐの場所にキッチンがあり、その奥にパントリーがあるため、買い物帰りの荷物をスムーズに片付けることが可能です。2階の行き来できる2つのウォークインクローゼットは、ファミリークローゼットとしても利用できます。家族に必要な収納スペースと回遊動線が確保できている間取りといえるでしょう。
こちらから、さらに詳しい間取りをご覧になれます。
子育てに適した間取りの住まいです。扉をできるだけなくし、リビングに大きな窓を設置して明るく開放的な空間を実現しました。部屋全体をぐるりと回れる回遊動線を確保した間取りで、デットスペースを生かした書斎も魅力です。
キッチンからは、スタディカウンターとリビングを見渡せる設計になっているため、家事をしながらでも常に子どもの様子が見られます。子どもが遊んだり家族でバーベキューができたりする、おしゃれなルーフバルコニーが付いているのも特徴的です。家族で楽しい時間を過ごせる、開放的かつ家事効率が上がる回遊動線も確保したこだわりの詰まった間取りです。
お客さまインタビューでさらに詳しく間取りの魅力をご覧になれます。
回遊動線のある間取りは、家の中で効率的な動きができるという声が多い一方で、後悔したというケースも少なくありません。 あらかじめ対策を練り、ポイントを押さえて間取りを決めることで快適な暮らしを実現できます。以下では、回遊動線のある間取りを効果的に取り入れるポイントについて解説していきます。
回遊動線のある間取りを理想とするあまり、つい回遊動線を設けることを優先にしてしまいがちです。コンパクトな住宅だと、十分な生活・収納スペースを確保できず、かえって窮屈で暮らしにくい間取りになりかねません。
廊下や床に荷物が置かれてしまうと、家の中が狭く感じるだけでなく、家事効率を下げる原因にもなります。回遊動線を取り入れなくても、間取りを工夫するだけで生活動線が改善できる場合もあるため、まずは生活・収納スペースを確保した間取りを考えることがポイントです。
回遊動線のある間取りをむやみに取り入れても、利便性が向上するとは限りません。家族の利用頻度が低い回遊動線だと、使われない出入口が出てくるなど、意味のない間取りとなってしまいます。
まずは家族全員の行動パターンを把握し、シミュレーションを行いながら間取りを考えていくのがポイントです。必要に応じて回遊動線を取り入れると、無駄のない間取りに仕上がります。
回遊動線のある間取りで効率的に家事を行うためにも、移動距離を短くまとめるようにしましょう。移動距離が長いとその分時間がかかり、家事の手間に加えて身体の負担も大きくなります。
家事を同時進行で行えるように、キッチンや洗面脱衣所などの水回りは近くにまとめて配置するのがおすすめです。また、玄関からパントリーまでのルートを短くなるように配置することで、買い物の荷物運びがスムーズになります。無駄を省いた動線の確保は、ストレスを軽減して快適な暮らしを実現できるでしょう。
住まいに収納スペースは必要です。無駄のない回遊動線のある間取りをつくるには、家事動線に合わせて収納スペースを配置することが大切です。
キッチンの近くにはパントリー、洗面脱衣所の近くにはファミリークローゼットなど、使う場所と片付ける場所を近くに配置すると、動線をコンパクトにまとめられます。また、シューズインクローゼットやウォークインクローゼットなどのように、収納内を歩いて通れるようにしたり、収納から収納をそのまま行き来できるように部屋をつなげると、家事効率が上がります。
回遊動線のある間取りは、複雑かつ設計の難易度が高いのが特徴です。暮らしやすい間取りを手に入れるには、回遊動線の建築実例が豊富な建築会社に依頼しましょう。
実績がある建築会社だと、重視したい点や疑問点などをヒアリングした上で、しっかりとサポートしてくれます。また、ライフスタイルを考慮しながら、複数の間取りを提案してくれるでしょう。まずは、気になる建築会社の建築実例をチェックしてみるのがおすすめです。
回遊動線のある間取りは暮らしをより快適にしてくれますが、難易度の高い間取りです。家族の暮らしに合った回遊動線の間取りを取り入れるには、実績が豊富な建築会社へ相談・依頼しましょう。
タイセーハウジングは神奈川県厚木市・東京都世田谷区を拠点として、注文住宅をはじめ、リフォーム・リノベーションを行っている地域密着型の建築会社です。創業以来、1,000棟以上の建築実績を誇ります。
東京都・神奈川県で回遊動線のある間取りの注文住宅を検討中の方は、ぜひタイセーハウジングにお気軽にご相談ください。以下のフォームから、タイセーハウジングの特徴や建築実例が分かる資料をお取り寄せできます。