2025/4/4 公開
スタイリッシュなデザインで、モダンな住宅との相性がいい片流れ屋根。上手に取り入れればおしゃれな外観を実現できるものの、デメリットが気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、注文住宅で片流れ屋根を採用した場合に考えられるデメリットとともに、デメリットの解消に有効な対策法を解説します。デメリットが気になり片流れ屋根の採用に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
片流れ屋根は、一つの方向に向かって勾配がついている屋根形状です。住宅でよく用いられる切妻屋根や寄棟屋根などに比べ、シンプルな構造になっています。スタイリッシュな外観を演出できることから、注文住宅で多く採用される片流れ屋根ですが、採用するに当たっては次のようなデメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
片流れ屋根は、他の屋根形状に比べて雨漏りのリスクが高いといわれています。頂上の棟部に落ちた雨水の一部が、屋根ではなく外壁へと伝ってしまい、屋根と外壁の間に雨水が侵入して雨漏りを引き起こすケースがあるためです。また一方向に雨水が集中して流れ落ちるので、屋根の端部や雨どいに大きな負担がかかることも雨漏りの原因となるでしょう。
デザイン上、軒を設けない住宅が多く見られますが、軒なしだと雨水が外壁へ直接伝うため、一層雨漏りを誘発しやすくなる点に注意が必要です。
片流れ屋根は、風の影響を受けやすいというデメリットもあります。傾斜面が一面しかない片流れ屋根は、複数面ある屋根形状に比べて一方向から風を受ける面積が大きいからです。
さらに、受ける風圧が大きくなる棟部において、外壁が外に向かって開いた形状になっているのも懸念の一つです。外壁に吹き付ける雨風を屋根で守れないので、隙間から雨風が吹き込んで、雨漏りを引き起こしやすくなります。
加えて、軒が長いと棟部の外壁に吹き込んだ風が回り込み、屋根がめくれ上がるなど、強風による被害が発生する可能性もあるでしょう。
片流れ屋根は雨風や紫外線の影響を受けやすく、劣化が早く進みがちです。片流れ屋根では雨どいが傾斜の下側1カ所のみに設置されるケースが多く、どうしても雨どいの負担が大きくなります。大量の雨水が一気に流れ込むと、あふれた雨が外壁を伝ったり、雨どいそのものが破損したりする恐れがあります。また大量の雨水が流れ落ちるため、屋根の劣化も早めるでしょう。
軒先のない壁面は特に雨風や紫外線の影響を受けやすく、他の壁面に比べて劣化しやすい点に注意が必要です。
一般的に、屋根では軒先から棟に設けられた換気口へと向かう自然の空気の流れを活用して換気を行います。
しかし、片流れ屋根の場合は軒先から換気口までの距離が遠いために、風が流れにくくなります。おまけに、勾配が緩やかなほど上下での温度差が小さくなるため、換気効率は一層低下するでしょう。
屋根裏の換気が十分に行えないと、結露やカビが発生しやすくなり、屋根の劣化や建物の強度にも影響します。
片流れ屋根を採用するに当たっては、傾斜の向きにも配慮が必要です。特に、用途地域による斜線制限などによって屋根の傾斜を北向きにしなければならないケースでは、片流れ屋根のメリットを十分に享受できないことがあります。
北向きだと傾斜面に日照を受けられず、太陽光パネルを設置しても発電効率が下がってしまいます。さらに、日照不足で結露リスクが高まった結果、劣化が進行する可能性もあるでしょう。
上記で紹介した片流れ屋根のデメリットですが、以下のような方法を取り入れることで対策が可能です。
それぞれ詳しく解説していきます。
片流れ屋根は、換気がしにくく屋根裏に湿気がこもりやすいため、適切な対策を行い通気性を良くする必要があります。屋根裏の換気効率をアップするには、次のような方法が効果的です。
屋根裏に湿気がこもると結露やカビが発生して、家の劣化を早める要因になります。上記の対策により換気性を確保できれば、劣化や雨漏りを防いで室内の快適性を長く保てるでしょう。
雨漏りを防ぐには、ケラバ部分(屋根の左右の端部にある、外壁から屋根が突き出た部分)に水切り板金と呼ばれる雨水の侵入を防ぐ金物を設置するのが効果的です。
ケラバには雨どいが設置されず、屋根から流れ落ちた雨水が外壁に垂れて雨漏りが発生しやすいという特徴がありますが、水切りを設置することで雨水の吹き込みを防止できます。
なお、水切り板金にホコリや汚れが蓄積すると雨水がオーバーフローする恐れがあるため、シール材付きケラバ水切りを採用すると良いでしょう。
片流れ屋根の勾配は、家のデザインだけではなく機能性にも大きく影響します。勾配が与える影響を理解した上で、機能面にも考慮して決定しましょう。
例えばスタイリッシュなキューブ型住宅にしたい場合、勾配の緩やかな屋根が前提となります。しかし、屋根に角度がなさ過ぎると水はけが悪くなり、雨漏りが発生しかねません。一方で、屋根の勾配を付け過ぎると建物に高さが生まれる分だけ外壁面積が増え、建築費用が高くなってしまいます。
機能とコストのバランスを検討し、屋根の勾配を付けましょう。屋根裏を部屋として活用するなどスペースを広く確保したい場合には、施工会社に相談しながら勾配を決定するのがおすすめです。
透湿ルーフィングは、屋根材の下に敷く防水シート(下葺き材)の一種です。雨水を防ぎつつ湿気を含む空気を通す性質があり、透湿ルーフィングで頂上部を覆ってしまうことで、物理的に雨漏りのリスクを軽減できます。透湿ルーフィングは強度があって破れにくい上に柔らかく作られているので、頂上部を覆うのにも適しています。
頂上部は特に雨漏りが発生しやすい箇所のため、透湿ルーフィングで覆う効果は大きいといえるでしょう。
片流れ屋根は他の屋根形状と比べて雨漏りしやすい傾向にあるため、雨漏り対策を入念に講じる必要があります。しかし、大雨や積雪によって雨どいが壊れてしまい、十分な効果が得られなくなる事態も考えられます。
雨どいが壊れたまま放置していると、雨水の侵入によって屋根や外壁が劣化する恐れがあり、結果的に家そのものの劣化を引き起こしかねません。放置する期間が長引けば長引くほど、劣化が進んで他の重大な危険を引き起こす恐れも高まります。
片流れ屋根を採用する際は意識的に点検やメンテナンスを行い、異常を早期発見できるように努めましょう。異常を見つけたら、なるべく早めに修繕することが大切です。
片流れ屋根の家では、傾斜の下側に当たる面以外の外壁が雨風や紫外線の影響を受けやすく、通常の家に比べて早く劣化する可能性があります。そのため、耐久性や耐候性に優れるとともに、表面の汚れが落ちやすい外壁材を選ぶのがおすすめです。
また軒を長めに設けるのも効果的です。外壁に当たる雨風や日差しを軽減できるので、外壁の劣化スピードを遅らせることができます。
定期的な点検やメンテナンスには費用がかかるケースもあります。片流れ屋根を採用する場合はアフターサービスとして無料で点検してくれるかどうかや、長期的に対応してくれるかどうかを考慮した上で施工会社を選びましょう。
先述の通り、雨漏りのリスクや屋根・外壁の劣化を防ぐには、小まめな点検とメンテナンスが欠かせません。定期的に点検を行うことで、仮に劣化が見られたとしても早期に修繕でき、問題が深刻化するのを防げます。
片流れ屋根を採用すると、上で紹介したようなさまざまなデメリットが考えられます。しかし適切な対策を講じれば、懸念点を解消しつつ上手にメリットだけを享受することも可能です。以下では、片流れ屋根の採用によって得られるメリットを紹介します。
片流れ屋根は、デザイン性の高さが大きな魅力です。片流れ屋根を採用した家は、シンプルでスタイリッシュな外観に仕上がります。
勾配のつけ方によって表情が変化するのも特徴で、見る角度によってさまざまな表情を見せてくれるでしょう。シンプルな形なので、幅広いテイストに合わせやすいのも人気の理由の一つです。
例えば、キューブ型住宅を建てる際に片流れ屋根を採用すれば、シンプルながら個性の光るおしゃれな外観を実現できます。キューブ型注文住宅の魅力は以下の記事を参考にしてください。
片流れ屋根は、勾配をつけて屋根と天井板の間にスペースを設けられます。勾配の角度によってスペースの大きさを調整できるので、自由度が高く屋根裏を活用できるでしょう。
屋根裏スペースは、貴重な収納スペースとして使用できる他、子どもの遊び場や趣味のための空間など、多用途に活用できて便利です。天井の高い部分はロフトとして、収納やフリースペースなどとしても活用できます。
屋根はシンプルで面積が小さいほど、建築コストを抑えられます。特に、片流れ屋根は構造がシンプルな上、雨どいなども一方向のみの取り付けで済むのが特徴です。そのため、複数の方向に傾斜面がある屋根形状と比べて、建築コストが低くなります。
片流れ屋根は、シンプルさゆえにメンテナンス性が高いのもポイントです。将来リフォームが必要になったときも、屋根工事にかかる費用を節約できるでしょう。
片流れ屋根は一面のみで広い傾斜面を確保でき、太陽光パネルを効率的に設置できるメリットもあります。南向きに設置できれば日照時間を長く確保できるため、高効率な太陽光発電が可能です。
一方、傾斜面が北向きだと日照が十分に確保できず、発電効率が下がってしまいます。太陽光パネルを導入する場合には、屋根の向きや周辺建物による日当たりへの影響などを事前にチェックしておくことが大切です。
シンプルでスタイリッシュな見た目が魅力の片流れ屋根ですが、他にも人気の屋根形状があります。形状によって異なるメリット・デメリットがあるため、それぞれを比較して屋根を選びましょう。
なお、屋根選びでは形状だけではなく、屋根材の種類も大切なポイントです。屋根材の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
切妻(きりづま)屋根は、本を伏せたような三角形が特徴的な屋根です。片流れ屋根と並んでシンプルな屋根形状であり、比較的リーズナブルに施工できます。屋根に降った雨水は、棟部を境に左右へ分かれて流れ落ちるので、雨漏りが発生しにくいというメリットがあります。
その反面、棟と垂直方向の端部(妻面・ケラバ)側の外壁は雨風や日光が当たりやすく、劣化が進行しやすい点に注意が必要です。
寄棟(よせむね)屋根は、棟から四方へ向かって4つの傾斜面が設けられている屋根です。四方に屋根が延びているため外壁が劣化しにくく、風の力を分散できるので強風被害が出にくい傾向にあります。
一方で寄棟屋根は、片流れ屋根や切妻屋根よりも構造が複雑なので、建築コストが高くなりがちです。屋根裏のスペースを取りにくく、棟部からの雨漏りのリスクがある点にも注意しましょう。
降り注いだ雨水が一方向に集中して流れ落ちる片流れ屋根は、耐久性や耐候性、機能性に優れた屋根材を採用することが大切です。そこでおすすめなのが、高い耐久性と機能性を誇る屋根材のコロニアルグロッサです。
コロニアルグロッサは、表面に耐久性の高い無機塗装が施されているため、雨風や紫外線に長年さらされても色あせしにくく、新築時のきれいな状態を長い間維持できます。
カラーは黒をはじめ、濃い目のグレーやブルーなどバリエーションが豊富です。黒やブルーに近い色はさまざまな外壁と合わせやすく、シックでおしゃれなデザインをかなえられます。
また赤外線を反射するので、屋根裏の温度上昇を抑制できます。夏場に屋根から吸収された熱で室内が暑くなるのを防ぎ、冷房効率の向上と電気代の節約にも効果的です。
さらに、一般的な陶器平板瓦の約2分の1の軽さにより、高い耐震性を実現できるのも大きなメリットといえるでしょう。片流れ屋根のデメリットを克服し、デザイン性・機能性・耐震性に優れた住まいを建てたいなら、コロニアルグロッサを屋根に採用してみてはいかがでしょうか。
片流れ屋根には、雨漏りしやすいなどのデメリットがいくつかありますが、適切な対策を講じることでデメリットを解消できます。片流れ屋根のメリットだけを享受できる、スタイリッシュでおしゃれな住まいを実現できるでしょう。片流れ屋根のデメリットに適切に対応するには、高い技術力と豊富な施工実績を有する施工会社に依頼することが大切です。
厚木・世田谷を中心に1,000棟以上の住宅を手掛けてきたタイセーハウジングは、土地探しから設計・施工、アフターメンテナンスに至るまで、家作りの全てをワンストップで提供しています。各工程のプロが連携して、片流れ屋根のよさを引き出した家作りが実現可能です。構造躯体保証・防水保証は初期保証20年に加え、条件を満たせば最長60年の長期保証を受けることもできます。
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