土地10坪の狭小住宅の間取り決め!
後悔しない方法を伝授

2024/7/25 公開

土地10坪の狭小住宅の間取り決め!後悔しない方法を伝授

住宅価格が上昇傾向にある昨今、土地代を抑えられる10坪程度の土地の狭小住宅が人気です。これからマイホームを建てるに当たって「少しでも土地代を抑えたい」「都市部の好立地に戸建てがほしい」などの理由で、狭小住宅を検討している方も多いのではないでしょうか。一方、狭小住宅はスペースが限られるため、制約も多く間取りを工夫しないと暮らしづらい住まいになってしまいます。

この記事では、土地10坪程度の狭小住宅を建てたいと考えている方へ向け、狭小住宅の間取りのメリット・デメリットや、後悔しやすいポイントを解説します。取り入れたい間取りのアイデアや実例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「狭小住宅」という言葉に明確な定義はありませんが、一般的に10〜15坪程度のコンパクトな土地に建てられる住宅のことを指します。狭小住宅は、広い土地を確保しづらい都心部を中心に多く見られます。

10坪とは33.06平方メートル、約20畳の広さですが、建てられる建物の広さ(延床面積)は、建築する区域の用途地域ごとに定められた建ぺい率、容積率、高さ制限などの内容次第で変わります。エリアによって建物規模は変わるものの、2〜3階建てになるケースが多いでしょう。

土地10坪の狭小住宅に向いているのは、単身や夫婦のみの世帯、3〜4人家族で暮らすケースです。ただし、3階建てだと上下の移動が負担になるため、高齢者や小さな子どもにとっては負担になることもあります。

10坪の土地にマイホームを建てるメリットとは、どのような点にあるのでしょうか。以下では4つのメリットを紹介します。

土地の購入費や税金を抑えられる

土地の価格は「1坪当たりの土地価格(坪単価)×坪数」で計算するため、周辺エリアと同じ坪単価であれば、土地の面積が狭い方が購入費を抑えられます。土地の購入費を抑えられれば、その分の予算を建物の建築に充てることが可能です。

また、土地や建物の所有者が毎年納める固定資産税・都市計画税も不動産の評価額によって決まるので、狭小住宅の方が維持費としてかかる税金を抑えられます。

利便性の高いエリアに建てられる

狭小住宅向きの土地は、広い土地を確保しづらい駅近や交通アクセスの良い好立地に多く、狭小住宅を選択することで利便性の高いエリアに住める可能性が高まります。毎日の通勤・通学のストレスを軽減できる他、買い物や通院などにも便利でしょう。

ただし、利便性の高いエリアは騒音や治安の問題が発生しやすく、住環境として適しているかどうかは十分チェックする必要があります。

掃除や家事の手間が少なくなる

地域によって建てられる面積は変わるものの、基本的に建物はコンパクトになります。家事をする範囲や室内での移動距離も狭まり、広い家に比べて掃除がしやすくなるでしょう。効率の良い家事動線を意識して設計すれば、掃除も効率的にできます。加えて、メンテナンス箇所が少なくなるため、維持費も安く済むでしょう。

無駄を省いたシンプルな暮らしができる

建物がコンパクトで無駄なスペースが少なくなるため、必要最小限の荷物やスペースでの生活が求められます。あらかじめ確保した収納スペースにしまえる分の荷物に限られるため、物の量が少なくなり、整理整頓をしやすくなるでしょう。将来、高齢になったときも生活空間をまとめやすく、長い間快適に暮らせる家づくりが可能です。

狭小住宅10坪の間取りで後悔しやすいポイント

狭小住宅には上で紹介したようなメリットがある一方、住んでみてから後悔するケースもあります。以下では後悔しやすいポイントを紹介するので、家づくりの参考にしてください。

空調効率が悪い

狭さを感じやすい狭小住宅では、開放感のある間取りにして視覚的に広く感じられるよう工夫するケースが多く見られます。しかし、開放感を演出するために縦方向へ空間を伸ばすと、空調効率が悪くなる可能性があります。夏と冬を中心に、空調にかかる光熱費がかかりやすくなる点には注意が必要です。

隣家との距離が近く生活音が気になる

土地10坪の狭小住宅は、土地の境界ギリギリのところまで建物が建つため、どうしても隣家との距離が近くなりがちです。お互いに物音や声が伝わりやすく、それぞれのプライバシーを確保するのが難しくなるケースも考えられます。窓の位置によっては、隣家や外部からの視線が気になり開けづらくなることもあるので、窓の配置や大きさに工夫が必要です。

生活動線が悪い

前述の通り、10坪の限られた土地では2〜3階建ての住宅になる場合が多く、日常的に階段を上り下りする必要があります。そのため、生活動線が良いとはいえません。間取りを工夫しなければ家事の負担が増えたり、高齢になったときに身体の負担になったりする恐れがあります。

収納が足りない

土地10坪の狭小住宅はスペースが限られており、必要な居住スペースを確保するだけで床面積の多くを占めてしまいます。その結果、十分な収納スペースを確保できなくなるかもしれません。

収納が足りないと、室内が雑然としてしまい、余計に狭さを感じてしまう可能性があります。設計時には居住スペースを確保しつつ、効率的な収納を実現する工夫が求められます。

採光・通風の確保が難しい

狭小住宅は住宅密集地に建てられるケースも多く、隣家との距離が近いと日当たりや風通しが悪くなりがちです。採光性や通風性を高める工夫をしなければ、換気が十分にできなかったり日中でも室内が暗かったりと、ストレスのかかる住まいになりかねません。また、空調機器や照明の利用が多くなり、光熱費アップの要因にもなるでしょう。

売却しづらい

狭小住宅は土地面積が狭いため、標準的な住宅に比べて資産価値は低めです。通常の戸建てと比べてニーズも限られるので、売却がなかなかスムーズにいかない可能性もあります。また、購入検討者が見つかった場合でも、金融機関によっては狭小住宅の担保価値が低く評価され、住宅ローンが組めず購入できないといった事態が考えられます。売却できない事態も想定し、あらかじめ賃貸としての貸し出しも視野に入れておくと安心です。

上記のデメリットでも紹介したように、10坪の土地に住宅を建てるには、さまざまな間取りの工夫が必要です。以下では、おすすめの間取りのアイデアを4つ紹介します。

吹き抜け

窮屈さを感じやすい狭小住宅ですが、間取りを工夫して開放感を演出すると、視界が広がり狭さを感じにくくなります。開放感を出すのにおすすめなのが、上階の床をなくして上部の空間を広げる吹き抜けです。吹き抜けの上部に天窓や高窓を設けると、住宅密集地の狭小住宅でも採光や風通しを確保しやすくなるでしょう。

スキップフロア

スキップフロアとは、段差をつけることで中間階に当たるフロアを設ける間取りのことをいいます。スキップフロアを取り入れると縦の空間を有効活用できるので、狭小住宅でも空間のメリハリや広がりを演出できます。

また、段差があることによって、壁やドアなどの仕切りがなくても独立した部屋として機能させることが可能です。廊下や仕切りのスペースを節約しながら、子ども部屋や趣味部屋、収納などさまざまな用途に使えるのも魅力です。

ルーフバルコニー・スカイバルコニー

都心部にある10坪程度の狭小地に建つ住宅でも、ルーフバルコニーやスカイバルコニーと呼ばれる屋上を設ければ、採光や風通しを確保できます。スペースの限られる狭小住宅では十分な広さの庭をつくるのは難しく、中庭を設けるのも現実的ではありません。ルーフバルコニーであれば居住スペースを圧迫せずに済む上、周囲の視線を気にせず過ごせるプライベートな屋外空間を実現できます。

ビルトインガレージ

10坪の土地に家を建てるとなると、広い駐車場を確保するのは難しいでしょう。しかし、周辺で月極駐車場を借りようとすれば、大きな支出となってしまいます。

そこでおすすめなのがビルトインガレージです。建物の1階部分に設置するビルトインガレージは、一定規模であれば容積対象となる延床面積に含まれない上、残りの土地を有効活用できます。また、雨の日でも濡れずに車と玄関を行き来できる他、アウトドア用品の収納スペースや趣味の空間など、幅広く活用できるのもメリットです。

以下では、タイセーハウジングが手がけた住宅の中から、10坪程度の土地に狭小住宅を建てた間取り実例を2つ紹介します。狭小住宅の間取りを検討する際の参考にしてください。

スカイバルコニーのある開放感が魅力の土地10坪の間取り

まずは約10坪の土地に建てられた3階建ての住宅です。住宅密集地にありながら、屋上のスカイバルコニーでは四方を望めます。白を基調とした内装で空間の広がりを感じる室内は、随所にアクセントクロスを取り入れて明るさやこだわりを感じさせます。

周囲の視線が気にならないよう窓の大きさと位置に配慮しつつ、階段部分の窓を大きくして明るく開放感のある室内を実現しました。

詳しい間取りや写真は以下でご覧いただけます。

狭小地でも生活空間を十分に満たした間取り

次に、間口が1間(約3.6m)と狭い住宅の実例です。階段スペースを節約するために玄関の一部に段差を設け、階段の一部として兼用させています。階段を上った先の2階リビングは勾配天井にし、上部に高窓を設置して採光を確保しています。バルコニーはシースルー仕様により、狭くても開放感のあるつくりを実現しました。

他にも照明を工夫したり、廊下部分を極力減らしたりすることで、狭小地ながら希望の広さを確保しています。

詳しい間取りや写真は以下でご覧いただけます。

狭小住宅10坪の土地で間取りをつくるときの注意点

10坪の土地に狭小住宅を建てる際は、以下の4つの注意点に配慮すると快適な住まいを実現しやすくなります。

デッドスペースを有効活用する

狭小住宅で後悔しやすいポイントの一つとして、収納不足が挙げられます。生活スペースを確保しつつ収納を十分に設けるには、階段下や壁面、床下、ロフトなど、デッドスペースの活用を意識しましょう。スペースの限られている狭小住宅では、いかに無駄なスペースを減らすかが間取りづくりのキーポイントです。

空間の仕切りをなくす

ドアや壁で細かく部屋を仕切ってしまうと、視界が遮られて窮屈さや圧迫感が出てしまいます。できるだけ仕切りの少ない間取りにすると、視界が広がり狭小住宅でも開放感を演出できるでしょう。

寝室や個室は適度にプライベート感を持たせつつ、リビング周りは開放感を持たせるなど、空間ごとにメリハリをつけることも大切です。

家事動線・生活動線を意識する

3階建てになることも多い狭小住宅は、動線が複雑になりやすいことが課題の一つです。暮らしやすさをアップするには、水回りを一箇所にまとめて家事をしやすくしたり、掃除が最低限で済むような部屋の配置にしたりといった、家事動線・生活動線を意識した設計を心がけましょう。実際の生活を具体的にイメージしながら設計すれば、暮らし始めてからの後悔を防げます。

廊下を減らす

居住スペースとして使えない廊下は、デッドスペースといっても過言ではありません。狭小住宅では廊下をできるだけ減らし、居住スペースの広さを確保することも大切です。動線上に無駄な廊下がないか、設計段階で確認しましょう。ただし、階段付近など安全上必要な廊下までなくしてしまわないよう、注意が必要です。

10坪の土地に建てる狭小住宅は、土地の購入費や税金を抑えられる他、家事の手間を省けるなど生活上のメリットも多くあります。一方で、収納不足や日当たり・風通しの悪さなど、住み始めてから後悔しやすいポイントがあるのも事実です。住み良い狭小住宅にするには間取りの工夫が欠かせません。

タイセーハウジングは厚木・世田谷を拠点に、神奈川県や東京都内に密着した家づくりを行っています。お客さま一人ひとりと綿密にやりとりしながら、個々のライフスタイルやライフステージに適した注文住宅を実現しています。家族にとって満足度の高い狭小住宅をつくる際は、ぜひタイセーハウジングまでご相談ください。

まずはカタログや施工事例集で、タイセーハウジングの家づくりをチェックしてみてください。