この住宅には大学生と高校生の兄弟と共働きの両親、そして祖母の5人がそれぞれ別々の時間軸をもって生活をしています。
ここでは、それぞれの個室として「区切る」空間と、食堂・居間や水回りの共有、吹抜けやアプローチの、視線や音が交差する「交わる」空間を間取りに両立させることで、家族が「すれ違い」をしない家をつくりたいと考えました。
おばあちゃんの部屋の前を通って家族が出掛けていく風景や、洗濯を干しているお母さんと身支度をする息子たちの間で交わされる会話など、家族それぞれの生活動線を少しづつオーバーラップさせることで、干渉しない程度に気配を感じる、丁度良い距離感をもたらしてくれます。
また、インテリア関係の仕事をされているご主人のもと、それぞれの居室は特徴的なカーテンや壁紙で個性的に、共有スペースはシックなカーテンやブラインドで落ち着いた雰囲気にコーディネートされ、コンセプトとデザインが一貫することで生み出された、温かい住宅になっています。