中庭のある家のメリットとデメリット!
建てる際に注意したいポイントも解説

2024/8/5 公開

中庭のある家のメリットとデメリット!建てる際に注意したいポイントも解説

中庭のある家は、他の住宅にはないデザイン性や機能性から、多くの人に人気があります。明るくて開放的な住まいが手に入ることが魅力の中庭ですが、一方で、中庭をつくることによって生じるデメリットも知っておくことが重要です。

本記事では中庭のある家を建てようと考えている方のために、中庭のある家の代表的な間取りや、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

土地探しや間取りを決める際のポイント、実際に建てた方の実例もご紹介しますので、中庭のある家を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

中庭とは、建物や壁に囲まれた庭のことを指します。「パティオ」とも呼ばれ、外からは見えず、家の中から出入りできるのが特徴です。

中庭には主に「コの字型」「ロの字型」「L字型」「町屋型」の4つの種類があります。

中庭の形 構造 特徴
コの字型 中庭の三方が壁で囲まれ、一面はオープンになっており外に面している。 自然光や風がよく通り、近隣の視線を遮りながら開放的な空間を楽しめる。
ロの字型 四方を壁で囲まれている。 完全にプライベートな中庭をつくれる。家のどこにいても中庭からの光を受けられる。
L字型 二方向のみ壁に囲まれている。 程よい開放感を楽しめ、変形地や狭小地でも設計しやすい。
町屋型 細長いつくりで、玄関から奥に進んだところに中庭をつくる。 プライバシーを守りながら採光を確保し、風通しが良く明るい生活空間をつくれる。

以下では、それぞれの中庭の特徴を詳しく解説します。

コの字型

コの字型の家は、カタカナの「コ」の字のように中庭を三方から囲む形で、一面はオープンになって外に面している構造をしています。

自然光や風がよく通ることで室内を明るく保ちつつ、近隣の視線も遮ってくれる点が大きなメリットです。そのため、プライバシーを守りながらも、開放的な空間を楽しみたい方にぴったりではないでしょうか。

また、家の中と外の両方から中庭に入れるため、ガーデニングや家庭菜園を充実させたい人にも向いています。

ロの字型

ロの字型の家は、カタカナの「ロ」の字のように建物が四方を囲んでいる形で、完全にプライベートな中庭をつくれる点が魅力です。家のどこにいても中庭からの光を受けられるため、明るく快適な生活空間にしたい方におすすめです。

ただし、中庭を挟んだ向かいの部屋に移動する際には、ぐるりと迂回する必要があるため、少し面倒に感じることもあります。また広い敷地が必要になる分、庭の排水管理にも注意しなければなりません。

L字型

L字型の家は、カタカナの「L」の字のように、二方向のみ壁に囲まれているタイプの中庭です。残りの部分は外とつながっているため、完全なプライベート空間にはならないものの、程よい開放感を楽しみたい方におすすめです。

また、L字型は変形地や狭小地でも設計しやすいというメリットがあります。変形地や狭小地は土地の価格が安い傾向にあるため、土地代を抑えて家を建てたい場合にも向いています。

町屋型

町家型の家は、細長いつくりが特徴で、「ウナギの寝床」とも呼ばれます。この家の構造では、敷地境界側は全て壁で囲い、玄関から奥に進んだところに中庭をつくる設計が一般的となっています。

家の内側に中庭があることで、プライバシーを守りながらも採光を確保でき、風通しが良く明るい生活空間をつくれる点もメリットです。特に都市部の狭小地や変形地での設計に適しており、現代の住宅でも人気のデザインです。

中庭のある家のメリット

注文住宅を建てる際に中庭を取り入れることで、通常の住宅にはないメリットを得られます。中庭のある家が人気を集める理由として、住み心地・防犯性・デザイン性などありますが、ここでは大きく分けて7つのメリットをご紹介します。

採光を確保できて明るい家になる

住宅街では隣家との距離が近いため、家の中が暗くなりがちです。しかし中庭のある家であれば、中庭に面した壁に開口部を設けられるため、自然光が差し込みやすくなります。

例えば、コの字型の家では3面に開口部を設けられ、ロの字型の家では4面に開口部をつくれます。また、中庭を囲むように窓を配置することで、どの部屋からも光が届きやすくなり、採光の面で非常に有利です。

中庭を上手に取り入れられたら、北側にある部屋でも光を取り入れやすくなり、家全体を明るく快適な空間にできるでしょう。

風通しがよくなる

中庭に面したところに窓を設置することで、風の通り道を確保できます。中庭であれば、常に窓を開けていてもプライバシーが保たれるため、部屋の中に自然な風を取り込むことが可能となります。

また、季節によって風の通り道が変わっても、窓の開け方を工夫することで、最適な風通しを確保できるのも大きなメリットです。

自然の心地よい風を感じられるため、四季を感じながら生活したいという方にもおすすめです。

家の中と外をつなげられる

中庭があることで、庭に面する部屋が多くなり、室内と外のつながりを常に感じられる点も魅力です。

中庭は室内と屋外の中間のような役割を果たしてくれ、家全体に開放感をプラスしてくれます。そのため、限られた敷地面積に家を建てる場合でも、家族やゲストがリラックスできる居心地の良い住まいを実現できます。

また、中庭に観葉植物や植栽を置けば、家の中にいながら自然を楽しめる点もメリットです。

防犯性・安全性が高くなる

中庭のある家は、防犯性と安全性が高くなります。

道路に面した庭と比べて、中庭は通行人から見えにくいため、不審者の侵入を防ぎやすいことが理由です。特にロの字型の家では、窓を開けていても外から見えないため、プライバシーを保ちながら換気したり、家族団らんの時間を楽しんだりできます。L字型の中庭の場合は、フェンスや外構計画を工夫することで、防犯効果を高めることが可能です。

また、家族の安全性という観点でも中庭は有効でしょう。道路に面した庭だと小さな子どもやペットが遊んでいる際に、思わず道路に飛び出してしまう危険性がありますが、中庭であればその心配が少なく、部屋の中から常に様子を見守ることができて安心です。

プライバシーを確保できる

中庭は建物で囲まれているため、通行人の視線を気にせず、プライバシーを確保しながらのびのびと過ごせる点も魅力の一つです。

特にロの字型の家は全て建物に囲まれており、完全なプライベート空間を確保したい方におすすめです。

一方、コの字型は一面が外に面しているため、程よいプライバシーを保ちながらも開放感的な生活空間をつくれます。外からも出入りできる点も便利です。

プライバシーと開放感をどこまで重視するかは、周辺環境やライフスタイルに合わせて決めると良いでしょう。

デザイン性が高くなる

おしゃれ感のある家をつくりたい場合にも中庭はおすすめです。

観葉植物を置いたり、小さな池をつくったりすることで、庭園のような高級感を演出できます。自然をインテリアの一部として使えるというのは、デザイン性の高い住まいをつくりたい方にとって嬉しいポイントです。

また、家の形がシンプルな四角や長方形ではなく、凹凸のある形の家にできるため、外観のデザインにもメリハリが生まれます。

外観・内観ともに、他にないおしゃれな家をつくれる点は中庭の大きなメリットではないでしょうか。

有効活用できる

中庭はアイデア次第で、家族や友人同士のバーベキューや、読書、ティータイム、プールなど、リラックスタイムの場など、さまざまな用途に活用できます。

また、リモートワークのスペースや物干し場など日常的な使い方ができるのも、プライバシーの保たれた中庭ならではの魅力です。

中庭があることで、趣味や日常生活の幅が広がります。家全体がより快適に過ごせ、機能的に使える空間になり、毎日帰るのが楽しみな家づくりができるでしょう。

住まいを明るくおしゃれな空間にしてくれる中庭ですが、同時にデメリットも存在するということも知っておく必要があります。快適な住まいを実現するためにも、あらかじめデメリットを理解して、上手に補う工夫をしましょう。

建築費用が高い

注文住宅で中庭を取り入れる場合、通常の住宅と比較して建築費用が割高になる傾向があります。中庭をつくることで壁面が増え、外壁の面積も広がるため、材料費が上がってしまいます。

また、中庭のある住宅は窓の数が多く、さらに屋外用の照明器具、給水・排水設備の設置が必要になったりすることも、全体の建築費用を底上げする要素として挙げられます。予算と相談しながら慎重に検討することが大切です。

冷暖房効率が悪くなる

中庭をつくることで、冷暖房効率が落ちやすくなる点には注意が必要です。

これは、窓やサッシを通じて外気温と室内温が交換されやすくなることが原因です。冬は室内の暖かい空気が外に逃げやすく、夏には外の熱気が入り込みやすいため、空調にかかる費用が上がることが考えられます。

対策として、気密性・断熱性の高い住宅を建てることが重要です。ペアガラスやトリプルガラスを採用し、断熱性能を高めれば、冷暖房効率の低下を防げます。

動線が長くなる

中庭を建物の中心に設けると、生活動線が長くなり移動に手間取る点もデメリットです。

例えば、コの字型の間取りの先端にキッチンと洗面脱衣室を配置すると、家事の行き来に時間がかかるでしょう。中庭を通ってショートカットできると考えても、天候の悪い日には迂回しなければならず、動線が長くなりがちです。

中庭をつくる際は、ライフスタイルを考慮して、動線にストレスがないよう専門家と相談しながら間取りを決めることが重要です。

湿気がこもりやすくなる

中庭は壁に囲まれているため、風通しが悪く、湿気がこもりやすい点も押さえておく必要があります。

特に日が当たりにくい場所では、カビや苔が生えやすくなり、見た目が悪くなるだけでなく、カビ独特のにおいも発生します。

また、中庭には屋根を付けないケースが多いため、雨水が直接中庭に降り注ぎ、排水システムがあっても水や湿気がたまりやすくなります。雨の日にはさらに日当たりが悪くなり、そのままにしておくと衛生的に使用できる状態ではなくなってしまう可能性も否めません。

居住スペースを削る可能性がある

中庭をつくる懸念点として注意しておきたいのが、居住スペースが削られる点です。特に狭小地に住宅を建てる場合、床面積に限りがあるため、中庭をつくることでさらに居住スペースが狭くなるのは避けられません。

家を建てた後に、家族にとって必要なスペースが確保できず、暮らしてから不便さを感じても建て直すことは難しいでしょう。中庭を検討する際は、まず居住スペースを優先し、バランスを考えながら計画することが重要です。

メンテナンスが必要になる

中庭をいつまでも快適に使い続けるためには、さまざまな面でメンテナンスや手入れが必要です。

まず、外壁の面積が増えるということは、その分10~15年に一度行う塗装や防水などのメンテナンス費用が多くかかるということです。

また、ウッドデッキを設置していれば、メンテナンスだけでなく日々の掃除も欠かせません。特に、排水設備が詰まると湿気がこもってカビや苔の原因になるため、排水溝が詰まらないように小まめに手入れする必要があります。

中庭のある家を建てる際のポイント

中庭を取り入れて理想の住まいを実現するためには、土地の広さを確認すること、そして虫や湿気への対策を入念に行う必要があります。通常の住宅を建てる際とは異なる部分に意識を向けなければならないため、必ず押さえておきましょう。

土地の広さを確認する

中庭をつくりたい場合は、まず土地の広さをしっかり確認しましょう。実際に購入した土地の広さが不十分だと、部屋数を優先するか、中庭を諦めるかの選択を迫られる可能性があるためです。

中庭がある家は、一般的な住宅よりも広い敷地面積が必要になります。土地探しの際には、予算や立地に意識が向きがちですが、中庭をつくりたいのであれば、最初から居住スペースと中庭の面積を考慮しなければなりません。

タイセーハウジングでは、土地探しから建築、アフターサービスまで一貫してサポートしています。「中庭をつくるにはどれくらいの土地面積が必要か?」といった建築目線から土地探しのアドバイスが可能ですので、住みたい間取りに適した土地選びができます。

虫や湿気対策をして、排水設備を整える

中庭は壁で囲まれているため、空気が停滞しやすいという特徴があります。特に奥の方は日当たりが悪くなるため、外壁の一部に隙間をつくり、湿気や熱がこもらないようにしましょう。

また、水はけも悪くなる傾向があるため、雨水を下水に流すための集水マスを増やしたり、勾配をつけたりして、水がたまらないように工夫する必要があります。

上記のように対策をしていても、時期によってはどうしても水たまりができてしまうこともあります。水たまりには蚊などの害虫が発生しやすくなるため、排水設備をしっかり整えることも重要です。

ここからは、実際に中庭のある家を建てた方の事例を2つご紹介します。どちらも中庭を取り入れることで、明るく快適な住まいを実現できているので、これから家づくりの予定がある方はぜひ参考にしてください。

どこにいても家の中と外のつながりを感じられる家

南側隣地との間にあった庭スペースの一部を建物の外壁で囲み、「インナーガーデン」を設けました。

インナーガーデンは、隣家との距離や視線を遮りながら、プライベートな庭を確保する役割を果たしています。建物内の全ての窓が中庭に面するように配置されており、家の中にいながらも自然を感じ、家族とのつながりをゆるやかに感じられる設計が特徴です。

中庭を設けることで、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)の大きな窓や吹き抜け部分の窓から自然光が差し込み、明るく開放的な空間が広がっています。さらに、風通しも良くなり、季節ごとの自然の変化を感じながら快適に過ごすことができます。

内装には木の温もりを感じられる、家具や床材を採用しました。外の空気や光と調和することで、リラックス空間を演出しています。インナーガーデンに季節の植物を配置すれば、四季折々の美しい風景を楽しむこともできます。

こちらから実際のお写真をご覧いただけます。

程よい開放感とプライバシーを保てる家

こちらの家の特徴は、リビングから見える大きな中庭です。柱が程よく配置されており、開放感を演出しつつも目隠しの役目を果たしているため、プライバシーを保ちながらも広々とした空間を楽しめます。

高い壁で囲まれたインナーバルコニーは、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)からもその様子を見渡すことが可能です。お子さまがインナーバルコニーで遊んでいるときも、安心して見守ることができる設計となっています。さらに、大開口の窓が中庭に面しているため、たっぷりと光が差し込み、室内は常に明るく快適な空間を保てます。

さらに、窓を開ければリビングと中庭がつながり、一続きの広いスペースとして活用することも可能です。中庭には屋根も付いているため、少しの雨であれば気にせずに外での時間を楽しめるでしょう。

中庭を取り入れれば、開放的でありながらプライベート空間も確保された理想の住まいを叶えられます。

こちらからお客さまの声やお写真をご覧いただけます。

中庭をつくることで、屋外との一体感や自然な空気を感じられ、明るく快適な空間を実現できます。しかし、しっかりと設計しないと、湿気や虫、冷暖房効率などの問題が生じ、住みづらい家になってしまう可能性もあるため注意しましょう。

タイセーハウジングでは、断熱性など家の性能をしっかりと保ちつつ、快適な中庭のある家を提案しています。経験豊富なスタッフが、お客さまのライフスタイルやご要望に合わせた、理想の住まいづくりのためのアドバイスさせていただきます。

中庭のある家にご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。あなたの理想の住まいづくりを全力でサポートいたします。